ヘーゲル哲学における論理学
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「論理学の歴史」の記事における「ヘーゲル哲学における論理学」の解説
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルは、彼の大部な著書『大論理学』を要約した作品で1817年に発表した『エンチクロペディー』第一部において自身の哲学体系に対する論理学の重要性を示唆している。『小論理学』とも呼ばれる『エンチクロペディー』の中の『論理学』は、よく知られているように、範疇の中の最も空虚で抽象的なものから生まれる一連の変化を展開している: ヘーゲルは『純粋存在』と『純粋無』、つまり自身に先立つすべての範疇を包含・解明するような範疇から始め(て、絶対へ至ろうとす)る。表題に反してヘーゲルの『論理学』は本当は妥当な推論の学問に対する研究ではない。前提から妥当な推論を通じて概念に関する結論を導くよりもむしろ、一つの概念について考えると別の概念も考えなければいけなくなることを示そうとヘーゲルは試みている(例えば循環小数と有理数との関係や極限と微分との関係を考察して、「量」の概念なしに「質」の概念を持つことはできないと彼は主張する); また、ここで衝動は個人の心理的な問題ではなく、概念自体の内容物からほとんど組織的に立ち上がってくるものである。彼の目的は―真に理性自体の―「絶対」の理性的構造を示すことにある。一つの概念からその対義的概念へと、そしてさらに別の概念へと思考が流れていく方法はヘーゲルの弁証法として知られている。 ヘーゲルの『論理学』は主流派の論理学研究にほとんど影響を及ぼさなかったが、そこからの影響をみることができる作品としてカール・フォン・プラントルの『西洋論理学史』(独: Geschichte der Logik in Abendland、1855年-1867年)やイギリス観念論者の作品-例えばフランシス・ハーバート・ブラッドリーの『論理学の諸原理』(英:Principles of Logic、1883年)-、そしてカール・マルクスおよびマルクス主義諸学派の経済学、政治学、哲学等の研究といったものがある。
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