ザクII改
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 15:48 UTC 版)
OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』およびアニメ版『機動戦士ガンダムUC』に登場。メカニックデザインは出渕裕。『0080』の制作発表直後の雑誌では「MS-06F ザク」と紹介されており、出渕も当時のインタビューで「リファイン」であると述べている。これは書籍『ENTERTANMENT BIBLE』シリーズでも踏襲されており、リック・ドムIIやゲルググJと異なり名称や型式番号が変更されていないのは、生産数が多くすべて改修機として扱われたためと解説されている。プラモデル発売以降は別の機体と設定されたが、『アウターガンダム』をはじめとする同時期の『サイバーコミックス』などに掲載された漫画では、本機のデザインを通常のザクIIのリファインとして描くことが流行し、『0080』のリリース終了後に同作品のスタッフによって制作された書籍『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』でも同様の手法がとられている。出渕は『0080』のMSのデザインの中でも、ザクは完成されているためアレンジが難しかったと述べており、後年にはこのデザインはさすがにやりすぎだったと述べている。なお、プラモデル発売以降の名称は「ザク改」あるいは「ザクII最終生産型」とされていたが、模型雑誌『ホビージャパン』で「ザクII改」とされ、以降はほぼこれに統一されている。 統合整備計画によって改善された、第2期生産型MSのひとつ。連邦軍MSの登場や、自軍の新型機の開発によりザクII自体の性能が劣り始めており、そのため新型機のデータをフィードバックし、チューンナップがほどこされている。また、F2型の改修結果を踏まえて、装甲形状・材質や機体バランスのさらに徹底した見直しにより、それまでのザクIIとはかなりかけ離れた外観をもつに至っている。もっとも大きな改修点はコックピットで、訓練不足の新兵でも十分に扱えるほど良好だったとされる。ほかに、機体各所のアポジモーターやバックパックのスラスターを増設・大型化しており、総推力は前期型(F型)と比較して70パーセント増となっている。その反面、推進剤の総量は変わっておらず、戦闘最大推力時の限界時間は半分に落ちている。装甲もかなり強化され、武装も一新されており、連邦軍のジムに遅れを取ることはなく、かなりの高性能を実現している。S型やR型に匹敵するジェネレーター出力やスラスター推力をもちながら、F型に匹敵する素直な操作性は、ドムやゲルググに匹敵する運動性能を引き出したとされる。ロールアウトは終戦の1か月前であり、本機がザクの一年戦争における最終生産型となるが、生産数は少ない。宇宙艦隊の一部の部隊(特に学徒兵や新兵からなる急造部隊)が使用したのみで地球上に降りることはなく、実戦参加回数も少ない。 なお、頭部のバリエーションとして「Bタイプ」と呼ばれるフリッツヘルムをかぶったような外観のものもある。これは、現地での修理あるいは改造の際に、パイロットなどの要請を受け入れ、頭部に増加装甲をほどこしたものである。 武装 ハンド・グレネード 右サイド・スカート・アーマーに3基標準装備。クラッカーに替わるMS用手榴弾で、使用時にグリップが伸長する。直撃であれば、MSの腕をもぎ取るほどの破壊力をもつ。 アニメ版『UC』では、宇宙世紀0096年にトリントン基地を襲撃するジオン軍残党のディザート・ザク、ドワッジおよびドム・トローペンが使用している。いずれも、2基を左手で一度に保持して投擲している。 なお、左サイド・スカート・アーマーにはMMP-80マシンガンの予備マガジンを収納する。 劇中での活躍 『0080』第1話では、Bタイプを含む数機がリック・ドムIIとともにサイド6のコロニー「リボー」内部に侵入し、連邦軍のジム・コマンド部隊と交戦する。バーナード・ワイズマン(バーニィ)伍長が搭乗する機体は被弾して森林公園に不時着し、バーニィは間近でMSを見るためにやってきたアルフレッド・イズルハと出会う。第2話では、駆け付けたブレード・アンテナ装備の機体がバーニィを回収し、彼の機体はそのまま放置される。同話終盤では、バーニィがサイクロプス隊の一員として特務艦(偽装貨物船)でふたたびリボーに潜入する際の陽動としてチベ級ティベ型重巡洋艦やムサイ級軽巡洋艦から数機発進し、ゲルググJらとともにジム・コマンド宇宙戦仕様と交戦する。 第5話ではバーニィを除いて全滅したサイクロプス隊の任務(NT-1の奪取または破壊)を果たすため、アルの協力を得て街中で破壊されたジム・コマンドの部品などを使い、第1話で不時着したバーニィ機を修復する。第6話では修復を終えた機体にバーニィが搭乗し、クリスチーナ・マッケンジーの搭乗するガンダムNT-1と一騎討ちを繰り広げる。ヒート・ホークとハンド・グレネードのみという武装の少なさを、煙幕やアドバルーンを利用したダミーなどのトラップを仕掛けた森林公園へNT-1を誘い込むことによって補う。最終的にNT-1の頭部と右腕を破壊するものの撃破には至らず、コックピットをビーム・サーベルで貫かれてバーニィは戦死する(小説版では、瀕死の重傷を負うも一命を取り止めたことが示唆されている)。 アニメ版『UC』では、0096年のトリントン基地襲撃にジオン軍残党の1機としてBタイプが参加。ザク・バズーカを携行し、ファット・アンクル改あるいはサブフライトシステムからパラシュートで地上に降下する(降下前の描写はなし)。その後、上空のザクI・スナイパータイプのカメラがバズーカを発射する様子を一瞬捉えるが、すぐに撃破される。 漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、サイド3のコロニー「ズム・シティ」に首都防衛大隊所属機としてBタイプが複数配備されている。カラーリングは白を基調とし、額やシールドに"SHIELD OF ZEON" と記された部隊章が描かれている。一部機体はブレード・アンテナを装備。 ゲーム『スーパーロボット大戦F完結編』『スーパーロボット大戦α』で登場する「シャア専用ザク」は、設定上はS型であるが、グラフィック上では赤い塗装のFZ型にブレード・アンテナを装備したものとなっている。『スーパーロボット大戦コンプリートボックス』でもシャア専用機として登場し、機体の制式名称は「ザクII改改」であることと、シャアがFZ型に乗るのはゲームオリジナル設定であることが解説されている。
※この「ザクII改」の解説は、「ザクII」の解説の一部です。
「ザクII改」を含む「ザクII」の記事については、「ザクII」の概要を参照ください。
- ザクII改のページへのリンク