アメリカの軍事支出の傾向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 05:29 UTC 版)
「アメリカの軍需経済と軍事政策」の記事における「アメリカの軍事支出の傾向」の解説
軍事総支出の政府総支出とGDPに対する比率(左辺は政府総支出に対する比率-右辺はGDPに対する比率)第二次世界大戦中の1945会計年度は(89.5%-36.6%) 朝鮮戦争中の1953会計年度は(69.4%-13.8%) 冷戦中で大規模な武力行使をしていないの1960会計年度は(52.2%-9.0%) ベトナム戦争中の1968会計年度は(46.0%-9.1%) 冷戦中で大規模な武力行使をしていない1978会計年度は(22.8%-4.6%) 冷戦中で大規模な武力行使をしていない1987会計年度は(28.1%-5.9%) 冷戦後で大規模な武力行使をしていない1999会計年度は(16.1%-2.9%) イラク戦争中の2011会計年度(19.6%-4.6%) 対ISIL戦争中の2019年会計度(15.4-3.2%) 政府総支出とGDPに対する軍事総支出の比率は長期的な傾向として減少している。 軍事支出の分野別内訳が記載されている1962年から2019年の期間に、軍事総支出に対する人件費の比率は、最も高かった年度は1973年の38.8%、1962年から1981年までは30%以上、1982年から1990年までは20%台後半から中盤、1991年に30.5%、1992年以後は20%台後半から中盤であり、軍隊と国防総省の武器装備率と武器以外の機械装備率の増大による軍人数と国防総省の雇用者数の削減により、軍事総支出に対する人件費の比率は長期的傾向として減少している。 軍事支出の分野別内訳が記載されている1962年から2019年の期間に、軍事総支出に対する運営管理費の比率は、最も高かった年度は2015年の41.9%、1962年から1974年までは20%台、1975年から1983年までは30%台前半、1984年から1990年までは20%台後半、1991年から2010年までは30%台、2011年~2018年は40%台であり、2019年は比率が減少して約39.6%であった。 軍隊と国防総省の武器以外の機械装備率の増大により、軍事総支出に対する運営管理費の比率は長期的傾向として増大している。大規模で長期間の戦争中は戦地への軍の派遣費の増大により、戦争をしていない期間と比較すると運営管理費の比率が増大する傾向である。軍隊の機械装備のうち、武器の装備率も増加しているが武器以外の機械(サーバー・クライアント・スタンドアロンのコンピュータとその周辺接続機器、ルーター・通信機器・通信端末、各種の衛星システムなど)の装備率の増大はより大きく、武器以外の機械装備品の購入・運用・補修のための費用、光熱費、燃料費などの増大により長期的傾向として増大し、2010年代後期の現在では、軍事支出の中で運営管理費は最大の比率になっている。 軍事支出の分野別内訳が記載されている1962年から2019年の期間に、軍事総支出に対する武器購入費の比率は、最も高かった年度は1963年の31.1%、1962年と1964年から1973年までは20%台、1974年から1978年までは10%台後半、1979年から1990年までは20%台、1991年は30.0%、1992年から1995年までは20%台、1995年以後は10%台後半である。武器の購入費の増加率は運営管理費の増加率よりも低いので、軍事総支出に対する武器の購入費の比率は長期的な傾向として相対的に減少している。 軍事支出の分野別内訳が記載されている1962年から2019年の期間に、軍事総支出に対する研究開発費の比率は、最少は1970年の8.8%、最大は1998年の14.0%、軍事総支出に対する軍事施設の建設費の比率は最大は2010年の3.1%、最少は2005年、2016年~2019年の1.1%、軍事総支出に対する軍事用の核エネルギー開発は最少は1968年の1.6%、最大は1996年、1999年の4.4%である。 軍人数、国防総省の総雇用者数(軍人数+国防総省の雇用者数)、軍需産業の雇用者数、軍事関連の総雇用者数(軍人数+国防総省の雇用者数+軍需産業の雇用者数)と、総雇用人口と総人口に対する比率(左辺は総雇用人口に対する比率-右辺は総人口に対する比率)第二次世界大戦中の1944年度は、軍人数は1,145万人(17.3%-8.3%)、国防総省の総雇用者数は1,369万人(25.4%-9.9%)、軍需産業の雇用者数は1,260万人(%19.0-9.1%)、軍事関連の総雇用者数は2,629万人(44.4%-19.0%) 朝鮮戦争中の1953年は、軍人数は356万人(5.3%-2.2%)、国防総省の総雇用者数は486万人(7.9%-3.0%)、軍需産業の雇用者数は412万人(6.2%-2.6%)、軍事関連の総雇用者数は898万人(14.1%-5.6%) ベトナム戦争中の1968年度は、軍人数は355万人(3.9%-1.6%)、国防総省の総雇用者数は478万人(6.3%-2.4%)、軍需産業の雇用者数は317万人(3.9%-1.6%)、軍事関連の総雇用者数は795万人(10.1%-4.0%) 冷戦後で大規模な武力行使をしていない1977年度は、軍人数は208万人(2.1%-0.9%)、国防総省の総雇用者数は302万人(3.1%-1.3%)、軍需産業の雇用者数は173万人(1.7%-0.8%)、軍事関連の総雇用者数は477万人(4.8%-2.1%) 冷戦後で大規模な武力行使をしていない1987年度は、軍人数は224万人(1.8%-0.9%)、国防総省の総雇用者数は329万人(2.9%-1.4%)、軍需産業の雇用者数は363万人(3.0%-1.5%)、軍事関連の総雇用者数は692万人(5.9%-2.9%) 冷戦後で大規模な武力行使をしていない1999年度は、軍人数は145万人(1.0%-0.5%)、国防総省の総雇用者数は212万人(1.5%-0.7%)、軍需産業の雇用者数は224万人(1.6%-0.8%)、軍事関連の総雇用者数は437万人(3.2%-1.6%) イラク戦争中の2006年度は、軍人数は146万人(1.0%-0.5%)、国防総省の総雇用者数は212万人(1.5%-0.7%)、軍需産業の雇用者数は360万人(2.4%-1.2%)、軍事関連の総雇用者数は572万人(3.8%-1.9%) イラク戦争中の2011年度は、軍人数は150万人(1.0%-0.5%)、国防総省の総雇用者数は227万人(1.6%-0.7%) 対ISIL戦争中の2019年度は、軍人数は142万人(0.9%-0.4%)、国防総省の総雇用者数は219万人(1.4%-0.7%) 軍人数、国防総省の総雇用者数、軍需産業の雇用者数、軍事関連の総雇用者数と、総雇用人口と総人口に対する比率は長期的に減少している。 軍需兵器は顧客が政府・軍だけであり、民需の開拓は不可能であり、政府・軍の武器発注は政府の政策・財政・収入、国際情勢に制約され依存し、製品は先端技術を実装した素材、部品、コンポーネントの集合体なので、それらの要素技術の研究開発や、それらの要素技術を実装した産業経済の集積の技術的・経済的基盤に依存するので、軍需兵器産業は国家経済の基盤にはならず、財政、技術、産業の観点から、他産業や国家への依存性が高い産業である。 CIA World Fact Bookの統計によると、2017年度の世界の推計GDP(為替レートベース)は80兆27百億ドル、アメリカの推計GDP(為替レートベース)は19兆49百億ドル、世界のGDPに対するアメリカのGDPの比率は約24.3%、世界のGDPに対する軍事支出の比率の平均値は2018年で2.14%であり、アメリカのGDPに対する軍事支出の比率は3.42%(但し、数値は2019年)で、GDPに対する軍事支出の比率がリストされている153か国中で比率が高い順に19位である(ロシアは軍事支出が3.93%でアメリカより高い13位である)。 世界銀行の統計によると、2018年度の世界の名目GDP(為替レートベース)は85兆91百億ドル、アメリカの名目GDP(為替レートベース)は20兆54百億ドル、世界の名目GDPに対するアメリカの名目GDPの比率は23.9%、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計によると、2018年度の世界の軍事支出(為替レートベース)は18,220億ドルであり、世界のGDPに対する世界の軍事支出の比率は約2.1%である。アメリカ政府行政管理局の2018会計年度の資料による軍事支出6,312億ドルであり、アメリカのGDPに対する比率は3.1%であり、世界の軍事支出に対する比率は約34.6%である。
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