【Fw190】(えふだぶりゅういちきゅうまる)
第二次世界大戦後半のドイツ空軍主力戦闘機で、レシプロ軍用機を代表する機体の一つ。
Bf109の補完、あるいは量産中に不測の事態が発生した場合の保険として開発された機体である。
Bf109とは対照的に頑丈で、前線における酷使にも耐えられ扱いやすかった上、中・低高度ではBf109をしのぐ高性能を発揮した。
1941年の登場と同時に最新鋭のスピットファイアMk.Vを圧倒し、英仏海峡の航空優勢を奪い取るほどの活躍を見せた。
その後、BMW製空冷エンジンを積んだA型の他、液冷エンジン搭載した高々度戦闘機型のD型、戦闘爆撃機型のF、G型などの改良型も開発され、終戦までに20,000機以上生産された。
スペックデータ(Fw190A-3)
乗員 | 1名 |
全長 | 8.80m |
全高 | 3.95m |
全幅 | 10.50m |
翼面積 | 17.70㎡ |
自重 | 2,900kg |
最大重量 | 3,980kg |
発動機 | BMW 801Dg 空冷星形複列14気筒(出力1,800馬力)×1基 |
速度 (最高/巡航) | 610km/h / 500km/h |
上昇限度 | 10,600m |
航続距離 | 864km |
武装 | MG17s 7.92mm機銃×2挺、MG151/20 20mm機関砲×4挺 |
参照:フォッケウルフ メッサーシュミット ルフトバッフェ スピットファイア
バリエーション
- Fw190V:
BMW801Cエンジン(出力1,800hp)を搭載する原型機。
- Fw190A-0:
先行量産型。通常主翼型と翼幅延長型の2種類がある。28機生産。
- Fw190A-1:
最初の本格的量産型。BMW 901C-1エンジン(出力1,660hp)を搭載。
武装はMG17 7.92mm機銃×4挺(弾数各900発)、MGFF 20mm機関銃×2挺(弾数各55発)。102機生産。
- Fw190A-2:
主翼付け根のMG17をMG151/20 20mm機関銃(弾数各250発)へ変更。
武装はMG17×2挺、MG151/20×2挺、MGFF×2挺。BMW 801C-2エンジンを搭載。426機生産。
- Fw190A-3:
BMW801Dエンジンに変更した型。
派生型にA-3に500kgまでの爆弾搭載能力を追加した近接支援型のA-3/U1/U3、20mm機関砲を2丁に減らし、カメラを搭載した偵察機型のA-3/U4がある。509機生産。
- Fw190A-4:
BMW801D-2エンジンにMW50 水メタノール噴射装置を追加した出力強化型(出力2,100hp(水メタノール噴射時))。906機生産。
派生型にTropと呼ばれるエンジンに防砂フィルターを装着した熱帯仕様や水メタノール噴射装置を撤去し、翼下にロケット弾を搭載可能にしたA-4/R6、20mm機関砲を2丁に減らし、増加燃料タンクを搭載可能にしたA-4/U8がある。
- Fw190A-5:
エンジンの取付架を前方に152.5mm延長し重心位置を修正した型。723機生産。
多数の派生型があり、消炎マフラーを装備する夜間戦闘機型のA-5/U2、魚雷を搭載可能にした対艦攻撃型のA-5/U14、翼下に20mm機関砲ポッドを装備する武装強化型のA-5/U12などがある。
- Fw190A-6:
主翼外翼のMGFFをMG151/20 20mm機関銃(弾数各125発)へ変更した型。
武装はMG17×2挺、MG151/20×4挺。569機生産。
派生型には20mm機関砲×6門を装備するA-6/R1、20mm機関砲1丁を30mm機関砲に変更したA-6/R2、翼下に30mm機関砲×2挺を装備したA-6/R3、ロケット弾ポッドが搭載可能なA-6/R6がある。
- Fw190A-7:
機首のMG17をMG131 13mm機銃×2挺(弾数各475発)へ変更。
武装はMG131×2挺、MG151/20×4挺。80機生産。
- Fw190A-8:
A-7型に若干の改良を加えた型。
コクピット直後に115リットルのエンジン出力増強装置のタンク(燃料・亜酸化窒素・水メタノールのいずれか)を増設。
武装は主翼外翼のMG151/20をMK108 30mm機関砲(弾数各55発)へ変更した。
突撃仕様のR2、R8仕様の場合はMG131×2挺、MG151/20×2挺、MK108×2挺。
キャノピーを視界が向上した「ガーラント・ハウベ」へ変更した機体も生産された。約8,300機生産。
派生型には、装甲付き操縦席を装備するA-8/R7、暖房装置付き操縦席を装備する全天候型のA-8/R11、複座練習機型のA-8/U1、ミステル(特攻機)の誘導機改修型のA-8/U3がある。
- Fw190A-9:
エンジンをBMW801TSに、キャノピーを「ガーラント・ハウベ」に変更。
エンジンに14枚タイプの強制冷却ファンと幅の広いDVM9-12157H3木製プロペラを装備。少数生産された模様。
- Fw190B:
高々度性能改良型計画機。各種テスト機が製作された。
- Fw190C:
DB603エンジン搭載の高々度性能改良型計画機。少数機製作。
- Fw190D-0:
A-7にJumo213A液冷エンジンを装備した高々度戦闘機型原型機。
- Fw190D-9:
D-0の生産型。
エンジンをユンカース社のJumo213A液冷エンジンへ換装することにより、高々度性能・最高速度・上昇力・旋回性能が向上した。
エンジン換装により機首が長くなったため、後部胴体の50cm延長と垂直安定板を増積して重心位置を修正している。
キャノピーは通常型と「ガーラント・ハウベ」がある。
武装は機首にMG131 13mm機銃×2挺(弾数各475発)、主翼付け根にMG151/20 20mm機関銃×2挺(弾数各250発)。1944年8月より約700機生産された。
- Fw190D-10:
D-9から13mm機銃を撤去し、エンジンをJumo213Cに変更した型。
- Fw190D-11:
Jumo213Fエンジンを搭載する型。主翼に30mm機関砲と20mm機関砲を各2門搭載。
- Fw190D-12:
30mm機関砲2門を機首部に装備した型。
- Fw190D-13:
30mm機関砲を20mm機関砲に変更した型。
- Fw190E:
戦闘偵察機型の提案型。製作されず。
- Fw190F-1:
A-4を基にした戦闘爆撃機型。
対空砲火に備え胴体下面、燃料タンクなどの装甲強化、外翼のMG151/20 20mm機関銃の撤去、胴体下に爆弾架を装備。
- Fw190F-2:
A-5を基にした型。武装はF-1と同様。
- Fw190F-3:
F-2の改良型。両主翼下にも爆弾架を装備。
派生型には、翼下にETC50爆弾搭載を可能としたF-3/R1、翼下に30mm機関砲×2門を装備したF-3/R3がある。
- Fw190F-8:
A-8を基にした型。
後期生産型はキャノピーを「ガーラント・ハウベ」に変更している。
派生型に対艦攻撃型でBT700及びBT1400爆弾の搭載能力を付与したF-8/U2/U3がある。
- Fw190F-9:
A-9を基にした型。
A-9と同様エンジンはBMW801TS、キャノピーは「ガーラント・ハウベ」へ変更されている。少数生産された模様。
- Fw190G-1:
A-4を基にした長距離戦闘爆撃機型。
主翼付け根のMG151/20 20mm機関銃×2門、胴体下に爆弾架、両主翼下に300リットル入り増槽が標準装備。
- Fw190G-2:
A-5を基にした型。
- Fw190G-3:
A-6・A-7を基にした型。PKS11自動操縦装置を追加。
- Fw190G-8:
A-8を基にした型。両主翼下にも爆弾架を装備。
- Fw190S-5:
A-5を基にした複座練習機型。
後席は教官席で簡単な操縦装置が追加されている。
非武装で、キャノピーは前・後席とも右上方へ開く。
- Fw190S-8:
A-8を基にした型。
教官席のキャノピー側面が改修され視界が向上している。
- Ta152:
Fw190D-9の発展型。詳細はTa152を参照。
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