いそだけのぐろとは? わかりやすく解説

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五十猛のグロ

名称: 五十猛のグロ
ふりがな いそだけのぐろ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 大浦グロ保存会
指定年月日 2005.02.21(平成17.02.21)
都道府県(列記): 島根県
市区町村(列記): 大田市五十猛町大浦
代表都道府県 島根県
備考
解説文:  五十猛のグロは、島根県大田【おおだ】市五十猛町【いそたけちょう】の大浦【おうら】地区伝承される小正月行事である。グロ呼ばれる円錐形大きな仮屋浜辺作って歳徳神としとくじん】を迎え、その年の豊漁無病息災祈願し最後に正月飾りとともに仮屋焼き払う行事で、一月十一日から十五日までの五日間にわたって行われる
 五十猛町は、島根県のほぼ中央にある大田市北西部位置するグロ伝承されている大浦地区は、日本海面した町域西端にあり、石見海岸では浜田に次ぐ県内屈指の漁港として栄えてきたところである。この行事は、大浦地区漁師たちによって伝えられてきたもので、かつては網元中心に行われていたが、現在は漁業従事する家々によって構成される大浦グロ保存会中心に伝承されている。
 グロとは、行事の名称であるとともに行事の際に竹を主な材料として作られる独特の小屋をさす呼称でもある。その語源定かではないが、当地では、グロとは草むら山中に建つ簡素な小屋のこと、あるいは密集している様子言い表す語として用いられこうした関連から仮屋グロ称するようになったといわれる
 行事準備運営は、大浦地区家々第一組と第二組とに分け、この二つの組が一年交替当番制で行っている。第一組は、上一、上二、上三、竪町本町五つ自治会から、第二組は、柳町上柳町明神朝日日の出団地六つ自治会から成る当番当たった組は、その年に五人世話人選出する世話人は、グロ材料集め組み立てなどの準備作業をはじめ、供物用意儀礼に際して献饌など、数日間にわたる行事中心的な役割を担う。
 昭和初期ころまでは、大浦地区内でも二つ上の組があり、それぞれに競い合って大きな仮屋作りグロ行っていたと伝えられている。少なくとも戦後しばらくの間は三か所でグロが行われていたとされるが、昭和三十年代現在の下の浜のみとなり、それ以後地区全体一つグロ作り共用するかたちで行事続けられてきている。
 一月十一日は、午前中にグロ組み立てが行われる。グロ作られる下の浜集落の北の浜辺にあり、当番の組の男性たちが総出作業取りかかるグロ材料となる竹や笹の切り出しグロの中で焚く用意などは年末から始められ、漁に出られない日を選んで行われるグロ組み立ては、まず始め長さ二〇メートルほどの根付き青竹二本束ねて立て、これを中心として青竹角材円錐形仮屋骨組み作る中央に立つ青竹は、先端部分だけを残してそこに色とりどりの短冊飾り途中の二か所に御幣付けた二本の竹を十字組んだのである。これはセンボクサン(神木あるいは千木)と呼ばれ、神の依代考えられている。グロ大きさは、直径一〇メートル、高さ約三メートルほどあり、屋根重ねて覆い周囲を笹で囲んで壁とする。グロ入り口には、松飾り一対飾る。内部には、天上から板を縄で吊って神棚作り地面には木材円形並べ囲炉裏を三か所に設ける。
 このようにしてグロ完成すると、餅つきが行われ、供物にする鏡餅作られる次いで世話人男性たちが海からモバ神馬藻)と呼ばれる海藻を採ってきて、トシトコサンと呼ばれる歳徳神仮屋迎え神迎え儀礼を行う。世話人の代表がモバに付け海水グロ内部まき散らした後、センボクサンの根本掛け神棚御神酒鏡餅などを供えて礼拝し無病息災豊漁祈願するその後十五日までの四日間地区の人たちがグロに集まり持参した餅や干し魚スルメなどを囲炉裏の火で焼いて食べたり、酒を酌み交わしたりして、夜遅くまで歓談して過ごす。グロの火にあたり、その火で焼いたものを食べるとその年は病気ならないといわれている。このときに日ごろ操業に関する情報交換をしたり、地域しきたり子どもたち教えたりするのも古くら行われてきたことである。かつては地区の人たちがグロに泊まり込んで夜明かしし子どもたち行事の期間中グロに泊まり込むことを許されていたという。
 グロには、大浦地区に住む者ならば自由に出入りができるが、前年に不幸のあった家の者と子どもを出産したばかりの女性グロに入ってはならず、この禁忌厳格に守られている。



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