上郷の小正月行事とは? わかりやすく解説

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上郷の小正月行事 (秋田県)


上郷の小正月行事

名称: 上郷の小正月行事
ふりがな かみごうのこしょうがつぎょうじ
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 横岡サエ神保存会、大森サエ神保存会
指定年月日 1998.12.16(平成10.12.16)
都道府県(列記): 秋田県
市区町村(列記): にかほ市横岡
代表都道府県 秋田県
備考 公開日毎年1月15日
解説文: 象潟町横岡は旧上郷村属す鳥海山西麓台地上に広がる農村地帯で、六つ地区からなる南端位置する横岡地区では、正月十五日を中心に大下下村)・中ノ下中屋敷寺地の四か所の組で、サエの神小屋焼きなどの小正月行事が行われている。
 正月八日ころ、子どもたちは各家からヌサもらって廻り大人たちはサエの神小屋などに用いホケ伐りをする。各組それぞれにサエの神を祀っており、十一日午後にその近くサエの神小屋建てる小屋入口の上部にヌサを飾る。ヌサ製の幣束へいそく】で、コンブ干鰯【ほしか】・炭・麻などを結びつけ、正月二日の朝に家族男性の数だけ作り七日まで屋敷内アキ方にある樹木掛けていたものである。入口両側にはハネノキ(タニウツギ)の立てる。小屋の床には【むしろ】を敷きその上に敷き詰め最奥部に古いサエの神(木製男根形)を祀る。中ノ下寺地では小屋タラの木二つ割りにして、「十二月吉日」とか「蘇民将来子孫門戸也」と書いたゴンギョウ挿す十四日の夜は九時ころまで子どもたちサエの神小屋に籠もる。
 十五日の早朝人びとサエの神餅を持ってサエの神に参拝し神前で鉈を用いて年齢分の数だけ削って持ち帰るまた、月々願い事を祈るために一年間月数を削る人もいる。    最後まで燃え残った組が豊作になるといわれ、子どもたちは他の組のサエの神小屋早く燃やそうとする。この煙が東南になびくと豊作北寄りに流れると凶作などと占い、火のついた小屋の材を家に持ち帰って、いろりで燃やして火災除けにしたりする。十五日の昼に四組の男子小学生自治公民館集まり、一番鳥から三番まで三回の鳥追いを行う。一番鳥午後二時始め二番夕方三番真夜中一時ころに行う。鳥追いでは四か所のサエの神小屋廻ってから、集落内を廻る
 一方横岡北端位置する大森地区では、正月十一日の午後に集落の西にあるサエの神の祠の近くサエの神小屋建てる小学生男子集め大人中学生とともに小屋アキ方に向けて建てる正面入口に当たる部分に、一本の縄で星形作り、その真ん中木製マラ男根形)を突き出させる。
 十四日夜にアカダマ赤玉)をし、その夜ヤドカリといって子どもたちヤドになっている公民館集まって泊まる昭和四十年ころまでは一軒の家をヤドとして借り十四日から十六日まで薪・炭豆柄などの燃料食べ物持って集まったという。
 十五日の朝一〇時ころ、大森地区小学生就学前の女の子たちが、「ショトメマイッタ(早乙女参った)」と唱えながら各家を廻り、餅や御菓子をもらう。一〇時過ぎ男の子たちはサエの神の祠を拝み小屋に火を点けて鳥追いの唄を歌う。続いて男の子たちは一番鳥から三番まで三回集落内を廻る。道を歩くときには鳥追い唄を歌うが、鳥追い最後に送り唄を歌ってサエの神の祠に向かう。
 一番鳥はモチモライともいいこのときだけ各家を訪問する組頭役の中学生サエの神小屋祀られていたマラ持ち一人太鼓をたたき、数人大きな布袋持って廻る他の子どもたちタラの木作った長さ八〇センチメートルほどの初嫁棒を持つ。材料となるタラの木は、一月六日タラ迎えの日に山から伐ってきたもので、一部は初嫁棒に、一部ゴンギョウにした。大森地区では、十四日までにゴンギョウ作り十五日の朝に玄関裏口小屋門口ヤナギユズリハとともに掛けて魔除けにする。
 初嫁のいる家では、初嫁が晴れ着着て座敷中央の座布団に座ると、組頭が初嫁の前にマラ投げ出し子どもたちは初嫁棒で畳をつつきながら三回初嫁の周り廻り、「初嫁出はた。初嫁出はた。つつくは今だ」と嫁つつき唄を歌う。子どもたち甘酒振る舞われ大きな重ね餅をもらう。子どもたち鳥追い用いたマラサエの神の祠に納めヤドで餅と御菓子分配して行事が終わる。
 この行事は、秋田県ではこの地域だけに見られる特色ある小正月行事であり、また全国各地伝えられてきた小正月行事典型一つとしても重要である。
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