会計年度 会計年度の概要

会計年度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/03/25 12:24 UTC 版)

目次

意義

公共機関や企業の経営状況・収支状況を把握するためには、一定の期間を定めてその期間内の収入・支出を算出する必要がある。このために設定された期間が会計年度である。会計年度は、予算を執行するための一定期間ということもできる。会計年度が存在しない場合、予算の執行に期限がないので、決算を立てることが不可能となり、予算・決算を行うことが無意味となってしまう。会計年度は、会計上非常に重要な要素である。

特に公共機関においては、その会計年度における支出(歳出)は、当該会計年度の収入(歳入)をもって支弁するという会計年度独立の原則が採用されている。この原則は、絶対王政期のヨーロッパにおいて、王の恣意による徴税・浪費が行われないよう導入されたことに由来しており、現代に至っている。ただし実務上、すべての予算を一会計年度内に執行することには非効率・非実際的な面もあるため、例外制度、例えば日本では繰越制度や債務負担行為、継続費などといった制度が設けられている。

期間

企業会計においては、期間の日数、期間の始期及び終期は各事業者が決定するが、期間は1年間とされることが一般的である。公共機関についても、期間は1年間とされるのが通例であり、日本では、後述財政法及び地方自治法の規定により毎年4月1日から翌年の3月31日までの期間とされている。

会計年度は1年間とするのが通例であるが、特殊な事情により変則的な期間が採用されることもある。例えば、日本では戦争時に設置する臨時軍事費特別会計が戦争開始から終結までの期間を一会計年度としており、日清戦争のときは1年10ヶ月、日露戦争のときは3年4ヶ月、第一次世界大戦のときは10年8ヶ月、日中戦争のときはそのまま第二次世界大戦に引き継がれて合わせて8年6ヶ月の長期間に及んだ。また、アメリカ合衆国では特殊な歳出について2年間を一会計年度とする例外規定が設けられている。

始期と終期

公共機関における会計年度の始期と終期は、国によって異なる。暦年と同一の1月 - 12月制を採用している国は、韓国フランスドイツオランダベルギースイスロシア中華人民共和国・南米諸国などがある。日本と同じく4月 - 3月制を採用しているのは、イギリスインドパキスタンデンマークカナダなどである。7月 - 6月制を採用している国には、ノルウェースウェーデンギリシアフィリピンオーストラリアなどがある。また、10月 - 9月制を採用しているのは、アメリカ合衆国タイ王国ミャンマーハイチなどである。

日本の公共機関

日本の公共機関における会計年度は4月 - 3月制である(国については財政法第11条、自治体については地方自治法第208条)。明治維新直後は当初は10月 - 9月制(明治2年(1869年)9月 - )であったが、以後暦年制(明治5年(1872年)11月 - )を取ったり、7月 - 6月制(1876年(明治7年)12月 - )に変更したりして混乱を生じたが、中央政府では1884年(明治17年)10月(太政官達89号)から、道府県(後に都も)は1890年(明治23年)5月から、市町村は1889年(明治22年)4月から4月 - 3月制を導入し(それ以前は7月 - 6月制だった)、以後変更は行われていない。4月 - 3月制の導入は、当時の主要税目だった地租徴収に最も好都合であったためとされている。なお、「会計年度」という言葉は無かったものの、国家の会計を1年間で区切る方法は、律令国家の段階から存在していたとみられ、7世紀末期には1月 - 12月制(いずれも旧暦)が導入され、これに基づいて租税の納付・輸送、監査(勘会)、官司からの請求と実際の予算配分などが実施されていた[1]

その後、会計年度の始期・終期を変更しようとする議論が数回提起されているが、いずれも見送られている。1972年昭和47年)には当時の田中角栄首相が会計年度の暦年制移行をうったえたが、結局、旧大蔵省などの反対により暦年制への移行は実施されなかった。

会計年度独立の原則
各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない(地方自治法第208条 2項)。

会計年度の所属

収入・支出をどの会計年度へ所属させるか、には大きく2つの基準・方法がある。

一つは、収入・支出の原因発生の時点を標準とするもので、発生主義(予算主義)と呼ばれている。企業会計は、複式簿記会計によっているため、発生主義に基づいた処理を行っている。公共機関も欧米諸国を中心に発生主義を採用している国が多い。日本の官庁会計は発生主義の採用が著しく遅れているといわれている。

もう一つは、収入・支出に係る行為が完了した時点を標準とするもので、現金主義(形式主義・決算主義)と呼ばれている。これは、単式簿記や単年度会計に向いているとされ、日本の官庁会計は現金主義の影響が非常に強いといわれている[2]


  1. ^ 梅村喬『日本古代財政組織の研究』(吉川弘文館、1989年ISBN 978-4-642-02236-1 P4・52-56
  2. ^ [1]


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