因州和紙とは? わかりやすく解説

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因州和紙

【工芸品名】
因州和紙
【よみがな】
いんしゅうわし
【工芸品の分類】
和紙
【主な製品】
画仙紙書道半紙襖紙
【歴史】
平安時代書かれた「延喜式えんぎしき)」に因幡(いなば)の国すなわち因州から朝廷和紙献上されたことが記されています。その後17世紀前半には青谷町で、さらに18世紀前半には佐治村で、藩が使う御用紙として作られたのが、産地としての始まりとされています。
江戸時代には、藩内自給、特に藩の公務で使う御用紙をすべて賄うことを目指して、和紙生産奨励されました。農業生産力の低い全国各地山間農家では、山や野に生えているコウゾ等を主原料として盛んに紙漉(す)きが行われていました
【主要製造地域】
鳥取県
【指定年月日】
昭和50年5月10日
【特徴】
品質の高さには定評があり、書道墨絵適した紙である画仙紙半紙が有名です。

因州和紙(いんしゅうわし)

所在地 鳥取県佐治村青谷村
主製品 画仙紙楮紙三椏紙書道半紙大麻紙・日本画紙・民芸紙・染色紙・和紙加工品
因州和紙
鳥取県の因州和紙の起源定かではありませんが、律令制度制定され後のこと推定されています。

正倉院文庫「正集」には、因幡国国印倉印のある文書残っており、8世紀半ば奈良時代頃、因幡の国で紙が生産されていたとされています。続く平安中期の「延喜式」(927年)には、因幡の国から朝廷へ紙及び紙原料献上されたと明記され1600年頃の亀井公文書においては雁皮といった原料記述されています。
江戸時代には、鳥取藩から手厚い庇護受けて生産広がり明治30年頃には1,300戸の事業所数えました。

戦後書道用紙生産注力し、昭和30年頃より拡大続け書道復活追い風となり、「因州和紙」は画仙紙主要産地として全国名を馳せています。
また「手漉き和紙」では伝統的な産地として、昭和50年伝統的工芸品産業和紙部門)として全国最初産地指定を受け、国の認定する伝統工芸士20名を数えてます。

因州和紙は青谷町佐治村産地として栄え鳥取県因州和紙同業会という組織設けて横の繋がり大切にするとともに各種見本市・展示会開催出品参加産地問屋との折衝行政への対応等を行ってます。

過疎化深刻化する因州和紙の産地にとって、地場産業への行政支援手厚く行われており、平成7年11月オープンした佐治村和紙伝承施設「かみんぐさじ」には中小企業総合事業団から譲り受けた手抄和紙省人化装置設置され新製品の開発労働条件の向上に貢献してます。
また、平成14年8月には展示体験研修等を通じて因州和紙の素晴らしさ再認識してもらうため「あおや和紙工房」が青谷町オープンします

昭和30年代から生産されてきた画仙紙は、近年台湾韓国中国輸入紙にシェア奪われ生産者減少続いてはいますが、付加価値の高い書道紙、染紙などに活路見出し、現在も40あまりの事業所で約20億の生産が行われ、ひたすら書道家喜ばれる紙、より良い紙づくりを目指し懸命努力努めてます。

昔から因州代名詞として生産された「因州切れず」、和紙加工品全国広く売り出され和紙愛好家愛用され命脈保ってます。加えて最近ではブランド品開発にも力を入れ多様に立体抄紙されたランプシェードインテリア製品、パソコン用印刷紙、優れた伝統技術機能性物質などを抄き込んだ新機能性和紙など「現代生活に生かされる新製品新たな市場開拓してます。
因州和紙
省力化装置
自動的に原料出てくる

因州和紙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/03 09:15 UTC 版)

因州和紙(いんしゅうわし)は鳥取県東部(旧因幡国)特産の和紙である。


注釈

  1. ^ 正倉院文書は東大寺の倉庫である正倉院に伝来したものだが、現在は宮内庁が管理している(参照:正倉院文書(国立国会図書館サイト))。
  2. ^ 日本最古の国産和紙としてはこれより古い702年の美濃国筑前国豊前国の戸籍が知られている。[7]
  3. ^ 例外的に、佐治の隣の用瀬では慶長期に紙漉きが始まったと伝えられている。
  4. ^ 旧青谷町は鹿野城に近接する地域である。
  5. ^ ここでいう「杉原紙」は、杉原紙の製法に従って作られる紙のことである。現在は「杉原で作られる紙」が杉原紙として伝統的工芸品になっている。
  6. ^ 美濃和紙は、現在は「美濃地方で生産される和紙」を指すが、美濃の和紙はコウゾを原料として厚手で丈夫で、障子紙や包装紙などに用いられた。このため、「美濃国産」でなくとも、この製法で漉かれた丈夫な紙のことを「美濃紙」と呼ぶ。[21]
  7. ^ 1947年(昭和22年)に制定された教育制度の下では硬筆のみが指導対象となった。その後、一部で毛筆の指導を試験的に採り入れるものもあったが、1958年(昭和33年)に告示された小学校学習指導要領に「書写」として盛り込まれ、1961年(昭和36年)から完全実施になった[27]
  8. ^ 1998年の出典では約40軒、2008年の出典に拠れば35軒、別の出典(記述の年代不詳)に拠れば26軒となっている[3][12][28]
  9. ^ 青谷地区では、近年は和紙生産のほとんどは西洋紙にとってかわられたが、西洋紙の生産工場が進出しており、紙の産地としては今も健在である。青谷や近隣の湖山(コクヨMVP)では事務用品のコクヨの工場が稼働している。

出典

  1. ^ a b c d e f g h 『すぐわかる和紙の見わけ方』p34-35
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 因州和紙伝承工房 かみんぐさじ 因州和紙とは2014年10月24日閲覧。
  3. ^ a b c 環境省選定 日本の残したい音風景100選 因州和紙の紙すき2014年10月24日閲覧。
  4. ^ a b c d 鳥取県因州和紙協同組合 千三百年を生きる因州和紙2014年10月24日閲覧。
  5. ^ 『鳥取県大百科事典』p80
  6. ^ a b c d e f g h 『和紙の里探訪記 全国三百を歩く』p121-123
  7. ^ 全国手すき和紙連合会 正倉院の紙こそ和紙の原点2014年10月24日閲覧。
  8. ^ a b 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.112014年10月24日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j 鳥取県商工労働部兼農林水産部 市場開拓局 市場開拓課 とっとりの工芸品 因州和紙2014年10月24日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l 『和紙文化史年表』p253-255
  11. ^ a b c d 『和紙の里探訪記 全国三百を歩く』p199-201
  12. ^ a b c d e 『書の和紙譜 上巻 解説編』p67
  13. ^ a b 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.52014年10月24日閲覧。
  14. ^ 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.62014年10月24日閲覧。
  15. ^ 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.82014年10月24日閲覧。
  16. ^ 『鳥取県大百科事典』p7
  17. ^ a b c d e 『因州佐治谷山村のすがたと進路』p1「はじめに」,p18「和紙の製造とコウゾ、ミツマタ」
  18. ^ a b 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.122014年10月24日閲覧。
  19. ^ 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.132014年10月24日閲覧。
  20. ^ a b 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.22014年10月24日閲覧。
  21. ^ Weblio三省堂・大辞林 美濃紙2014年10月24日閲覧。
  22. ^ a b c d e 『書の和紙譜 上巻 解説編』p157-160
  23. ^ 『紙の文化事典』p78
  24. ^ 鳥取県教育委員会事務局 文化財課 文化財係 因州青谷こうぞ紙2014年10月24日閲覧。
  25. ^ 谷口・青谷和紙 和紙について2014年10月24日閲覧。
  26. ^ a b 井上紙店 因州和紙の産地と歴史2014年10月24日閲覧。
  27. ^ a b 大阪府教育センター 明治以降の書写・書道教育の変遷2014年10月24日閲覧。
  28. ^ 「因幡紙元祖碑」の謎とロマン vol.12014年10月24日閲覧。
  29. ^ 読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年1月1日版 2014新年企画「とっとりの底力」<1>伝統~和紙で生活を豊かに2014年10月24日閲覧。
  30. ^ 『鳥取県まるごと読本』p80-81
  31. ^ 鳥取県因州和紙協同組合 和紙のある生活2014年10月24日閲覧。
  32. ^ a b c 『鳥取県大百科事典』p187-188
  33. ^ a b c 『日本地名大辞典 31 鳥取県(角川日本地名大辞典)』p121
  34. ^ 因州和紙伝承工房 かみんぐさじ 因州和紙の歴史と伝統2014年10月24日閲覧。


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