潮汐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/29 10:24 UTC 版)
実際の潮汐
実際の満潮・干潮は、海水の慣性や、海流、水温や塩分濃度、気圧、湾岸の形状など種々の要因によって、天文学的に導かれる時刻とずれが生じる。
実際の潮位の変化は、周期と振幅が異なるさまざまな波を重ね合わせたフーリエ級数で表すことができ、個々の波を分潮と呼ぶ[14]。潮位予報を行う機関では数十の分潮を用いて予想潮位を計算している[15]。
海岸
垂直・水平それぞれの方向に、干満の差が大きい海岸、小さい海岸がある。
水平方向の差の大きさは海岸の傾斜により、当然ながら同じ水位差であれば傾斜が緩い方が、つまり遠浅な方がその差は大きい。砂浜や、特に干潟のような傾斜のなだらかな場所では、水平方向にして数百 - 数千メートルにも及び海岸線が変化することがあり、そこに豊かな生態系がはぐくまれている。ただし、そのような場所で潮干狩りなどすると、潮が満ちてきたときにひどく長い距離を急いで逃げねばならない場合がある。
垂直方向の差は、つまり潮位差であるが、一般に内湾的な海域では潮位差が小さい。これは水位変化のためには海水が大きく移動しなければならないが、内湾的傾向が強ければ海水がほとんど閉じこめられてしまっていて、水位変化の起きようがないためである。たとえば日本海や地中海は潮位差が小さいことが知られている。この場合、内湾の奥のほうが深い場合と浅い場合ではその潮位差の変化量が著しく異なる。浅い場合は、外海の干満に引きずられる形で内湾の水が出入りすることになり、外海よりも潮位差が大きくなることもある。有明海や瀬戸内海、アゾフ海などはその典型である。
河口域
河口域では潮の満ち干によって干潮時には淡水が最河口まで流れくだり、満潮時には海水が上流方向に侵入する。そのため海水と淡水が混じる区域があり、これを汽水域という。実際には海水は淡水より比重がやや大きいので、流れ下る淡水の下に海水が流れ込むなど複雑な状況もある。
非常に大きい河口の場合、潮汐による海水面の変化により流れ込む水の量が大きくなり、大きな波を形成することがある。これを海嘯といい、アマゾン川のポロロッカや中国の銭塘江のものが有名である。
注釈
出典
- ^ a b 『日本大百科全書』(ニッポニカ)
- ^ a b c 佐藤、p.135
- ^ a b 佐藤、p.136
- ^ a b 柳、pp.17-18
- ^ a b 柳、pp.18-20
- ^ 柳、p.20
- ^ 柳、p.24
- ^ 柳、p.40
- ^ 柳、pp.32-33,40
- ^ 柳、pp.23-24
- ^ クランシー、p.12
- ^ 柳、pp.74-75
- ^ クランシー、p.23
- ^ 柳、pp.58-60
- ^ 柳、pp.66-67
- ^ “潮汐は地震を引き起こすのか?”. www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp. 2024年1月1日閲覧。
- ^ 鶴岡弘, 大竹政和、地震発生における地球潮汐の影響 数値シミュレーションによるアプローチ 『地学雑誌』 2002年 111巻 2号 p.256-267, doi:10.5026/jgeography.111.2_256
- ^ a b なゐふる91号(2012年10月) (PDF) 日本地震学会
- ^ 巨大地震、大潮の時期に発生確率上昇か 東大研究(AFPBB News 2016年9月13日)
- ^ 月の引力、大地震と関係か 東大チーム(日本経済新聞 2016年9月13日)
- ^ a b 長野県栄村で地震で多発、「潮汐」引き金 地殻変動と重なる 産総研分析(MSN産経ニュース/産経新聞 2012年3月19日)/同記事の夕刊フジ版引用(阿修羅)
- ^ 川島秀一『追込漁(おいこみりょう)』<ものと人間の文化史> 法政大学出版局 2008年、ISBN 9784588214219 pp.173,285-288.
- ^ 原田英司「<研究・技術報告>実験水槽における水位変化の簡便な自動制御 : 人工潮汐」『瀬戸臨海実験所年報』第2号、京都大学理学部附属瀬戸臨海実験所、1988年3月、25-27頁、NAID 120005327054。
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