法人 法人の概要

法人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/21 17:29 UTC 版)

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概説

法人は一定の目的を持つ個人の集団(社団)や一定の目的のために拠出された財産(財団)を意味する[1]

法人制度には次のような役割がある。

  • これらを法的に独立した権利主体、行為主体、責任主体として扱うことで、これらの外部関係、内部関係を簡便に処理することが可能となる[2]
  • 集団の構成員の個人財産と法人固有の財産を分離することで団体としての管理運営を可能にすることができる[2]

法人格取得の意味には学説上の争いがあるが、1.法人の名で権利義務の主体となることが可能となる、2.民事訴訟の当事者能力が認められる、3.法人財産へ民事執行をする場合には法人を名宛人とすることが必要となる、4.構成員個人の債権者は法人の財産には追及できない、5.構成員個人の法人の債権者に対する有限責任などの点が考えられる[3]。しかし、これらの法的効果は法制度や法人の種類によって異なっており(例えば日本の合名会社は法人であるが社員は法人の債権者に対しても無限責任を負っており5の要件を満たさない)、法人格取得の意味を正確に整理することは困難である[3]

法人制度は古代ローマでは公共機関・自治組織・政治団体など、中世には職能団体や教会財産などが社会的に重要な役割を果たしていた[1]

現代社会では経済主体としての営利法人が重要な役割を担っている[1]

このほか非営利組織(NPO)や非政府組織(NGO)などの活動も活発になっている[1]

法人の本質

法人の本質は19世紀以来の法学界(特にドイツ)の大きな論争のテーマであった[4][2]。法人の本質には、種種の学説がある。

法人擬制説
法人擬制説(ほうじんぎせいせつ)は、もともと法的主体は1人1人の個人だけであり、法人は法によって個人を擬制していると考えるものである。
法人実在説
法人実在説(ほうじんじつざいせつ)は、個人のほかにも社会的になくてはならないものとして活動する団体があり、その団体は法的主体であると考えるものである。

しかし、各説は平面的に対立する関係にはないと考えられるようになっており、この議論の現代的意味は相当程度失われてしまっている[4][2]

法人の種類

公法人と私法人

憲法行政法などの公法規範により機構や権限が定められた法人を公法人、私法上の法人を私法人という[5]。公法人と私法人の区別は理論的な区別にとどまり、現代では区別の実益が非常に小さくなっている[4]

内国法人と外国法人

国内法によって設立された法人を内国法人、外国法によって設立された法人を外国法人という。ただし、法人税法上は本店または主たる事務所が国内にある法人を内国法人、それ以外を外国法人という[5]

社団法人と財団法人

人々の結合(人間の団体)としての社団を基礎とする法人を社団法人、特定の目的のために拠出された財産(財産の集合体)を基礎とする法人を財団法人という[4][5]。人々の団体的結合である社団法人は組合契約と連続性があり、特別な財産の管理を目的とする財団法人は信託契約と連続性がある[5]

営利法人と非営利法人

営利法人とは物質的利益を法人の構成員に分配することが認められている法人をいう[6]。それ以外の法人が非営利法人であり、法人が物質的利益を得る活動をしても法人の構成員に分配しない限りは営利とは言えない[6]

ドイツでは営利を目的とするか営利を目的としないかで法人を二種類に分けて規律している[6]

なお、便宜的に「営利法人」と「公益法人」に分類されることがあるが、営利性の有無と公益性の有無は本来次元の異なるものである[7]。公益法人の「公益」とは不特定多数の利益を図ることをいう[8]

日本では明治時代に制定された民法が公益法人と営利法人に分け、さらに営利を目的としないもののうち公益に関するものだけが社団法人として法人格を取得できるとしていたため、営利を目的としないがもっぱら構成員の利益を図ることを目的として設立される団体(同窓会やクラブなど)は法人格を取得できなかった[6]。この問題を改善するため、2002年に中間法人法、さらに2006年に一般社団法人及び一般財団法人に関する法律が制定された[9]


  1. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、134頁。ISBN 978-4535515963
  2. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、135頁。ISBN 978-4535515963
  3. ^ a b 神田秀樹『会社法 第16版』弘文堂、4頁。ISBN 978-4335304606
  4. ^ a b c d 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、121頁。ISBN 978-4656300110
  5. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、141頁。ISBN 978-4535515963
  6. ^ a b c d 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、124頁。ISBN 978-4656300110
  7. ^ 河上正二『民法総則講義』日本評論社、144頁。ISBN 978-4535515963
  8. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、123頁。ISBN 978-4656300110
  9. ^ 河上正二『民法総則講義』日本評論社、132頁。ISBN 978-4535515963
  10. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、139頁。ISBN 978-4535515963
  11. ^ a b 河上正二『民法総則講義』日本評論社、138頁。ISBN 978-4535515963
  12. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、126頁。ISBN 978-4656300110
  13. ^ a b c d e f g 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、125頁。ISBN 978-4656300110
  14. ^ a b c d 河上正二『民法総則講義』日本評論社、140頁。ISBN 978-4535515963
  15. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、129頁。ISBN 978-4656300110
  16. ^ a b c 河上正二『民法総則講義』日本評論社、140頁。ISBN 978-4535515963
  17. ^ 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、130頁。ISBN 978-4656300110
  18. ^ a b 河上正二『民法総則講義』日本評論社、140頁。ISBN 978-4535515963
  19. ^ a b c 星野英一『民法概論 I 改訂版』良書普及会、148頁。ISBN 978-4656300110


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