めっき めっきの概要

めっき

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/18 21:31 UTC 版)

金属の表面に他の金属を圧延して貼り合わせる技術はクラッド英語版といい区別する[2]

「メッキ」と片仮名で表記されることも少なくないため、外来語のように受け取られることもあるが、和製漢語とされる滅金(めっきん)に由来する語である[2]鍍金(ときん、めっき)ともいう[2]

概要

めっきには電気めっきや溶融めっきなど様々な方法があり目的や用途によって使い分けられる[2]。めっき処理の目的には、装飾、防蝕、表面硬化、機能性付与(機械的・電気的・磁気的・光学的特性)などがある[3]。また、代表的なめっき製品にトタンブリキがある。トタン亜鉛をめっきしたもの、ブリキは鉄にスズをめっきしたものである。鉄等の母材に亜鉛等のイオン化傾向の大きい金属をめっきすることで電位差によって、スズ等のイオン化傾向の小さい金属をめっきする事で皮膜によって母材の腐食を防ぐ効果がある。

導電性の素材はめっき液に浸けて陰極につなぐことによってめっきする。プラスチック等の不導体にめっきを施す場合には、表面に導電化処理を施してからめっき液に浸けて電解したり、真空蒸着スパッタリングによってめっきを施す。

日本語のめっきの語源は滅金(めっきん)に由来する[2]。例えば東大寺盧舎那仏像(奈良の大仏)では、水銀に溶かしてアマルガム化し、これを塗布してから加熱して水銀を蒸発させて金だけを残す方法(塗金という)が行われた[2]。アマルガム化の際に金は水銀中に溶かされてしまうことから滅金と呼ばれた[2]。なお、金属膜を被せる技術を鍍金(ときん)という[2]

なお、日本語では貴金属(特に金)でめっきした卑金属が外見ほどの価値を持たない点から、比喩として、今まで実力があるように見えていた人物が実はそうではなかったと判明した場合や重大な失敗をした場合などに、「めっきがはげた」という表現がしばしば用いられる。関連する類似の表現として、美術品の制作などで、元はあまり価値のない下地素材に金箔などで装飾を施して価値のあるものを作ることから生じた比喩として、経歴の見た目をよくするための行為などを「箔をつける」と呼ぶことがある。

歴史

世界最古のめっきが行なわれた時代は、紀元前1500年頃にはアッシリアで錫めっきが行われていたとの記録があるとされる[2]他、現在のイラクの首都バグダッド郊外から出土したバグダッド電池を根拠として、2000年前のパルティア人によるものとする説、1700年前のスキタイ人によるものとする説など様々である[4]

日本へは仏教とともに技術が伝来したといわれている[2]。1871年に偶然発見された仁徳天皇陵の埋葬品である甲冑(4~5世紀頃)が日本最古である可能性(埋葬者は仁徳天皇と確定していない)があるが、甲冑は埋め直しが行なわれたため現存していない[5]

近代日本においては薩摩藩島津斉彬が初めて電気めっきを試みたとされ[2]1855年に初めて甲冑金具に行ったのが最初と伝えられる。1871年に宮崎柳条が「西洋百工新書」を出版しているが、その中に電気めっきの工程が紹介されている[6]

1937年(昭和13年)8月20日大蔵省は戦時経済体制の強化を図るために金使用規則を改正。金めっきを含む金製品の製造は大蔵大臣の許可を要するものとなった[7]


  1. ^ マクダーミッド社・英和めっき技術用語辞典”. マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン株式会社. 平成26-11-30閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 職業能力開発総合大学校基盤整備センター『2級めっき科教科書』1997年、1頁
  3. ^ a b c d e 職業能力開発総合大学校基盤整備センター『2級めっき科教科書』1997年、3頁
  4. ^ KIYOKAWAめっき教室
  5. ^ 写真と模型で見る百舌鳥古墳群(堺市ホームページ) Archived 2012年1月19日, at the Wayback Machine.
  6. ^ 大阪鍍金工業協同組合『組合50年史』(昭和42年)
  7. ^ 九金以下も大蔵大臣の許可が必要に『東京朝日新聞』(昭和13年8月19日夕刊)『昭和ニュース辞典第6巻 昭和12年-昭和13年』p125 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  8. ^ 職業能力開発総合大学校基盤整備センター『2級めっき科教科書』1997年、2頁


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