RSP-03
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/06 04:12 UTC 版)
RSP-03 | |
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所属 | リーマンサットスペーシズ |
公式ページ | https://rsp03.rymansat.com |
状態 | 打ち上げ待ち |
目的 | 作曲 |
観測対象 | 星 |
打上げ機 | SpaceX Falcon9 Block5 CRS SpX-33[1] |
打上げ日時 | 2025年8月24日[2] |
物理的特長 | |
本体寸法 | 10×10×10 cm |
質量 | 1.19 kg |
姿勢制御方式 | 三軸リアクションホイール/三軸磁気トルカ |
軌道要素 | |
周回対象 | 低軌道 |
軌道 | ISS軌道 |
高度 (h) | 400Km |
軌道傾斜角 (i) | 51.6° |
観測装置 |
RSP-03(アールエスピーゼロスリー)は、リーマンサット・プロジェクト(リーマンサットスペーシズ)が開発した4機目のCubeSat。ミッション名「星のシンフォニー(Stellar Symphony)」、愛称は「ハモるん」[3]。Space BDとのISS放出3機契約の最終機であり、Space BD株式会社が事業者として「きぼう」からの放出を支援している[4]。
概要
RSP-03は、国際宇宙ステーション(ISS)から放出される1Uサイズ(10cm×10cm×10cm)の超小型人工衛星である[5]。
愛称の「ハモるん」は、RSP-03チーム内部メンバーから募集し、メンバー内での投票によって決定された。鱧(ハモ)が3匹で音楽を"ハモる"様子から音楽衛星をイメージしたもので、先行する超小型衛星RSP-01の"Selfie-sh"と同じ魚キャラクターで、後継機としての連続性を持たせている[3]。
プロジェクトマネージャーは、鬼頭佐保子から現PMヒロシへ2023年4月に交代している[6]。
ミッション
メインミッション
星のデータを音楽要素に変換し、多重音の音楽(星のシンフォニー)を作曲し、宇宙から音楽データを地上に届ける[4]。具体的には、星や星座をカメラで撮影し、取得した画像データと衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)を音声データに変換し、デジトーカで地上に送信する[7]。
サブミッション
- アマチュア無線家からのアップリンクを音の要素として利用
- 衛星に保存されているQSLカードをSSTVにて送信[7]
- 宇宙ポストプロジェクト:募集した願い事を宇宙に届けて流れ星にする[4]。2019年11月24日〜2023年11月30日に収集した51,689通のお願いごとを搭載している[8]
通信
運用周波数は437.050 MHz(FM)[7]。RSP-03地上局から「ハモるん」にコマンドを送信したときに、SSTVやデジトーカを送信する仕組みとなっている。
開発経緯
- 2022年 - 開発開始(スタートラッカーで奏でる宇宙音楽衛星として)
- 2022年5月28日、6月4日 - PMDR実施
- 2023年4月 - プロジェクトマネージャー交代(鬼頭佐保子から現PMヒロシへ)[6]
- 2023年5月13日 - IARUにてアマチュア無線周波数調整完了
- 2024年2月 - ハモるんのキャラクターデザイン誕生[9]
- 2024年3月 - 宇宙ポスト(51,689通)をFM筐体に格納[8]
- 2024年12月4日 - JAXA筑波宇宙センターにて引き渡し完了[5]
- 2025年8月24日 - SpaceXドラゴン宇宙船SpX-33により打ち上げ[10][11]
- 2025年9月19日 - ISS「きぼう」日本実験棟からの放出予定[4](放出の様子は聴講型イベントとして配信予定)
打ち上げ
2025年8月24日15時45分(日本時間)、アメリカ・フロリダ州にあるケープカナベラル宇宙軍施設から、SpaceXドラゴン宇宙船SpX-33によりISS「きぼう」日本実験棟へ向けて打ち上げられた[10][11]。翌8月25日20時30分(日本時間)にISSへ結合される予定である[11]。
ISS放出
2025年9月19日(金)にISS「きぼう」日本実験棟から放出される予定である[4]。今回の放出では、RSP-03を含む計5機の超小型衛星(GHS-01、DRAGONFLY、STARS-Me2、RSP-03、Atsushi Space Challenge)が放出される[4]。
ISSからの放出後、軌道上での初期運用を行い、その後本格的な運用を開始する予定となっている。搭載されたお願いごとは、衛星とともに地球の周りを半年から1年周回し続け、最後に大気圏突入して流れ星になる[8]。
開発体制
PMチーム、ミッション系、C&DH系、姿勢制御系、通信系、地上局系、電源系、熱構造系、デザイン系、外部公開系、ファンディング系の全11系統のチームに分かれて開発された[要出典]。
RSP-03はバス・システムも含めてほぼすべて自分たちで設計・製造したことが特徴の一つであり、2024年11月から2025年1月にかけて、RSP-03の技術解説や開発秘話を紹介する無料の「技術講演会」が合計14時間にわたって開催された[5]。
資金調達
開発費用は1100万円(内訳非公開)[12]。
クラウドファンディングは以下の通り実施された:
- 2023年1月16日〜2月28日 - Readyforにて実施(目標金額300万円、調達金額335万2000円)[13]
- 2024年11月23日〜2025年1月23日 - Readyforにて2回目実施(目標金額300万円、調達金額457万318円)[14]
- 総調達金額:792万2318円
専用ウェブサイト
RSP-03専用の特設サイトが開設されており、衛星の追跡情報や作曲した音楽データの公開などが予定されている[9]。
脚注
- ^ “打ち上げ時期” 2024年12月14日閲覧。
- ^ “CRS SpX-33” 2025年9月5日閲覧。
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: CS1メンテナンス: 先頭の0を省略したymd形式の日付 (カテゴリ) - ^ a b “超小型衛星RSP-03の愛称が決定しました!”. リーマンサット・プロジェクト (2024年2月1日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b c d e f “「きぼう」から超小型衛星5機を2025年9月19日(金)に放出する予定です”. JAXA 有人宇宙技術部門 (2025年9月5日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b c “リーマンサット・プロジェクト、3機目の超小型人工衛星「RSP-03」引き渡し完了と打ち上げ計画のお知らせ”. PR TIMES (2024年12月15日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b “工場活動日記@RSP-03(2023年4月)”. リーマンサット・プロジェクト (2023年5月26日). 2024年3月30日閲覧。
- ^ a b c “宇宙からあなたへ届け!デジトーカとSSTV(ハモるん開発記)”. リーマンサット・プロジェクト (2024年11月25日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b c “超小型衛星RSP-03に宇宙ポストを格納しました(ハモるん開発記)”. リーマンサット・プロジェクト (2024年4月7日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b “ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年2月”. リーマンサット・プロジェクト (2024年11月20日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b “リーマンサット・プロジェクト、超小型人工衛星「RSP-03」が8月24日に宇宙へ”. PR TIMES (2025年8月15日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ a b c “超小型衛星RSP-03"ハモるん"が宇宙へ向けて出発しました!”. リーマンサット・プロジェクト (2025年8月24日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ “【無料講演会】超小型人工衛星RSP-03開発ウラ話14連発”. Peatix (2024年11月2日). 2024年11月2日閲覧。
- ^ “宇宙に瞬く星々を多重音のシンフォニーとして地上の人達と楽しみたい!”. Readyfor (2023年2月28日). 2024年2月15日閲覧。
- ^ “手のひらサイズの衛星が、宇宙の神秘を歌い上げる!”. Readyfor (2025年1月21日). 2025年1月21日閲覧。
関連項目
- リーマンサット・プロジェクト
- CubeSat
- 国際宇宙ステーション
- アマチュア無線
- Space BD
外部リンク
- RSP-03のページへのリンク