グリーゼ832
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/18 09:28 UTC 版)
グリーゼ832 Gliese 832 |
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---|---|---|
星座 | つる座[1] | |
見かけの等級 (mv) | 8.672[2] | |
分類 | 赤色矮星[2] | |
位置 元期:J2000.0[2] |
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赤経 (RA, α) | 21h 33m 33.9751191976s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | −49° 00′ 32.399427028″[2] | |
赤方偏移 | 0.000044[2] | |
視線速度 (Rv) | 13.164 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: -45.917 ミリ秒/年[2] 赤緯:-816.875 ミリ秒/年[2] |
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年周視差 (π) | 201.3252 ± 0.0237ミリ秒[2] (誤差0%) |
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距離 | 16.2 ± 0.002 光年[注 1] (4.9671 ± 0.0006 パーセク[注 1]) |
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絶対等級 (MV) | 10.2[注 2] | |
物理的性質 | ||
半径 | 0.442 ± 0.018 R☉[3] | |
質量 | 0.441 ± 0.05 M☉[3] | |
表面重力 | 4.82 ± 0.05 (log g)[4] | |
自転周期 | 37.5+1.4 −1.5 日[4] |
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スペクトル分類 | M2/3V[2] | |
光度 | 0.0276 ± 0.0009 L☉[3] | |
表面温度 | 3,539+79 −74 K[3] |
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金属量[Fe/H] | -0.11 ± 0.09[3] | |
年齢 | 60 ± 15 億年[3] | |
他のカタログでの名称 | ||
GJ 832 ルイテン 354-89[2] CD-49 13515[2] HD 204961[2] HIP 106440[2] LHS 3865[2] LCC 0420[2] 2MASS J21333397-4900323[2] |
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グリーゼ832(英語: Gliese 832)または GJ 832 は、地球からつる座の方向に約16光年離れた方向に位置する赤色矮星である[1]。質量・半径ともに太陽の4割程度の恒星だと考えられている。約52,920年前は、地球から15.71光年と、現在より少し地球に近い位置にあったと考えられている[5]。
太陽 | グリーゼ832 |
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惑星系
2008年9月、グリーゼ832から離れた位置を木星に似た太陽系外惑星グリーゼ832bが真円に近い軌道で周囲を公転していると報告された[6]。この惑星はドップラー分光法を用いて発見されたが、摂動によりグリーゼ832の位置を0.95ミリ秒ほど揺れ動かすと考えられるため、アストロメトリ法による検出も期待されている。また、主星との角距離は発見当時としてはエリダヌス座ε星とその惑星bに次いで大きいものだったが、恒星と惑星のコントラストの都合で直接撮影による検出は難しいと予想されている[6]。
2014年、ドップラー分光法による観測で第2の惑星グリーゼ832cを発見したという研究が発表された。この惑星はハビタブルゾーン内に存在するスーパーアースと考えられている[7][8]。しかしその後、2015年にこのグリーゼ832cの公転周期が主星の自転周期に近いことから、グリーゼ832cに由来しているとされた主星の視線速度変動が主星そのものに由来している可能性を示す研究結果が公表された。そして2022年、グリーゼ832cの存在を示す視線速度の変動が主星の恒星活動に由来していることを示す特徴がみられたことから、グリーゼ832cの存在が否定されることとなった[4]。この研究を受けて、NASA Exoplanet Archive はグリーゼ832cの現況を「Confirmed(確認)」から「False Positive Planet(偽陽性)」に格下げし、正式に確認された太陽系外惑星の一覧から除外した[9]。
2016年4月、まだ2つの惑星が存在すると思われていたグリーゼ832系に3番目の惑星が存在できるかどうかの研究内容が発表された[10]。テキサス大学アーリントン校の Suman Satyal らの研究チームがグリーゼ832系のデータを元にシミュレーションを行った結果、軌道長半径が 0.25 au から2 2 au の範囲内(グリーゼ832bとグリーゼ832cの間)には3番目の惑星が安定して公転できるという結果が得られた。仮に第3の惑星が存在する場合、質量は地球の15倍以下と見積もられている[10]。
名称 (恒星に近い順) |
質量 | 軌道長半径 (天文単位) |
公転周期 (日) |
軌道離心率 | 軌道傾斜角 | 半径 |
---|---|---|---|---|---|---|
c (撤回) | ≥5.4 ± 0.95 M⊕ | 0.163 ± 0.06 | 35.68 ± 0.03 | 0.18 ± 0.13 | — | — |
b | ≥0.74 ± 0.06 MJ | 3.56 ± 0.28[6] | 3838.03+47.30 −49.23 |
0.04 ± 0.02 | — | — |
脚注
注釈
出典
- ^ a b “Gliese 832 Star Facts”. universeguide.com (2023年3月15日). 2023年3月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r “Results for HD 204961”. SIMBAD Astronomical Database. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月18日閲覧。
- ^ a b c d e f Pineda, J. Sebastian; Youngblood, Allison; France, Kevin (2021). “The M-dwarf Ultraviolet Spectroscopic Sample. I. Determining Stellar Parameters for Field Stars”. The Astrophysical Journal 918 (1): 23. arXiv:2106.07656. Bibcode: 2021ApJ...918...40P. doi:10.3847/1538-4357/ac0aea. 40.
- ^ a b c d Gorrini, P.; Astudillo-Defru, N.; Dreizler, S. et al. (2022). “Detailed stellar activity analysis and modelling of GJ 832: Reassessment of the putative habitable zone planet GJ 832c”. Astronomy and Astrophysics 664: A64. arXiv:2206.07552. Bibcode: 2022A&A...664A..64G. doi:10.1051/0004-6361/202243063.
- ^ Bailer-Jones, C. A. L. (March 2015). “Close encounters of the stellar kind”. Astronomy and Astrophysics 575: 13. arXiv:1412.3648. Bibcode: 2015A&A...575A..35B. doi:10.1051/0004-6361/201425221. A35.
- ^ a b c Bailey, J.; Butler, R. P.; Tinney, C. G. et al. (2009). “A Jupiter-like Planet Orbiting the Nearby M Dwarf GJ832”. The Astrophysical Journal 690 (1): 743-747. arXiv:0809.0172. Bibcode: 2009ApJ...690..743B. doi:10.1088/0004-637X/690/1/743.
- ^ a b Wittenmyer, R. A.; Tuomi, M.; Butler, R. P. et al. (2014). “GJ 832c: A super-earth in the habitable zone”. The Astrophysical Journal 1406 (2): 5587. arXiv:1406.5587. Bibcode: 2014ApJ...791..114W. doi:10.1088/0004-637X/791/2/114.
- ^ “Is this the most Earth-like planet ever found? Alien exoplanet just a 'stone's throw' from Earth and even has similar seasons”. Mail online. (2014年6月26日) 2014年6月28日閲覧。
- ^ “2022 Exoplanet Archive News | September 26, 2022 - 84 Giant Planets Added”. NASA Exoplanet Archive. Caltech/IPAC. 2023年3月17日閲覧。
- ^ a b S. Satyal, J. Griffith, Z. E. Musielak (15 April 2016). "An Earth-Like Planet in GJ 832 System". arXiv:1604.04544v1 [astro-ph.EP]。
関連項目
「GJ 832」の例文・使い方・用例・文例
- また,すばる望遠鏡は最近,GJ 504という名の若い恒星の周りを回っている木星に似た太陽系外惑星の画像撮影にも成功した。
- 詳細は、Mauer不動産のKim Yoshida、832-2938までご連絡ください。
- 1832年以来保守党として知られている英国の政党のメンバー
- 米国の小説家で、児童図書で知られる(1832年−1888年)
- ソーク族の指導者で、1832年に米国に敵対するフォックスとソークの兵士を指揮した(1767年−1838年)
- フランスの物理学者で、熱力学の基礎を築いた(1796年−1832年)
- フランス人でエジプト学者で、ロゼッタストーンを研究し、1821年にエジプトの象形文字を初めて解読した(1790年−1832年)
- フランスの自然主義者で、比較解剖学の父として知られる(1769年−1832年)
- フランスの技術者で、エッフェル塔を建築した(1832年−1923年)
- フランスの作家で、探偵小説の創始者であると考える人もいる(1832年−1873年)
- ワイマールに住んでいたドイツの詩人、小説家および劇作家(1749年−1832年)
- 米国の建築家で、鉄鋼の骨組みが使用された最初の高層ビルを設計した(1832年−1907年)
- フランスの画家で、その作品は印象派に影響を与えた(1832年−1883年)
- 彼が熱で参っていたとき、モンマス裁判所の闘争の間、モンマス・コート・ハウスの戦いに兵士への水を運び、彼女の夫の銃を引き継いだアメリカ独立戦争のヒロイン(1754年−1832年)
- デンマークの言語学者で、古スカンジナビア語の研究が比較言語学の分野での先駆けとなった(1787年−1832年)
- 歴史小説とバラードの英国の作成者(1771年−1832年)
- 英国の作家(1832年−1904年)
- 米国の教育者で、1865年(エズラ・コーネルとともに)にコーネル大学を設立して、最初の学長としてに勤めた(1832年−1918年)
- 1832年,ワシントン市で,トーマス・ゲイツという名の御(ぎょ)者(しゃ)の少年は,瀕(ひん)死(し)の主人から歴史上最高の財宝の秘密を知る。
- それはダイハツの軽自動車「ミラバン」から改造され,8320本のリチウムイオン電池を搭載していた。
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