486の搭載と、MS-DOS・MS-Windows3.1からWindows95の時代へ
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「PC-9801シリーズ」の記事における「486の搭載と、MS-DOS・MS-Windows3.1からWindows95の時代へ」の解説
1990年代に入り、Windows 3.0/3.1の登場と、安価なPC/AT互換機(DOS/V)の本格的な日本上陸という大きなムーブメントが起きた。PC-9801FAはコストの問題からCPUに16MHz駆動の486SXを搭載していたが、これに対してユーザーから「640×400ドットの画面はWindowsには狭い。16MHzでは快適に使えない。」との批判が集中した。こうした中、1992年5月にセイコーエプソンが25MHz駆動の486DXとハイレゾ相当の高解像度表示ができるPC-486GRを発売してヒットする。1992年7月、NECの高山由(当時、NEC取締役)は開発部隊を集めた会議で「確かにFAは売れている。しかし98シリーズの先進性はどこへ行った。私は寂しい。」と発言。従来路線を大きく変える方針で新製品の開発が始まり、1993年1月18日にNECはハイエンドのPC-9821シリーズ(公式の愛称は「98MATE」)を投入した。従来のPC-9800シリーズ(PC-9801型番の機種)は一般に「PC-9801シリーズ」として区別されるようになり、MS-DOSベースの市場向け、またPC/AT互換機との価格対抗のための廉価版として傍流に位置づけられ、公式には「98FELLOW」という愛称がつけられた。デザインや色もPC-9821に準じた丸みを帯びた形状とアイボリーに変更となっている。 これらの新シリーズは製造コスト削減のために、FM音源や増設用FDD端子の削除、拡張スロット数の削減、専用HDDユニットから汎用IDEへの変更、ファイルスロットから5インチベイへの変更等が行われている。一部のマザーボードはECSなどの台湾企業に生産が委託された。キーボードはそれまでのメカニカルスイッチからメンブレンスイッチの安価な物に変更され、キータッチは反発感があるものになった。これについて月刊アスキー誌は「好みは分かれそうだが、長時間使う場合には底の反動が来る従来のキーボードよりも、ふにゃふにゃした新キーボードの方が指に負担をかけないように思う」と評価した。なお、入力性能に強く影響を及ぼすNキーロールオーバー機能は死守されている[要出典]。 1993年1月に98FELLOWが発売されて間もなく、旧機種となったPC-9801Fシリーズ(FA/FS/FX)は販売価格が急速に下がった。98FELLOWが性能を向上しつつ価格を大幅に下げたため、PC-9801Fシリーズは値引きをしないと売れない状況になっていた。1993年2月時点でPC-9801FA2(希望小売価格458,000円)は秋葉原での実売価格が20万円を下回っていた。 この価格低下と9821シリーズへの移行は、それまでの(高価な)既存機のユーザーに衝撃をもたらした。既存機の性能を少しでも上げようと、80286/i386SXCPUをサイリックスなどのピン配置がi386SXと同等の486互換CPUに交換するためのCPUアクセラレータが流行した。CPUソケットを使用した機種の多いPC-9800シリーズならではの現象だったが、これらはネイティブな486機と比較すると、動作が不安定な上に起動時にキャッシュコントロールドライバを組み込む必要があり、十分な実行速度が得られるとは言い難かった[要出典]。 またPC-9821への移行直前に発売されたPC-9801FAは、高価な割には売れており、しかもクロックがi486SX-16MHzという非力な仕様のため、翌年のMATE Aシリーズとの性能差が大きかったことから特に9801FAユーザーがくやしい思いをしたという。FAではFPUソケットにDX4ODPを増設するのは保証外でFDD等に不具合が出る可能性があり、動いたとしても48MHzにしかならない。もっとも旧機種向けにサードパーティ製のCPUボードと各種拡張ボードを併用するなどして、Windows95/98をインストールした者もいた[要出典]。また後年には、CPUバスクロックが16MHzあるいは20MHzの386機とFA、それに初期のFellow用として、専用設計のドーターボード上にクロックダブラー回路を搭載することでボード上のローカルバスクロックを2倍速の33MHzあるいは40MHzとした上で、Cx5x86-100MHzやAm5x86-133MHzといった高速CPUと、16M以上のメモリ空間に配置される大容量メモリモジュールを駆動する、ハイパーメモリCPUという製品がメルコから発売されており、これを使用するとCPU周りに関しては最高でPentium 75MHz並みの速度が得られた。 この「98FELLOW」「98MATE」シリーズから、内蔵3.5インチFDDは、従来のPC-9800シリーズのフォーマットに加え、PC/AT互換機で使われている1.44MBフォーマットにも対応するようになった。 PC-9801BX/BA 1993年1月 CPUはi486SX-20MHz/486DX2-40MHzが搭載された。それぞれ、それぞれ内蔵ドライブ構成の相違から、/U2(3.5FDD×2)/U6(3.5FDD×1+HDD=80M)/M2(5.25FDD×2)の3種に仕様が分けられていた。 BXでは当初から専用のオーバードライブプロセッサ(ODP)が用意されるようになり、容易にBA相当にパワーアップできるようにされていた。なおBXとODPの合計額は、BAよりも1万円高で済んだという。 PC-9801BX2/BS2/BA2 1993年11月 CPUはi486SX-25MHz/i486SX-33MHz/486DX2-66MHzが搭載され、これらの機種もそれぞれ内蔵ドライブ構成の相違から、/U2(3.5FDD×2)/U7(3.5FDD×1+HDD=210M)/M2(5.25FDD×2)というサブモデル名が存在する。 HDD搭載モデルはFDDが1基搭載であるが、この機種から前面パネルの一部を交換でき、オプションで2つに増設することも可能であった。また、FDDの下にファイルベイが追加されている。 このモデルより汎用SIMMが利用可能となり、最大14.6Mバイトの制限が撤廃されたほか、パラレルポート(プリンタインタフェース)がハーフピッチに、マウス端子が丸型に変更されるなど、PC-9800シリーズ過渡期のモデルといえる。なお9801型番の5インチFDD内蔵モデルはこの機種が最後となり、これ以降はPC-9821Aシリーズの一部のFDDモデルに搭載されるだけとなった。 グラフィックアクセラレータチップが省略された点を除けば、それぞれPC-9821Be/Bs/Bpと共通の設計が利用されている。このためPC-9801型番としては珍しく、BA2のみBp相当のセカンドキャッシュが搭載可能だった。BX2のみシステムクロックが低いこともあり、このときの3機種は下位機を拡張しても上位機相当にはならず、それぞれが性能的に差別化されていた。 PC-9801BX3/BA3 1995年1月 定価が10万円を切る低価格(98,000円)で発売された初の98。i486SX-33MHz(BA3はi486DX2-66MHz)を搭載する。仕様別に/U2(3.5FDD×2)と、ウィンドウアクセラレータB3を汎用拡張スロットに実装し、メモリ容量を増やし、HDDを搭載してWindows3.1をプリインストールした/U2/W(3.5FDD×2+HDD=210M)が存在する。前者を後者相当にパワーアップさせる増設キットPC-9801B3-E02も、別売で提供された。 PC-9801BX4 1995年7月 グラフィックアクセラレータを内蔵したPC-9801型番の最終モデル。PC-9801型番だがPC-9821Xe10と共通の部品を使用し、PC-9821相当の性能を持つ(これによりPC-9801シリーズとして唯一オンボードでVGA256色モードを持つ)。i486DX2-66MHz又はAMD486DX2-66MHzを搭載する/U2(3.5FDD×2)及び、Pentium ODP 63MHzをCPUとして搭載する/U2-P(3.5FDD×2)が存在する。また2倍速CD-ROMをそれぞれ搭載した/U2/C、/U2/C-Pも存在する。なおPODP5V63は25MHz×2.5倍であるため、33MHz×2倍のDX2-66MHzと比べてシステムクロックは低下した。
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