1800年から1950年代まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 10:03 UTC 版)
「半金属」の記事における「1800年から1950年代まで」の解説
1807年、金属と金属に類似した物質との古い分類を復活させる試みにおいてヒルマンとサイモンは、新しく発見された元素であるナトリウムおよびカリウムが水よりも軽く、多くの化学者が金属として分類することに賛成しなかったことから、これらの元素に言及するために半金属という用語を用いることを提言したが、化学者のコミュニティーに無視された。 1811年もしくは1812年、イェンス・ベルセリウスは、非金属元素がオキソアニオンを形成する能力(例えばクロムがクロム酸イオンCrO42-を形成するように多くの金属がオキソアニオンを形成するのと同様に、例えば硫黄が硫酸イオンSO42-を形成するように非金属元素もオキソアニオンを形成する)に関して半金属と呼称した。ベルセリウスの用いた半金属という語の用法は広く採用されたが、それはその後の論評者らによって直観に反する、誤用される、妥当でない、もしくは説得力がないと評価された。1825年、ベルセリウスのTextbook of Chemistryの改定されたドイツ語版において、ベルセリウスは自らが定義した半金属の概念を3種類に再分割した。1つは常に気体である「gazloyta」(水素、窒素、酸素)、1つは真の半金属「metalloid」(硫黄、リン、炭素、ホウ素、ケイ素)、そしてもう1つは塩を形成する「halogenia」(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)である。1845年に発行されたA dictionary of science, literature and artにおいて、ベルセリウスによる元素の分類は「I. gazolytes; II. halogens; III. metalloids(一定の側面においては金属に類似しているが、他は広く異なっている); IV. metals」と表された。 1844年、ジャクソンは金属に類似しているが、いくつかの性質が欠損しているという現在の半金属の概念と類似した意味を半金属の用語に与えた。1864年、非金属の分類のために使用されていた半金属という用語は最高機関によって依然として認可されていたが、その使用は必ずしも適切ではなく、半金属の用語はより正確であるヒ素のような他の元素への適用も考慮されていた。1866年という早い年代に、一部の著者は非金属元素への言及のための用語として、「半金属」よりもむしろ「非金属」という語を使用していた。1876年、チルデンは酸素、塩素、フッ素のような元素に半金属という用語を与えるような慣例が非論理的であるにもかかわらず非常に一般的であることに反対して抗議し、それまでの分類に代わって元素を真の金属であるbasigenic、半金属であるimperfect metals、非金属であるoxigenicの3つに分割した。1888年になっても、金属、非金属、半金属という元素の分類は、依然として金属と半金属という分類よりも特殊な分類であると考えられており、潜在的な混乱の原因であった。 1911年、ビーチは半金属について以下のように説明した。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}化学における半金属(金属に類似したグループ)、非金属元素とも。硫黄、リン、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素、ケイ素、ホウ素、炭素、窒素、水素、酸素およびセレンの13元素が含まれる。半金属と金属との間の区別はわずかである。前者はセレンとリンを除いて'金属的'な光沢を持たず、熱および電気の伝導性に乏しく、通常光を反射せず、陽イオンを形成しないため、これらの試験を達成しない。この用語は、金属と非金属の明瞭な境界線が存在しないという理由のために、非金属という語の代わりにもたらされた新しい語法であるらしく、そのため'金属に類似した'もしくは'金属のような'[という分類]は、純粋に電気陰性な'非金属'という分類よりも良い説明である。当初、それは常温で固体の非金属に適用されていた。 —Beach 1911、The Americana: A universal reference library 1917年ごろ、ミズーリ州薬剤師審議会は以下のように記した。 金属は熱および電気の優れた導体であり、光を強く反射し、電気的に陽性であるという点において半金属[つまり非金属]とは異なっていると言われている。半金属はそれらの性質の全てではないものの1つ以上を有しているかもしれない。ヨウ素はその金属的な外観によって、最も一般的な半金属の実例である。 —Mayo 1917、American Druggist and Pharmaceutical Record, vol. 65, no. 4,p. 55 1920年代間、半金属という用語の2つの意味は流行の移り変わりを受けているように見えた。コーチはA Dictionary of Chemical Termsにおいて、「半金属」とは「非金属」の古くすたれた言い方であると定義した。一方でWebster 's New International Dictionaryにおいては、非金属を言及するための半金属という用語の使用は、ヒ素やアンチモン、テルルのような典型的な金属に類似した元素へ何らかの方法で適用される基準として注記された。半金属という用語の使用は、その後1940年までの間大きく流動していた。半金属の用語を中間もしくは境界線上の元素に対して適用するという合意は、続く1940年から1960年の間には起こらなかった。 1947年、ライナス・ポーリングは、彼の古典的かつ影響力のあるテキストであるGeneral chemistry: An introduction to descriptive chemistry and modern chemical theoryにおいて、半金属についての言及を行った。ポーリングは半金属を中間的な性質を有する元素である…ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウムを含み、[周期表上で]斜めの領域を占領していると記述した。1959年、国際純正・応用化学連合 (IUPAC)は、例え半金属という用語が非金属の概念を意味する用語としてフランス人などの間でいまだ使われているとしても、半金属という用語は非金属を表すために用いてはならないと勧告した。
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