鬼剣舞系譜
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南下幅念仏剣舞(みなみしたはばねんぶつけんばい) - 奥州市指定無形民俗文化財 鬼剣舞の源流となった念仏剣舞の踊り組である。明治期に岩崎、及び相去に念仏剣舞を指導していた。踊りの所作等は元来の念仏剣舞である。 岩崎鬼剣舞(いわさきおにけんばい) - 国の重要無形民俗文化財(1993年12月13日指定) 鬼剣舞としての源流、宗家の踊り組みである。 相去鬼剣舞(あいさりおにけんばい)(三十人町)(さんじゅうにんまち) 1890年(明治23年)頃に南下幅念仏剣舞(奥州市胆沢南都田)から指導を受けるが、戦中から戦後に一時中断する。復活するために1959年(昭和34 年)に岩崎鬼剣舞の指導を受けた。 御免町鬼剣舞(ごめんまちおにけんばい) 1892年(明治25年)頃から岩崎鬼剣舞より指導を受け、1897年(明治30年)に秘伝書を伝授された。この際、御免町鬼剣舞から岩崎鬼剣舞へ提出した誓約書の中で「鬼剣舞」という名称が初めて用いられ、以後「鬼剣舞」と呼ばれるようになった。1899年(明治32年)に岩崎鬼剣舞より相伝。1910年(明治43年)に北鬼柳鬼剣舞、1923年(大正12年)に長沼鬼剣舞を指導したが、どちらの踊り組も伝承が途絶えている。 滑田鬼剣舞(なめしだおにけんばい)(滑田系宗家)- 国の重要無形民俗文化財(1993年(平成5年)12月13日指定) 1901年(明治34年)岩崎鬼剣舞から相伝。相伝後、飯豊鬼剣舞、谷地鬼剣舞、村崎野鬼剣舞(中断)、二子鬼剣舞、函館鬼剣舞を指導した。伝承された頃の踊りを現在に伝え、華やかな扇の使い方、流れるような踊りの所作等も特徴である。滑田鬼剣舞には、岩崎鬼剣舞が廃した三人加護と、滑田鬼剣舞独自の「狐剣舞」が伝えられている。 北鬼柳鬼剣舞(きたおにやなぎおにけんばい)(現在踊られていない) 1910年(明治43年)頃からに御免町鬼剣舞から指導を受け、大正2年(1913年)に秘伝書を伝授されたが現在は伝承が途絶えている。 飯豊鬼剣舞(いいとよおにけんばい) 1910年(明治43年)滑田鬼剣舞から相伝された。第2次大戦中には中断もあったが、1948年(昭和23年)頃に復活した。 鬼柳鬼剣舞(おにやなぎおにけんばい) 鬼柳町六軒に明治時代の剣舞面が残り、剣舞があったとする。今の鬼柳鬼剣舞は岩崎鬼剣舞を祖とする系譜に属し、1938年(昭和13年)頃から取り組み、1941年(昭和16年)に六軒鬼剣舞として復興。1954年(昭和29年)の市制施行と同時に鬼柳鬼剣舞と改称した。この間、秘伝書伝授式を挙行、伝承館建設、供養碑建立、道場を設置。 谷地鬼剣舞(やちおにけんばい) 1912年(大正元年)滑田鬼剣舞から相伝。1933年(昭和8年)供養碑を現在地に移転し、式典を執行。1965年(昭和40年)代に一時中断したが、1977年(昭和52年)に復活した。 村崎野鬼剣舞(むらさきのおにけんばい)(現在踊られていない) 1914年(大正3年)滑田鬼剣舞から指導を受け巻軸を伝授されたが現在は伝承が途絶えている。 南笹間鬼剣舞(みなみささまおにけんばい)(花巻市) 伝承の詳細は不明だが、他の多くの踊り組みが時流に流され踊りが変化してしまっている中、伝承された頃の剣舞の型を現在も演じている貴重な踊り組である。1918年(大正7年)、北藤根鬼剣舞を指導した。 北藤根鬼剣舞(きたふじねおにけんばい) 1918年(大正7年)、南笹間鬼剣舞から相伝し、さらに1923年(大正12年)には改めて岩崎鬼剣舞から相伝を受けた。1976年(昭和51年)改めて岩崎鬼剣舞から指導を得て体制を整えるが中断。近年10代、20代の若い世代で復活した。 長沼鬼剣舞(ながぬまおにけんばい)(現在踊られていない) 1923年(大正12年)に御免町鬼剣舞から指導を受けたが現在は伝承が途絶えている。 二子鬼剣舞(ふたごおにけんばい) 1956年(昭和31年)滑田鬼剣舞から相伝された。1951年(昭和26年)に子安地蔵尊例祭奉納を初演とし、 1954年(昭和29年)に全日本民舞踊大会において三人加護で優勝し鬼剣舞を全国に知らしめた、かつての鬼剣舞のスター的存在の踊り組である。なお、全日本民舞踊大会において優勝した演目の三人加護は、滑田鬼剣舞の三人加護に、二子鬼剣舞が一部アレンジ、デフォルメを加えたものであるが、鬼剣舞という伝統芸能が存在することを日本国中に、また、世界にアピールするきっかけを作った二子鬼剣舞の功績は評価に値する。 湯本鬼剣舞(ゆもとおにけんばい)(和賀郡西和賀町) 1968年(昭和43年)頃から岩崎鬼剣舞から指導を受け、1979年(昭和54年)「印可之証」、1988年(昭和63年)「念仏剣舞秘伝書」を伝授され相伝。尚、当時指導に当たったのは岩崎鬼剣舞師匠の庭元・和田喜兵衛、小田島昌悦、和田房吉、和田義喜、千田金一である。 口内鬼剣舞(くちないおにけんばい) 1968年(昭和43年)に初演の後、1986年(昭和61年)岩崎鬼剣舞から相伝された。また、2000年(平成12年)には、滑田鬼剣舞より4演目伝授の認定書を受けた。 黒沢尻鬼剣舞(くろさわじりおにけんばい)旧"黒沢尻北鬼剣舞" 2003年(平成15年)12月に創設。元鬼柳鬼剣舞の師匠の指導を受けて発足し、2012年(平成24年)1月に鬼柳鬼剣舞道場にて、兄弟の盃を交わし鬼柳鬼剣舞の正式な弟子団体となる。 2018年(平成30年)12月15日に創設15年の節目を迎え、団体名称を黒沢尻北鬼剣舞から黒沢尻鬼剣舞と改めた。2019年(平成31年)1月27日に、鬼柳鬼剣舞から'印可之証'を授与された。 椚の目鬼剣舞(くぬぎのめおにけんばい)(花巻市) 伝承の詳細不明。 煤孫鬼剣舞(すすまごおにけんばい)(現在踊られていない) 伝承の詳細不明。 中笹間鬼剣舞(なかささまおにけんばい)(現在踊られていない) 伝承の詳細不明。 二の町鬼剣舞(にのまちおにけんばい)(六原)(ろくはら)(胆沢郡金ケ崎町) 伝承の詳細不明。 船場鬼剣舞(現在踊られていない) 伝承の詳細不明。 上記以外にも、岩崎鬼剣舞の系統で岩崎新田鬼剣舞(いわさきしんでんおにけんばい)(1984年(昭和59年)に岩崎鬼剣舞に指導を請い、現在4種目の習得に至っている。)、滑田鬼剣舞の系統では黒岩鬼剣舞(旧三舘鬼剣舞)(2002年(平成14年)に黒岩の三坊木、舘地区で二子鬼剣舞の指導を受けて発足。)がある。東京、京都、札幌、新潟にも団体がある。他にも、県内外、海外(パラグアイ等)の鬼剣舞の踊り組が存在する。また、全国高等学校総合文化祭郷土芸能部門で何度も優秀な成績をおさめ、2012年(平成24年)富山県で行なわれた第36回大会では文部科学大臣賞・最優秀賞を受賞した北上翔南高校鬼剣舞部のような、鬼剣舞をクラブ活動として行っている学校もある。
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