運営・組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 05:19 UTC 版)
多くのプロ・オーケストラは常設かつ専門の団体である。 歌劇場のオーケストラピット内での活動を主とするオーケストラはドイツを中心に多数存在し、そのほとんどがオペラのみならず演奏会も行う。ウィーン国立歌劇場の管弦楽団員の中から組織されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、その一例である。ドイツ圏はあわせて下記の放送交響楽団や、いずれにも属さないコンサートオーケストラも非常に盛んなこともあり、世界でも群を抜いたオーケストラ大国となっている。東西ドイツ統一時にはプロオーケストラの合計数200といわれた(オーストリアやスイスは含まれない)が、現在は統合により若干減少している。ただし、税金の補助が厚いため、たとえば概ね自主運営に頼るロンドンの5大オーケストラが70~90名編成で大曲演奏の際はエキストラを入れているのに対し、人口7万の都市に拠るバンベルク交響楽団ですら110名編成を擁する(同団は元は大都市プラハを基盤にしていたという特殊な歴史的事情もあるが)など、全体にフル編成志向が強い。これは、ローテーション式が多い歌劇場管弦楽団の伝統も影響している。オーケストラは小編成で発足して徐々に拡充していく例が一般的で、大編成オーケストラは財政基盤が安定していることが多いため、編成の大きさがそのままオーケストラの格付けに結びつくように誤解されることもあるが、必ずしもそうではなく、あえて三管編成にとどまったまま世界一流と見なされる団体もロンドンなどをはじめ多く存在する。 また、放送局が専属のオーケストラを持つ例も多い(放送オーケストラ)。これはもともと、番組のテーマ曲、ドラマの伴奏、各種の放送用音楽を調達しやすくするために所有しはじめたのが根源であり、大小さまざまな放送局がそれぞれの経済規模にあったオーケストラを所有していた。大きな放送オーケストラは、主に国家予算で運営されてきた、世界の国営放送局や、それらにかわる公共放送局などであり、放送の歴史が長い欧州に多い。ラジオフランスに代表される各国の国営放送直営の楽団や、ドイツの各地域を担当する公共放送局の楽団(バイエルン、ベルリン、北ドイツなど)などがその例である。BBCも有名交響楽団を持つ公共放送局である。また、商業放送会社が所有したオーケストラの一例として米国のNBCが所有していたNBC交響楽団がある。日本においてはABCがABC交響楽団ほか複数の管弦楽団を所有し、演奏会のほかに、放送番組用の音楽を多数演奏した。また日本フィルハーモニー交響楽団は、当初文化放送の専属オーケストラとして誕生し、フジテレビジョンと専属契約を結んでいた。NHK交響楽団は独立した財団法人ではあるが、日本放送協会(NHK)と密接な関係を有しており、放送局付属オーケストラに準ずる存在となっている。また、ベルリンの米軍占領地から東ドイツに向けて放送されていたRIASが所有していたベルリン放送交響楽団などもあり、現在も名を変えて活動している。 地方都市に本拠を置く楽団の場合は、楽団の運営資金の多くを自治体に依存して運営されていることがある。この場合、自治体の財政状態に楽団の運営も左右されがちになっている。 反面、独立の団体としてのオーケストラは、オーナーからの定期的な演奏の発注がないため、定期演奏会の入場料やレコード録音の契約料を頼みにしなければならず、優れた契約スポンサーを持っているか、ごく一部の人気楽団や経営形態の改善に成功した楽団を除けば、これだけで存立することは難しい。オーナーやスポンサーの引き揚げによって、独立運営を強いられるケースもあり、これは直接オーケストラの存続に関わる。海外ではEMIの支援を失ったフィルハーモニア管弦楽団の解散、日本でも1972年の日本フィルハーモニー交響楽団の解散・分裂などの事例が発生している。上2件は再建に成功した例だが、NBC交響楽団はスポンサー撤退、新組織以降後9年で消滅した。日本のABC交響楽団に至っては名義の継承先が転々として解散時期すら明確に記録されていない。 以上のような常設楽団に対し、毎年の音楽祭などで臨時に集まる音楽家によって組織されるものも存在する。例えばバイロイト祝祭管弦楽団が有名なものであり、日本ではサイトウ・キネン・フェスティバル松本の際に結成されるサイトウ・キネン・オーケストラなどがある。これらは、その都度メンバーが変わることも多く、特にバイロイト祝祭管弦楽団はウィーン・フィル団員が多数を占めた時期、ベルリン国立歌劇場管弦楽団員が主体であった時期など、年度によって響きが大きく変わっているといわれる。また、通常は楽員が個別の音楽活動をし、コンサートの度に集まる形で運営されている非常設楽団も存在する。日本では静岡交響楽団や浜松フィルハーモニー管弦楽団、Meister Art Romantiker Orchesterなどがその例である。
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「運営組織」の例文・使い方・用例・文例
- 運営組織の最重要人物
- 選出された郡の運営組織
- 国際アマチュア野球協会という,スポーツの運営組織
- インターナショナルボードという,ラグビーの国際運営組織
- 国際サッカー連盟という,スポーツの運営組織
- 日本野球連盟という,スポーツの運営組織
- 国際剣道連盟という,スポーツの運営組織
- 国際柔道連盟という,スポーツの運営組織
- 国際卓球連盟という,スポーツの運営組織
- 国際バレーボール連盟という,スポーツの運営組織
- 国際体操連盟という,スポーツの運営組織
- 日本相撲協会という,スポーツの運営組織
- 英国ゴルフ協会という,スポーツの運営組織
- 国際スケート連盟という,スポーツの運営組織
- 国際スキー連盟という,スポーツの運営組織
- 国際自動車スポーツ連盟という,モータースポーツの運営組織
- 国際モーターサイクル連盟という,モータースポーツの運営組織
- FOCAという,モータースポーツの運営組織
- 国際水泳連盟という,スポーツの運営組織
- 組合大会という,組合運営組織の最高決定機関
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