甲州西山の焼畑農耕用具とは?

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甲州西山の焼畑農耕用具

名称: 甲州西山の焼畑農耕用具
ふりがな こうしゅうにしやまのやきはたのうこうようぐ
種別 生産生業に用いられるもの
員数 698
指定年月日 1989.03.29(平成1.03.29)
所有者 早川町
所有者住所 山梨県南巨摩郡早川町
管理団体名:
備考 地ごしらえ69点,ヤブ焼き49点,アラクうない24点,草取り除け49点,取り入れこしらえ119点,アラク小屋321点,かみごと67
解説文: 早川町西山地区激流で知られる早川富士川支流)の最上流域を占める。伊那信濃)・駿河の国境に近く、そこには険阻山峡に抱かれた南アルプス赤石山脈東麓典型的山村点在する。ここに住みつきなりわい立ててきた人々は、古くから、集落背後連なる山腹斜面耕作適地を見い出し焼畑農耕立木を伐り倒し、小切りにして枯らし焼き、その焼灰肥料として作物栽培する)に利用して主食糧を自給してきたものの、昭和期における戦中戦後動乱時期を経、その後食糧事情電源開発に伴うダム建設など、諸般の事情により、往時の生活は一変してしまった。
 この地区で営まれてきた焼畑農耕態様は、『甲州巨摩郡西河内奈良田村諸邑明細帳』〔写留〕(宝永二年〈一七〇五〉)に見られる後年書入れや『指出明細帳奈良田村〕』(文化三年一八〇六〉)の記載によって間接的表現されており、その様式はアワ・アズキなどを栽培するハルヤキ(春焼き)とソバ・アワなどを栽培するナツヤキ夏焼き)とに大別される。地力高めるため、ハンノキケヤマハンノキ)やフシノキヤシャブシ)などの若苗農耕予定地に移植し、育成させて補い(後にはカラマツ若苗移植する例もあった)、ブナ・カエデ・コナラなどが自生する雑木林をヒトケ(一定の期間、約一五年間をおいて伐り拓き、ほぼ決まり作物輪作した。
 具体的には、春先火入れをするハルヤキでは、三、四年。同地区奈良田【ならだ】を例にとると、主として第一年目(アラクアワ第二年目(アズキバタ)アズキ第三年目(クナアワ第四年目(フルクナ)一部インゲンササギ)を栽培する。夏期火入れをするナツヤキでは一、二年。奈良田を例にとると、主として第一年目(ソバジ)ソバ第二年目(ソバアト)アワ栽培することが多かった。また、農作業の便を考えアラク小屋山の家。ハルヤキをする農耕地のそばに建てる)に寝泊まり焼畑農耕従事する形態広くみられた。
 この焼畑農耕用具コレクションは、使い捨てられやすい難点克服し、奈良田中心に上湯島【かみゆしま】・下湯島【せもゆしま】からも収集したもの体系化されている。早川最上流域で営まれてきた焼畑農耕過程実態を知り、農耕作業従事してきた人々の生活の諸相を示す用具網羅している。
 焼畑農耕第一過程である農地を整えるヂゴシラエ(地ごしらえ)用具には、道切りあけや下草刈り、根切り枝打ちなどの作業使用する鎌・鉈・腰鋸などがある。次のヤブヤキ(火入れ用具には、ホンギリ(延焼を防ぐため周囲を刈り整えること)用の鎌・鍬をはじめ、火をつけ、その勢い調整するタイ松明)やエブリ柄振燃え木をかき下ろす用具)、ヤビロイ(燃え残り集めて焼く)用のキッカ木製の鍬)などがある。アラクうない(耕起)関係の用具には、種入れ袋やうない用のカトウガ(刃幅が狭くて分厚い鍬)、ならし用(砕土兼ねる)のアトトリカギ(長柄先端に爪を付け用具)などがある。草とり除けなどの管理用具には、インヤシ(蚊火【かび】)・テカンナ(短い柄に爪を付け用具)のほか害獣除けカカシ(かかし)や罠などがある。さらに取り入れこしらえ収穫脱穀調整一連の作業用具には、指にはめて穂刈りするのに用いるホツミ(穂摘み)、ウドバ(脱穀する場所)に張るタホノレン(【こうぞ】・などの繊維製の幕)、こなし(脱穀)の実際に用いるアワタタキ(横槌)やコジウチ(股状の短い叩き棒)、選別用のウチワ大型の扇)、こしらえ精白調整)用の臼・杵各種の篩【ふるい】などがある。アラク小屋用具には、エー里の家)とアラク小屋間で物資運搬するのに用いるドウセイ(背負い袋)やショイコ(背負梯子)などの運搬具をはじめ、寝泊まりするのに使う食・住関係の用具類や仕事着類、農耕作業余暇稼ぎ換金仕事として営まれる下駄作り曲物作り用具一式収集されている。また、かみごと信仰儀礼用具には、小正月予祝年占行事欠かせないオホンダレ(左右一対にして門口立て魔除けの木。ハナ削り掛〉などを挿す)・ハナなどの作り物ハタガミ(畑神)迎え用のカトウガや年二回執行われる山の神講に用いられるカケジ掛軸)・弓矢やオカラク(粢【しとぎ】)作り用の臼・杵などがあり、講員の会食に供される蕎麦豆腐つくりの用具も含まれている。
 当該早川町所有する甲州西山の焼畑農耕用具にはキッカ・カカシ・タホノレン・アワタタキ・カワハバキ(木の皮はばき)など全国的にみても類例少ないものが含まれており、身辺素材巧みに取り込んで活用してきたところに南アルプス東麓地域的特色がある。




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