江戸幕府の「異国船打ち払い令」と『新論』の広まりとは? わかりやすく解説

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江戸幕府の「異国船打ち払い令」と『新論』の広まり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 12:14 UTC 版)

鳥羽・伏見の戦い」の記事における「江戸幕府の「異国船打ち払い令」と『新論』の広まり」の解説

江戸時代末期1824年文政7年)に常陸国水戸藩外国人上陸事件大津浜事件起きた江戸幕府代官古山善吉蘭学者通訳吉雄忠次郎天文方高橋作左衛門と共に求めて上陸したイギリス捕鯨長・ジョンギブソンらの対応にあたった哲学者思想家水戸学者)の水戸藩士会沢正志斎会沢安)は、数十年にわたる彼の西洋史研究や、周辺諸国の殆どが欧米列強植民地化されてきてい国際認識から「イギリス人通商自由貿易)が目的だと語りいたるところ友好的に近づいているが、国の強弱確かめると、弱い国には兵力攻め込み、強い国にはキリスト教民衆たぶらかして国を奪っている」「キリスト教圏西洋諸国対抗し日本強国にするべきだ」との危機感深めた。翌1825年文政8年2月江戸時代通じ出島限定した保護貿易政策をとってきた江戸幕府は、オランダ清・朝王国の船や明らかな遭難船除いて陸に近づく正体不明外国船へ沿岸警備役人から発砲するよう命じ異国船打払令無二念打払令)を発布しこれまで大津浜事件同じよう上陸した外国人丁寧に退去求めながら、どの外国船にも食料などを供給する微温的国防政策から転換することになった同年会沢日本再興のための国事改革マニフェスト新論』を著すと、「欧米列強力の源である国民精神的統一国家への忠誠うみだしているのはキリスト教による一般民衆教化である」と分析した上で日本でも臣下から君主への「忠」(君臣の忠)と親子における「孝」(親子の孝)のパラレルな関係のもとに、これら忠孝道徳うみだす源泉である太陽の女神アマテラスこと天皇家始祖を祭ると共に、この始祖広く日本国民共通の始祖捉え直し今はまだ令制国連邦として各大名らの高度自治のなかで分裂対立孤立している国内諸藩民を「国体」(国家本体)によってまとめ、早急に全国国防基礎づけなければならない」と論じた会沢250年天下泰平になずんだ江戸の平和のもとで、単に武士道精神復興農兵導入沿岸警備隊火薬廠の建設参勤交代費を節減し雄藩強化する事など具体的な国事改革論を提出するだけでなく、近代日本造る「国家」単位を、改め定義した国体概念ではじめ提出したのである。この書は会沢から第8代水戸藩主徳川斉脩(おくり名・哀公あいこう))へ献上されたが、哀公同書一読後、幕府への献上認めなかった。また哀公同書出版時に匿名とするよう会沢警告した。この書は既存幕藩体制秩序強化する幕政改革論で、決し倒幕王政復古への展望をもつものではなかった。しかしすぐそこ列強からの植民地化が迫る危機感を「尊王攘夷」の精神として全国啓蒙する強烈な檄文でもあったため、既存幕藩体制おおかれすくなかれ批判する側面がある以上、現政体飽くまで維持しようとする保守主義立場からはいささか進歩主義的にすぎるとみられる内容でもあった。その後30年間『新論』は出版されなかった。しかし会沢弟子同僚らが密かに筆写世に出回ると、国内知識人ネットワーク通じて同書読み感動した諸国志士らが会沢らに学ぶため常陸国水戸会沢らの暮らしていた現茨城県水戸市城下町)を訪れようになった佐賀藩士・大隈重信大隈昔日譚』によると、「勤皇大義」を説く水戸学派学説大隈はじめ同藩士江藤新平大木喬任らから輸入されそのうち会沢の『新論』は「佐賀藩一部の侍や庶民が最も貴重とするところとなっていた」という。

※この「江戸幕府の「異国船打ち払い令」と『新論』の広まり」の解説は、「鳥羽・伏見の戦い」の解説の一部です。
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