江戸幕府と朝廷財政
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/28 09:27 UTC 版)
「安永の御所騒動」の記事における「江戸幕府と朝廷財政」の解説
江戸時代の朝廷財政は幕府によって保護された御料からの収入が主体で、不足分は幕府からの取替金と呼ばれる無利子の融資などによる財政支援によって維持されていた。言うなれば、この時代の朝廷財政は幕府財政に強く規定される性質を有していた。このため、江戸幕府としても朝廷財政には無関心というわけには行かず、禁裏附と呼ばれる役人を御所に派遣していた。だが、口向の実務責任者である賄頭(朝廷の地下官人および幕臣からそれぞれ1名ずつで、幕臣側が空席になったために地下官人側がその欠を埋めた時期もあった)やこれを補佐する勘使(定員4名前後)をはじめとする口向の行動をチェックすることは、禁裏附と(幕府派遣の)賄頭1名の計2名の幕臣のみでは困難で、さらにその任免も幕府内の通常の人事異動によってしばしば変更され、かつその人選も経理などの専門知識が考慮されたものではなかった。取替金の可否を決定する京都所司代や取替金の出元となっていた京都代官も口向のことまでは関与できなかった。一方、口向の役人は地下官人による世襲が確立しており、専門知識を備えた人々であった。さらに禁裏以外にも仙洞御所や女院御所にもそれぞれの口向役人が存在した。
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