日本法による航海日誌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:35 UTC 版)
日本船舶及び船員法施行規則第1条に定める日本船舶以外の船舶においては、船長は航海日誌を船内に備え付けておかなければならず(船員法第18条)、最後の記載をした日から3年を経過する日まで、なお船内に備え置かなければならない(船員法施行規則第11条4項)。 航海日誌は、船員法施行規則第二号書式に則り、以下の事項を記載しなければならない(船員法施行規則第11条1項、2項)。 第一表 表紙。船舶の名称を記載する。 第二表 以下の事項を記載する。 船舶番号 船籍港 総トン数 - 国際総トン数証書又は国際トン数確認書の交付を受けている日本船舶にあっては、総トン数に国際総トン数を付記すること。 航行区域又は従業制限及び従業区域 船舶の用途 - 旅客船、貨物船、油送船、漁船等の別及び漁船にあっては、従事する漁業の種類を記載すること。 主機の種類及び箇数 主機の出力 - 連続最大出力(キロワット)を記載すること。 船舶所有者の住所及び氏名又は名称 船長の住所及び氏名 第三表 官庁記事 - 記載した事項について官庁の認証を受ける。 第四表 航海の概要を記載する。 航海の概要欄には、出入した港の名称及び船長が必要と認める航海の概要を記載すること。 国内各港間のみを航海する船舶にあっては、通常航海する航路が定まっているときは、臨時の航路に就航する場合を除き、当該航路の概要を記載すれば足り、航海ごとに記載することを要しない。 漁船にあっては、上記の事項のほか操業海域をも記載すること。ただし、主たる操業海域が定まっているときは、臨時に操業海域を変更する場合を除き、発航港、到達港、主たる操業海域及び操業期間を記載すれば足り、航海ごとに記載することを要しない。 第五表 船員法施行規則第11条2項各号に掲げる場合(以下の場合)その他必要な場合に記載すること。 規則第2条の2の規定により操舵設備について検査を行ったとき。 法第14条ただし書の規定により遭難船舶等を救助しなかったとき。 法第14条の3第2項の規定による操練を行い、又は行うことができなかったとき。 規則第3条の7第1項第1号から第11号までの規定により水密を保持すべき水密戸等を開放し、若しくは閉じ、又は第3条の8の規定により点検したとき。 規則第3条の9の規定により救命設備の点検整備を行ったとき。 規則第3条の12の規定により訓練を行ったとき。 規則第3条の16ただし書の規定により船舶自動識別装置を作動させておかなかったとき。 規則第3条の17ただし書の規定により船舶長距離識別追跡装置を作動させておかなかったとき。 法第15条から第17条まで又は法第22条から第29条までの規定により処置したとき。 - 懲戒したことを記載する場合には、取調べに立ち会った者に署名押印させること 法第19条各号のいずれかに該当したとき。 法第20条又は商法第707条の規定により船長以外の者が船長の職務を行ったとき。 船員労働安全衛生規則第45条第2項の規定により自蔵式呼吸具、送気式呼吸具及び空気圧縮機の点検を行ったとき。 船員労働安全衛生規則第71条第2項第8号の規定により検知を行ったとき。 危険物船舶運送及び貯蔵規則第198条第3項の規定により貨物タンクの圧力逃し弁の設定圧力の変更を行ったとき。 危険物船舶運送及び貯蔵規則第389条の5の規定により燃料タンクの圧力逃がし弁と当該タンクとの間の空気管の流路の遮断を行ったとき。 船内において出生又は死産があったとき。 海員その他船内にある者による犯罪があったとき。 労働関係に関する争議行為があったとき。 国際航海に従事する船舶において事故その他の理由による例外的な船舶発生廃棄物(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第10条の3第1項に規定する船舶発生廃棄物をいう。)の排出を行ったとき(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則第12条の2の44ただし書の場合を除く。)。 国際航海に従事する船舶(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則第12条の17の5の2ただし書の船舶を除く。)が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令第11条の7の表第一号上欄に掲げる海域に入域し、若しくは当該海域から出域するとき又は当該海域内において原動機を始動し、若しくは停止するとき。 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第19条の21第1項の規定により、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令第11条の10の表第一号上欄に掲げる海域に入域する場合であって、同号下欄に掲げる基準に適合する燃料油の使用を開始するとき。 国際航海に従事する船舶が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令別表第一の五に掲げる南極海域又は北極海域に入域し、若しくは当該海域から出域するとき又は当該海域において海氷の密接度が変化するとき。 第六表~第八表 船内において出産、死亡、死産があった場合に、戸籍法上の記載に準じて法定の事項を記載する。 航海日誌は、外国語によって作成することができる(船員法施行規則第11条3項)。平成14年7月の改正法施行前は行政手続き上、日本語のみを取り扱ってきたが、日本船主協会から英語による記載を認めてほしいとの要望があったことから、法改正が行われた。なお、船員法第19条の規定により船長が航行の報告を国土交通大臣に対して行う場合、航海日誌を提示しなければならないが、日本語若しくは英語以外の言語で航海日誌を作成した場合は翻訳者を明らかにした日本語又は英語による訳文を添付するものとする(船員法施行規則第14条)。
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