労働関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 01:25 UTC 版)
労働関係調整法に一般的規定がある。労働争議調整手段の一つで、最も当事者を強力に拘束するものである。法制定時は労働委員会の総会において行うことになっていたのを、昭和27年の改正法施行により公益委員のみから成る仲裁委員会を設けて行うこととした。その趣旨は、最終的に両当事者を拘束するが如き性質をもつ仲裁裁定を決定するのは、三者構成による総会よりも少数の公益委員からなる仲裁委員会の方が妥当であるとの見地に立つのであるが、第31条の5は仲裁裁定を決定する過程において労使委員の意見を十分反映することが、公正妥当な仲裁裁定が行われる所以であると思われるから、当事者の指名した労、使の委員又は特別調整委員に意見を述べる機会を与えようとする趣旨である(昭和27年8月1日労発133号)。 労働委員会は、以下のいずれかに該当する場合に、仲裁を行う(労働関係調整法第30条)。 関係当事者の双方から、労働委員会に対して、仲裁の申請がなされたとき。 労働協約に、労働委員会による仲裁の申請をなさなければならない旨の定がある場合に、その定に基いて、関係当事者の双方又は一方から、労働委員会に対して、仲裁の申請がなされたとき。 労働委員会による労働争議の仲裁は、3人以上の奇数の仲裁委員をもって組織される仲裁委員会を設け、これによって行う(労働関係調整法第31条)。仲裁委員は、労働委員会の公益を代表する委員又は特別調整委員のうちから、関係当事者が合意により選定した者につき、労働委員会の会長が指名する。ただし、関係当事者の合意による選定がされなかったときは、労働委員会の会長が、関係当事者の意見を聴いて、労働委員会の公益を代表する委員(中央労働委員会にあつては、一般企業担当公益委員)または特別調整委員のうちから指名する(労働関係調整法第31条の2)。仲裁委員会は、仲裁委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができない(労働関係調整法第31条の4第2項)。関係当事者のそれぞれが指名した労働委員会の使用者を代表する委員または特別調整委員及び労働者を代表する委員又は特別調整委員は、仲裁委員会の同意を得て、その会議に出席し、意見を述べることができる(労働関係調整法第31条の5)。 仲裁仲裁をなす場合には、仲裁委員会は、関係当事者及び参考人以外の者の出席を禁止することができる(労働関係調整法第32条)。仲裁裁定は、書面に作成してこれを行う。その書面には効力発生の期日も記さなければならない(労働関係調整法第33条)。仲裁裁定は、労働協約と同一の効力を有する(労働関係調整法第34条)。 労働関係調整法第4章(仲裁)の規定は、労働争議の当事者が、双方の合意または労働協約の定により、別の仲裁方法によって事件の解決を図ることを妨げるものではない(労働関係調整法第35条)。 労働委員会がする処分については、行政手続法第2章および第3章の規定は、適用されない(労働組合法第27条の25)。労働委員会がする処分またはその不作為については、審査請求をすることができない(労働組合法第27条の26)。
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