日本国憲法と内閣法
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「大臣 (日本)」の記事における「日本国憲法と内閣法」の解説
1947年(昭和22年)5月、日本国憲法が施行された。同憲法は「内閣」の章を設け(第5章)、「行政権は、内閣に属する。」こととされた。そして内閣は、「法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」こととされた(憲法66条1項)。内閣の詳細を定めた法律は、内閣法(昭和22年法律第5号)である。内閣は、閣議により職権を行うと定められた(内閣法4条1項)。 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名され、天皇に任命される(憲法6条1項、67条)。内閣総理大臣は内閣を代表し、内閣の「首長」として、リーダーシップを発揮することが期待される(同66条1項、72条)。 国務大臣には、広義と狭義、二つの意味がある。広義の国務大臣は、内閣総理大臣を含む内閣の構成員全員を指す。狭義の国務大臣は、内閣総理大臣を含まない。単に国務大臣と呼ぶ場合には、狭義の国務大臣を指すことが多い。 狭義の国務大臣は内閣総理大臣に任命され、また、内閣総理大臣に任意に罷免される(憲法68条)。国務大臣の任免には、天皇の認証を要する(同7条5号)。国務大臣の過半数は国会議員でなければならず(同68条)、全員が文民でなければならない(同66条2項)。国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない(同75条)。国務大臣の数は14人以内とされ、特別に必要がある場合には3人まで増員することができ、17人以内とすることができる(内閣法2条2項)。 国務大臣は、行政事務を分担管理し法律・政令に署名を行う「主任の大臣」(行政大臣、各省大臣)と、行政事務を分担管理しない「無任所大臣」に分けられる。主任の大臣は、その分担管理する府省名を冠して呼ばれる。たとえば、財務省の主任の大臣は財務大臣、法務省の主任の大臣は法務大臣など。狭義の無任所大臣は、単に「国務大臣」と呼ばれる。広義の無任所大臣には、内閣官房長官、国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣などを含み、「主任の大臣でない大臣」の総称として用いられる。 中央省庁は、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省及び国家公安委員会(警察庁を管理する)の1府12省庁体制である。 国務大臣の他、大臣の称が付される職務には、副大臣がある。副大臣は、大臣、内閣官房長官または特命担当大臣の命を受け、政策および企画を司り、政務を処理する。副大臣の任免は、その府省の長である大臣の申出により内閣が行い、天皇の認証を要する。副大臣は、国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律8条、および国家行政組織法16条に基づいておかれる。副大臣は、各省の政策等に関し相互の調整に資するため、副大臣会議を行う。
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日本国憲法と内閣法
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「内閣 (日本)」の記事における「日本国憲法と内閣法」の解説
1947年(昭和22年)に日本国憲法が施行され、第5章に「内閣」の規定を置き、「行政権は、内閣に属する。」(65条)と定めた。 内閣は、内閣総理大臣及びその他の国務大臣から組織され(66条1項)、行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うとされるなど(同条3項)、名実共に国の行政の中心的機関に位置づけられた。 また、内閣総理大臣(首相)は、国会議員(衆議院議員及び参議院議員)の中から国会(下院の衆議院及び上院の参議院、旧:貴族院)の議決で指名し、天皇が任命すると定め(67条、6条1項)、議院内閣制を採ることが明確にされた。 国務大臣は内閣総理大臣が任免して天皇が認証すると定め(68条、7条5号)、内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権を定めるなど(72条)、内閣官制を廃止して新たに制定された内閣法とともに、内閣総理大臣を内閣の「首長」として(66条1項)、内閣と内閣総理大臣の権限強化が図られ、内閣総理大臣に強い権限が与えられた。 また、2001年に実施された中央省庁再編により、内閣総理大臣の法的権限と補佐機構が大幅に強化されたことで、内閣総理大臣が政策を立案する上での権限は増えることになった。内閣総理大臣には閣議における発議権が認められたほか、内閣官房に法案を準備する権限が正式に与えられ、首相の権力は以前より拡大した。 首相を直接補佐する内閣官房の強化、経済財政諮問会議など大臣と民間有識者がともに議員となる諮問機関の設置、閣内における特命担当大臣の設置などにより、首相の補佐機構が整備された。内閣官房には総合調整権限に加えて企画権限が与えられたことにより、従来は政策の原案はあくまでも各省庁が立案し、異論が他省庁から出た場合に最終的に内閣官房が総合調整を行って合意を形成する、というのが手続きの原則であったが、新しく企画権限を持つに至った内閣官房は、自ら原案を作成し、各省庁に対して首相および内閣の基本方針を盾に異論を封じることを可能とした。これにより、内閣が、与党・自由民主党内の派閥の意向に添わない閣僚・党人事を進め、大臣および各省に対して首相の意向を通すことが可能となった。 日本では1990年代に小選挙区制が導入されたことにより、他の先進民主主義国家と比しても、首相が政権内で絶大な権力を握ることが制度的にも可能となった。日本は首相の解散権行使に制約がなく、内閣人事局を通じて幹部人事権を掌握することで政治家が官僚に対して人事権を行使することが可能となっている数少ない国であり、この面でも内閣・首相の権力が強化されている。日本と同様に議院内閣制と小選挙区制を併用する英国では、政治家が官僚に対して人事権を行使することは強く制限され、首相の解散権行使も強く制限されている。オーストラリア、ニュージーランドなど議院内閣制を採る他の主要先進民主主義国家でも、政治家による官僚への人事権行使は制約されている。他方、米国では大統領が官公庁幹部を政治任用するが、大統領は議会と独立しており、官公庁幹部への人事権行使に関しても議会から強い規律を受ける。 こうした一連の制度改革が及ぼした影響を踏まえ、強力な首相の指導力を背景に日本の議院内閣制はウェストミンスター化したとしばしば評価される。
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