日本における系図とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 日本における系図の意味・解説 

日本における系図

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 05:49 UTC 版)

系図」の記事における「日本における系図」の解説

日本は、中国大陸朝鮮半島とは異なり科挙などの試験による採用ではなく律令体制崩壊後は、一切家業、家芸の国であるといえる公家武家もとより明法博士文章博士などの文官なども、それぞれそれを家業とする一族従事した公家藤原氏一族始め嵯峨源氏村上源氏その他であり、武家清和源氏桓武平氏、利仁流藤原氏、秀郷流藤原氏道兼流藤原氏源融嵯峨源氏大江氏橘氏その他、文官坂上氏中原氏大江氏その他が有名である。その一族連なる者でなければ、その職に就くことは困難であった公家藤原氏一族生まれたならば、どれほど武に秀でていようと武士になることは出来なかった。武士なるには傍流庶流であろう清和源氏桓武平氏あるいは秀郷流藤原氏その他に連なり、その流れを汲むことが都合良かったそれゆえそのことを示す系図が必要とされたのであるその意味で、家系図本人属する家の由来明らかにする資料として、江戸時代以前封建社会にあって、特に重んじられた。 『文正記』には、室町時代応仁の乱頃に「凡下之者」が農作業止めて武術学び系図を買い、侍と称すなど、系図売買なされていたことが記述される江戸時代においては家系図現在の履歴書のようなもので、武士仕官する際や、富裕な農民商人郷士になったり、苗字帯刀苗字公称大刀小刀を差すこと)を許される時など、家の由緒を示すものとして必要とされ、装飾的というよりもはるかに実用的な意味を持っていたことは否定出来ない。しかし、ほとんどの家には家系図などはなく、そのため家系図必要な場合は無から作らざるを得ないが、結果として零落した名族名門名家末裔系図買い取るか、同じ苗字過去名族との関係を創作して先祖名家名族に結びつけた系図数多く存在する織田氏桓武平氏であったり、徳川氏清和源氏としたりするような系譜同様に創作されたものである当時の『兵家茶話』(別名『同志夜話日夏繁高 1721年享保6年)の序あり)では、「近世系知りといふもの有て、諸家系図を妄作して其祖を誤る人は甚多し、(中略)又多々良玄信と云盲人あり諸家系図を詔胸して望に随て妄作し侍る」と記述される江戸時代中期になると、幕府各藩当局によって大名旗本御家人藩士郷士、また庄屋などの富裕な農民商人らの家系図盛んに作られた。また、近年の研究では、農民町人苗字帯刀許されていなくとも、苗字自体持っている者が多かった。 なお、出自調べて家系図作成するために戸籍謄本を取ることは認められてはいるが、直系戸籍しか取得できないため、注意が必要である。素人自分家系図作成するために先祖氏名その他の情報集めにあたっては、 祖父母親戚直接聞く戸籍謄本取り出す法務局で、旧・土台帳閲覧する。 の3つが最も一般的である。 大半の墓には氏名戒名没日書いてあるだけで、自分と続柄故人本籍地誕生日などまでは分からないことが殆どであり、また過去帳同和問題太平洋戦争における戦犯問題など子孫不利益与えかねないデリケートなのであるため、個人情報保護観点から一般人への公開拒む寺が多く簡単には見ることができない上記通り戸籍謄本遺産相続など特別な理由がない限り直系親族の者しか取得できない。そのため、遠い親戚と関係が密な家の場合、相当広範囲系図出来上がる戸籍全国民作られるようになったのは明治入ってからなので、素人先祖系図調査をしようとしても、江戸時代後期から明治くらいまでが限界である。また、戦災等のために戸籍消滅していることも少なくない系図調査行政書士などの業者委託するともできる業者によっては、江戸より前の時代までさかのぼれるだけさかのぼって調べると宣伝しているところもあるが、寺請制度普及した17世紀以前人名記録極めて少ないため、清和源氏桓武平氏につながる系図作ることは事実上困難である。 明治時代大正時代には鈴木真年中田憲信が全国系図収集した同時代系譜学提唱した太田亮家系調査歴史学役割について、家系調査郷土史研究寄与しひいては日本の歴史研究にも貢献する述べている。太田称す歴史研究役に立つ家系図とは自ら調べあげ、歴史的な裏づけ証明できる部分推測部分明確に分けた系図である。 1975年発足した日本家系図学会賀陽邦壽(元賀陽宮邦壽王)が名誉会長を、江藤彦武会長務めた1979年一度閉会している。1980年丹羽基二会長務めて再建し、後に武田光弘、続いて宝賀寿男会長務めて現在に続いている。また同年家系研究協議会設立されている。 歴史研究において、系図資料文書上に登場する人物比定や関係を把握するため史料として用いられているが、近年中世史分野中心に系譜史料そのもの成立経緯制作意図由緒伝承その歴史背景などを考察する系譜史料論も検討されている。

※この「日本における系図」の解説は、「系図」の解説の一部です。
「日本における系図」を含む「系図」の記事については、「系図」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「日本における系図」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「日本における系図」の関連用語

1
4% |||||

日本における系図のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



日本における系図のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの系図 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS