日本における米の輸入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 03:11 UTC 版)
「ミニマム・アクセス」の記事における「日本における米の輸入」の解説
日本はウルグアイ・ラウンドにおいて、コメの例外なき関税化を延期する代償として、コメにおいては他品目よりも厳しい量の輸入枠を受け入れ、1995年(平成7年)からミニマム・アクセス米(MA米)を国家貿易で4%(42.6万トン)を輸入し、毎年0.8%づつMA米の輸入枠を強制的に増やした。 その後、世界貿易機関の農業交渉を迎えるにあたり、日本国政府は1999年(平成11年)に、コメの関税化へ方針転換し、コメ(精米)の枠外関税を、2000年(平成12年)に341円/キログラムに設定し、関税を払えば、誰でもコメを自由に日本へ輸入出来る様にした。これにより、MA米の輸入量は、2000年には本来8パーセント(85.2万トン)であるところを、2000年(平成12年)に7.2パーセント(76.7万トン)を関税無し(免税)で受け入れることになった。 前述のように、ウルグアイ・ラウンド農業協定そのものは、ミニマムアクセス枠全量の輸入を義務付けていない。しかし、日本国政府は統一見解として「法的義務の内容は、(中略)輸入機会を提供することである。」とした上で、「但し、コメは国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、(中略) 当該数量の輸入を行うべきものと考えている。」という考えを示しており、コメの輸入については、「輸入を行うべきもの」とみなし、MA米の全量である76.7万トンを世界から輸入している。この見解は、羽田内閣が1994年(平成6年)に、「ウルグアイ・ラウンド農業協定におけるコメのミニマム・アクセス機会の法的性格に関する政府統一見解」という題で、衆議院予算委員会に提出したものである。 これを受けて日本国民の間には、これが義務であるとする誤解が広まっており、マスコミの報道においても、時に「日本はMA米を一定量、輸入する義務がある」「コメの関税は778%」など、誤解を促進する表現が見られる。 日本共産党は、2007年(平成19年)3月7日に発表した「農業再生プラン」の中で、「本来、MA米輸入は義務ではない」として「義務的輸入は中止します。」と提言した。 ただし、2008年(平成20年)の米の国際価格は、高騰を受けて状況は変化している。2008年(平成20年)4月22日に、日本国政府が行った輸入米の買入入札では、全く落札できない事態となった。これにより、2007年度分の輸入量がミニマムアクセス枠に満たさず、日本国政府は対応に苦慮した。 1993年(平成5年)のウルグアイ・ラウンドの合意以来、MA米は年間76.7万トンの輸入枠が設定されており、2008年(平成20年)のMA米輸入元は、アメリカ合衆国・タイ王国・オーストラリア・ベトナム産である。また中華人民共和国産は、そのうち約1割を占める。 2009年(平成21年)4月3日、農林水産省は、政府保有輸入米(加工食品用のMA米)のタイ産もち砕精米(2007年度輸入分)から発見された「カビ状の異物」を検査した結果、猛毒のカビ毒アフラトキシンが0.80ppm 検出されたと発表した。
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