新エネルギー・とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 表現 > 新エネルギー > 新エネルギー・の意味・解説 

しん‐エネルギー【新エネルギー】


新エネルギー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 15:20 UTC 版)

新エネルギーしんエネルギーとは、日本においてエネルギーの一種を指し、概ね既存の枯渇性エネルギーを代替するとされる再生可能エネルギーを指す。

公的には日本における新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネルギー法)において「新エネルギー利用等」として定義され、同法に基づき政令で指定されるものを指す。具体的にはバイオマス太陽熱利用雪氷熱利用地熱発電風力発電太陽光発電などを指す。

ほぼ日本のみで用いられる概念だが、世界的には代替エネルギー (alternative energy) の概念に近い。

語義・定義

新エネルギー法の第2条において、「新エネルギー利用等」として定義されている。具体的な要件は以下のとおりである。

石油代替エネルギーの製造・発生・利用のうち、

  • 経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、
  • その促進を図ることが石油代替エネルギーの導入を図るため特に必要なものとして政令で定めるもの

法律上の定義では、再生可能エネルギーでない廃棄物発電や、一般的な「エネルギー」という言葉の用法には当てはまらない天然ガスコージェネレーション(→コジェネレーション)や燃料電池といったエネルギーの有効利用技術も当てはまるが、現在政令で指定されているものは、再生可能エネルギーに限られている。しかしながら、法律上の位置づけはあくまで「石油代替」であり、地球温暖化の防止などの環境対策の観点は含まれていない。

歴史的推移

新エネルギー法は1997年に成立した。2008年の政令改正までは、廃棄物発電、天然ガスコージェネレーションや燃料電池なども含まれていた[1]。2006年の経済産業省総合エネルギー調査会新エネルギー部会において、国際的に「再生可能エネルギー」という概念の認知度が高まっていることなどを踏まえて、新エネルギーの概念と再生可能エネルギーの概念の整理をすべきとの議論がなされた[2]。その後、同年11月に公表された「総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会中間報告」において、「「新エネルギー」の概念については、今後は、再生可能エネルギーのうち、その普及のために支援を必要とするものとして整理することが適切である」とされた[3]。それらを踏まえ、2008年4月に政令が改正され、現在指定されているものは再生可能エネルギーに限られている[4][5]

類義語

ほぼ同様の意味をさして使われる言葉として代替エネルギー (Alternative energy) がある。こちらは現在主力として使われるエネルギー資源にかわる新しい資源という意味である。新エネルギーが公的機関において良く用いられるのに対し、こちらは民間で良く見られる言葉である。ただし日本では「石油代替」の意味で石炭・天然ガス・原子力を含む場合があるが、日本以外では通常これらを含まないため、使用には注意が必要である。

新エネルギーあるいは代替エネルギーとされるものの多くが、再生可能エネルギー (Renewable energy) と呼ばれるものである。なお、再生可能エネルギーに対し、前述の有限のエネルギー資源を枯渇性エネルギーと呼ぶ。

他国語への翻訳

そのまま英語に置き換えると new energy となる。これは再生可能エネルギーの意味[6]のみでなく、単に「新しい」という意味で枯渇性エネルギーを含む新方式のエネルギー源全般に利用できるため、語義が不明確となり、英語としては通じない。再生可能エネルギーと同義で使われる場合は renewable energy か renewable energy sources と訳すが妥当で、その他の場合は new energy sources, new sources of energy とするほうがよさそう。ただし、new energy sourcesなどでは、再生可能エネルギーの意味が弱まり、伝わりにくくなってしまう。

現行の新エネルギー

「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」(2015年4月1日改正施行)[7]で指定されているものは、以下の通りである。

  1. 太陽光発電
  2. 太陽熱利用(給湯、暖房、冷房その他の用途)
  3. 風力発電
  4. 雪氷熱利用
  5. バイオマス発電
  6. バイオマス熱利用
  7. バイオマス燃料製造(アルコール燃料バイオディーゼルバイオガスなど多数)
  8. 塩分濃度差発電
  9. 温度差エネルギー
  10. 地熱発電(バイナリ方式のものに限る)
  11. 未利用水力を利用する水力発電(1,000kW 以下のものに限る)

現状と将来

黄色が高成長経済の結果需要がさらに高くなった場合の予測値。青は予想の中央値。赤は経済があまり伸びなかった場合の需要予測値[8]

我々の周りにはいくつかのエネルギー資源が存在するが、水力風力太陽熱など古来から使われていたものの改良や、生物(バイオマス)、地熱波力、海洋温度差、太陽光発電といった近年の科学によって開発されたものが新エネルギーである。現在主力となっている化石燃料によるエネルギーはいずれは枯渇する有限の資源である。化石燃料や原子力エネルギーには環境への影響などに大きな問題があり、新エネルギーの開発は国際的にも重要な課題になっている。

1998年時点でのエネルギー資源の内訳は以下の通り[9]

実に全体の3/4以上を枯渇性エネルギーに頼っており、特に運輸の分野ではそのほとんどを石油に頼っている。新エネルギーはその定義上、いずれもまだ黎明期を脱していないが、潜在的な利用可能量は大きいと見込まれている。さまざまな新エネルギーについて、開発と利用が並行して進められている。

新エネルギーは地球温暖化への対策の一環として積極的な利用が進められ、将来は世界のエネルギーの数割が再生可能エネルギーで賄われるとも予測されている。再生可能エネルギー#利用状況と見通しを参照。

新エネルギーの特性を生かして、分散型電源として活用する試みも盛んである。(分散型電源を参照。)

出典

  1. ^ 北の大地web版NEDO北海道支部)
  2. ^ 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会(第15回)議事録(2006年3月24日)
  3. ^ 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会中間報告(2006年11月)
  4. ^ エネルギー白書2007年版第二部資源エネルギー庁
  5. ^ 「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」について
  6. ^ 例えば、New Energyという再生可能エネルギー専門誌が存在する。
  7. ^ 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令(平成九年政令第二百八号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2020年1月20日閲覧。
  8. ^ International Energy Outlook 2007” (pdf). U.S. Energy Information Administration (EIA) (2007年5月). 2008年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月27日閲覧。
  9. ^ United States Energy and World Energy Production and Consumption Statistics

関連項目

外部リンク


新エネルギー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:18 UTC 版)

中部電力」の記事における「新エネルギー」の解説

4箇所、36750kW 発電所名方総出運転開始所在地備考御前崎風力発電所 風力発電 2.2kW 3基:2010年2月19日8基:2011年1月28日 静岡県御前崎市 メガソーラーいいだ 太陽光発電 0.1kW 2011年1月28日 長野県飯田市 メガソーラーしみず 太陽光発電 0.8kW 2015年1月15日 静岡県静岡市清水区 メガソーラーかわごえ 太陽光発電 0.75kW 2017年5月31日 三重県三重郡川越町 メガソーラーたけとよ移設

※この「新エネルギー」の解説は、「中部電力」の解説の一部です。
「新エネルギー」を含む「中部電力」の記事については、「中部電力」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「新エネルギー・」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「新エネルギー」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



新エネルギー・と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「新エネルギー・」の関連用語

1
新エネ デジタル大辞泉
100% |||||

2
新エネ車 デジタル大辞泉
100% |||||


4
エヌ‐イー‐ブイ デジタル大辞泉
90% |||||






10
RPS制度 デジタル大辞泉
74% |||||

新エネルギー・のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



新エネルギー・のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2025 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
JOGMECJOGMEC
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、 機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。 また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。 したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。 なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
※Copyright (c) 2025 Japan Oil, Gas and Metals National Corporation. All Rights Reserved.
このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの新エネルギー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの中部電力 (改訂履歴)、北陸電力 (改訂履歴)、ヘッシシュ・オルデンドルフ (改訂履歴)、EDFエナジー (改訂履歴)、再生可能エネルギー (改訂履歴)、九州電力 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS