思想と主要著作とは? わかりやすく解説

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思想と主要著作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:25 UTC 版)

康有為」の記事における「思想と主要著作」の解説

康有為思想の特徴おおざっぱに整理する二つある。それは儒教ではマイノリティにあたる今文公羊学基礎置いていたこと、そして西欧思想の影響がごく初期の著作からもうかがえる点である。この両者化学反応起こしながら、康有為思想作っていった。 まず前者についてであるが、はじめは師朱次琦から漢学宋学並び学んでいたが、1890年始め王闓運弟子廖平著書今古学攷』や『知聖篇』に接して以来康有為今文公羊学立場をとるようなる。儒教テクストにはそもそも孔子旧宅の壁中より発見され古文秦以前文字使用)と漢代隷書用いた今文のものと二種類あるが、康有為古文前漢末の学者劉歆偽作であるとして退け今文こそ孔子真意伝えたものだとして称揚した。そして劉歆偽作説唱えた新学偽経考』(1891年)、孔子真意を「微言大義」によって正しく伝えたのは『春秋公羊伝』であるとした『春秋董氏学』(1897年)、孔子は行うべき政治改革を古に託して著述たとする孔子改制考』(1898年)を順次著していった。これらの著書により、周公旦政治制度正しく伝える「述者」としての伝統的孔子像払拭し、政治改革を行う「作者」(制度をつくる者)という全く新しイメージ康有為孔子与えた新し孔子イメージ前面押し出すことで、「旧法に泥(なず)む」人々を「異端」とし、自らを正統化する根拠としたのである次に西欧思想積極的に摂取した側面であるが、康有為初期の著作実理公法全書』には「人類平等は幾何公理なり」といった語句見え、彼が西欧思想に対して早くから寛容であったことがうかがえる康有為当時プロテスタント宣教師らが発行する雑誌著作を買い漁り儒教経典にはない新知識新思考獲得していった。そうして得た知識経学照らし合わされ一致点見いだすことにより、経学から正当性付与された。これは一見すると経学西欧思想優先する地位与えられているようであるが、経学西欧思想正当化単なる装置として機能しているに過ぎないとも見えるために、康有為学問については厳しい批判寄せられた。しかし批判によってその姿勢改めことはなく、日清戦争以後は、より簡単に知識をえる手段として明治日本著作・翻訳にも目配りし、それを政治改革積極的に取り入れていく。その結果編まれたのが『日本変政考』や『日本書目志』である。前者明治維新経過追いながら、時折康有為自身考察内容差し挟んだもので立憲君主制こそ今こそ清朝が行うべき改革であると示唆した書であり、後者は『変政考』を編む際に収集した日本書物について書名著者定価詳しく並べたのである。これら二書は、各国政治改革状況知りたい考えていた光緒帝献呈され、帝の改革への意志固めさせる役割を果たすこととなった上記二つ思想的特徴からわかるのは、康有為という人物が常に儒教テクストというの中で思考しようとする『礼教』的近世中国知識人側面と、儒教的価値観から踏み出そうとした近代知識人側面をどちらともを備えていた点である。彼は欧米知識思想大い魅了されながらも、それを咀嚼するためには孔子や『公羊伝』のイメージ書き換え上でなければならなかったし(『新学偽経考』や孔子教など)、「平等」や「民権ということばは、儒教テクスト強引に根拠探してからでなければ使用できなかった(『孔子改制考』など)。しかしこれは一見迂遠なようであるけれども、異文化受容する上で避けては通れないであった康有為自身生涯満足に外国語を身につけられなかったが、西欧知識儒教テクスト付会紹介したという点で文化翻訳者といえる位置にいたといえる

※この「思想と主要著作」の解説は、「康有為」の解説の一部です。
「思想と主要著作」を含む「康有為」の記事については、「康有為」の概要を参照ください。

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