思想と儀礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 04:08 UTC 版)
吉田神道は、仏教・道教・儒教の思想を取り入れた、総合的な神道説とされる。吉田神道は、仏教を「花実」、儒教を「枝葉」、神道を「根」と位置づけた。 吉田神道は、顕隠二教を以って一体となすのが特徴で、顕露教の教説を語るものとしては『古事記』『日本書紀』『先代旧事記』(三部本書)、隠幽教の教説は『天元神変神妙経』『地元神通神妙経』『人元神力神妙経』(三部神経)に基づくとする。 三部神経の教説では、神道には本質である「体」、現れ出た姿である「相」、はたらきである「用」の三側面があると主張し、「体」は「天元」「地元」「人元」の三つを有しているとした。そして「相」には「天五行」「地五行」「人五行」があり、天五行は五行相克を司り五星などを化し、地五行は五行相生を司り五竜王などを化し、人五行は五大を司り五臓などに化すと主張した。さらに、「用」には天妙・地妙・人妙の三妙があり、三つの「妙」がそれぞれ神変・神通・神力の三つの力を具しており、この九つの作用が、日月や寒暑、自然などのあらゆる現象を司っているとし、これを総称して三才九部妙壇と呼称した。総じて言えば、森羅万象全てが神道の顕現なることを説くもので、天上・地上・人体のそれぞれの内部に神が存在し、神が宇宙全体に遍満するという一種の汎神論が、兼倶の構想した神道説であった。 また、儀礼においては、八角形の壇の中で火を焚いて祈祷を行う護摩行事を発案し、「十八神道行事」「宗源神道行事」と並ぶ三壇行事を形成した。 これらの思想や儀礼は、上述のとおり、仏教・道教・儒教のほか、陰陽道、密教の加持祈祷などを取り入れたものである。
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