思想と政治哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 09:02 UTC 版)
「アメリカ合衆国の保守主義」の記事における「思想と政治哲学」の解説
古典的な保守主義は反思想的になりがちであり、反哲学的と言う者すらいる。ラッセル・カークが説明しているように「処方と偏見」の着実な流れを促している。カークの言う「偏見」は侮蔑的な含蓄があるものを意図していない。保守主義自体は時代の知恵を引き継いだものであり、個人の明らかに理性的な判断よりも良いガイドになり得ると考えている。 古典的な保守主義と対比させて「社会的保守主義」と「財政的保守主義」が結果として生まれた。 社会的保守主義には伝統的なものと宗教的なものの互いに輻輳する2つの小区分がある。伝統的保守主義は伝統的な行動規範、特に社会の変化で脅威になると感じられるようなものを強く支持している。例えば戦闘に女性兵士を使うことに反対する可能性がある。宗教的保守主義は宗教的権威者あるいは法典で述べられたように社会を運営することに重きを置いている。アメリカ合衆国ではこれが、人工中絶や同性愛に対する反対のよううな道徳的問題に関する強硬姿勢に解釈される。宗教的保守主義は「アメリカ合衆国はキリスト教徒の国であり」、キリスト教道徳を強制する法を好むと主張することが多い。 財政的保守主義は小さな政府、少ない課税、バランスの取れた予算を支持している。少ない税金は全ての人々に多くの職と富を生み出し、さらにはグロバー・クリーブランド大統領が言っていたように、「不必要な課税は不公正な課税である」と論じている。相続税に反対する最近の動きはそれを「死の税金」のような課税だと言った。財政的保守主義は、自由市場での競争が産業の規制よりも効果的だと論じることが多い。トラストや独占には例外を挙げることもある。リベタリアンやルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの追随者は、経済に対する政府の介入の全てが、無駄で、腐敗で、不道徳だと考えている。少し中庸な財政的保守主義は、「自由市場経済」が経済成長を図るための元も効率的な方法と論じ、道徳的な原則に基づくのではなく、それがまさに「働く」と考える故に実用的にその考えを支持している。 現代のアメリカ財政的保守主義者の大半は、憲法で具体的には線引きされていない社会保障費を認めている。この意味で、古典的保守主義と当代の結果論的政治哲学の間に存在している。 20世紀の大半を通じて、時としては全く異なる保守主義の流れを取りまとめる主要な力、またその中でリベラルなまた社会主義的提唱者と共に保守主義を纏める推進力は、共産主義に対する反対である。それは伝統的秩序の敵であるばかりではなく、西洋の自由と民主主義の敵でもある。1945年から1947年にトルーマン政権をしてソビエト共産主義に対抗する強い姿勢を採らせたのは、社会主義を取り入れたイギリス労働党政権だった。1980年代、アメリカ合衆国政府は、テロリストが共産主義と戦っている故に、イスラム系テロリストを武装させ支持するために巨額の金を遣った。
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