安全性と法的問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/03 09:49 UTC 版)
「ミラクルミネラルソリューション」の記事における「安全性と法的問題」の解説
ガーディアン紙はMMSについて、「極めてやっかいな物質で、与えられる医学的アドバイスとしては、この製品を持っている人はすぐにそれを使用するのをやめ、捨てるべきである。カナダでは、命に関わる反応を引き起こした後、禁止された」と説明した。2009年8月、アメリカ人の夫とともにバヌアツをヨットで旅行していたメキシコ人の女性は、マラリアの予防のためにMMSを摂取した。彼女は15分以内に気分が悪くなり、12時間以内に死亡した。バヌアツの検察官Kayleen TavoaはMMSの持ち込みを禁止する法律が存在しないため告訴を行わなかったものの、「全ての事件は個別に判断されるが、将来バヌアツでMMSの誤用を行った人物は重大な犯罪の可能性があるとして起訴されるであろうを助言しておく。飲もうとしているものが何であるのか、そしてそれを飲んだ際に生じうる重篤な健康リスクについて助言を行うことなしに、他の人にMMSを飲用のために与えてはならない」と助言した。 2008年、60歳のカナダ人男性がMMSに対して命に関わる反応を起こした後、入院した。MMSは亜塩素酸ナトリウムの許容量を200倍超過しているという2010年5月の勧告を受け、カルガリーに本拠を置く供給元はすぐさま供給を停止した。2012年2月の「カナダでは亜塩素酸ナトリウムを含む治療薬のヒトへの経口投与は承認されていない」という警告を受け、1つのウェブサイトが閉鎖された。イギリスでは、カナダ保健省とFDAの警告を受けて英国食品基準庁が警告を発し、「MMSは28%亜塩素酸ナトリウム溶液であり、これは工業的強度の漂白剤に相当する。指示通りの服用によって重度の吐き気、嘔吐と下痢が引き起こされる可能性があり、脱水や低血圧に至る可能性もある。もし溶液が指示よりも希釈されていなかった場合、胃腸と赤血球を傷害し、呼吸不全に至る可能性がある」と述べた。指示より希釈されていても有害であるかもしれないが、その可能性は低くなる。食品基準庁はその後もMMSへの警告を繰り返し、類似製品Chlorine Dioxide Solution(CDS)もその中へ含められた。 販売者は嘔吐、吐き気、下痢の症状をMMSが機能しているためであるとするが、単にMMSの毒性である。 2009年12月、ベルギーのPoison Control Centreから欧州中毒センター臨床毒物学者協会(European Association of Poisons Centres and Clinical Toxicologists)へ警戒情報が発せられた。それへのレスポンスとして2010年3月にフランスのComité de coordination de toxicovigilanceによって毒性評価が行われ、用量依存的な刺激性と毒性の可能性に対する警告が行われた。また、重症疾患の患者がこの代替治療を支持して治療をやめようとする可能性があるとnの警告が行われた。 同様の通知は2010年7月にFDAからも発せられ、亜塩素酸ナトリウム溶液と酸(柑橘類の果汁など)の混合によって調製されるMMSは「繊維製品の脱色や工業用水の処理に用いられる強力な漂白剤」である二酸化塩素を発生させるものであるとの警告がなされた。MMS摂取後の重篤な吐き気、嘔吐、そして脱水による危険な低血圧などが報告されたため、FDAは消費者にこの製品の使用をやめ、すぐに廃棄するよう助言した。FDAは2019年8月にも別の警告を発表し、MMSの摂取で引き起こされた病気が報告され続けていることを明らかにした。 MMSはいかなる疾患の治療にも承認されておらず、アメリカ合衆国環境保護庁によると、低用量の二酸化塩素への慢性的な曝露は生殖機能と神経発達に障害を引き起こす可能性がある。二酸化塩素のヒトへの影響の研究はほとんどなされていないが、動物実験は多く行われている。サルの1種グリベット(Grivet)では、二酸化塩素は6ヶ月で甲状腺の機能不全とCD4陽性T細胞数の減少をもたらすことが示されている。ラットでは、飲水中100 mg/Lの二酸化塩素の曝露によって3ヶ月で赤血球数の減少がみられた。アメリカ合衆国労働省は二酸化塩素の吸入による職業曝露を0.1 ppmに制限しており、ラットは10日間の10 ppmの曝露で死亡し、事故によって19 ppmに曝された労働者が死亡している。同省によると、「二酸化塩素はヒトの呼吸器と眼に対する重度の刺激性がある」とされている。
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