学術的な定義
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図像や形象においての象徴については、哲学者や言語学者などによって、相当の蓄積がある。これらは、過去成立した数多の社会体制において育まれた文化的概念、すなわち言語、芸術、宗教、哲学、風俗、時事など、歴史的な経緯により成立して広まり、当時の人々の間に生きて使われていた社会通念・概念のうち、目に見える形で表現され、後世に遺されたものである。扱う研究対象によって、ありとあらゆるものが見られるが、一例として、エルンスト・カッシーラーの「象徴形式の哲学」やスザンヌ・ランガーの「シンボルの哲学」、ホワイトヘッドの論考「象徴作用」、パースの記号理論、宗教人類学者のミルチャ・エリアーデ「イメージとシンボル」などがある。論者によって象徴の定義も異なるが、「記号のうち、特に表示される対象と直接的な対応関係や類似性をもたないもの」として定義されることもある。これは定義の 2. に相当する代名詞的な用法である。 無論、平面上の記号や絵図のみならず、(実在如何に関わらず)存在や立体、無形物である音や光や香り、言葉の上だけの概念なども広義の象徴に含まれ、研究対象となる。ただしそのほとんどが失われた概念という無形物であるために調査類推も困難で、体系化されているのは象徴と意味との対応性がよく保存されている宗教象徴や偶像美術(イコン)や言語学の分野のみであるが、通常これらは象徴とは呼ばれず各分野の名称で独立的に扱われる。その他の手がかりは総じて少なく、前述の体系化された分野からの知見のみで類推という形を取る場合も多い。象徴研究は、文化の総体から理解がなされる必要性から、通常は文明を単位とした考古学に含まれ、しかも研究者ごとに必要に応じて行われており(文化的背景から象徴の意味を知るのではなく、失われた文化を知る手がかりとして象徴の意味類推が求められる)、象徴のみを専門に体系化した学問はまだ存在しない。概念的に近い物として美術分野における図像解釈学がある。
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学術的な定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/23 03:37 UTC 版)
言語学の世界では何らかの言葉を言語とするか既存言語の方言とするかについては、概ね二つの方法論が存在する。一つの方言連続体に属する限りそれらを一つの言語とする場合と、言語にとっての根本的で最も重要な要素である「意思の疎通」が可能かどうかで判断する場合である。 前者の場合は文法や語彙の全体的な連続性を重んじた学術性の強い判断だが、現実問題として一つの方言連続体が一まとめにされていることはほとんどない。例えばロマンス諸語は全てが連続している古典ラテン語の方言だが、現実にはスペイン語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語などの国家語に分裂している。また言語分類が政治問題となるのは、「互いに言葉が通じる」という親近感・仲間意識が、国家や民族などの共同体を形成する上で大きな効力を発揮するからである。だが方言連続体はその性質上、離れた方言同士は意思疎通ができないケースが多く、合理性の面で不都合が生じがちである。 これに対し、意思の疎通を重んじる立場の論者も居る(エスノローグなど)。だが彼らの分類に従えば、今度は逆に既存の言語を細分化することになる。一例を挙げれば、各方言の独自性の強いドイツ語などは十数個の言語に分解されてしまう。 言語学では今のところ、上記の二つの手法のどちらかを正当とすることはなく各国の基準に委ねているが、前者に沿った条約(ヨーロッパ地方言語・少数言語憲章)が制定されたことが、微妙な立ち居地にある地方言語の線引き議論を前進させるのではないかと期待されている。
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