南極条約の締結
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緒戦における圧倒的な勝利を後ろ盾に、ジオン公国政府は地球連邦政府に休戦条約の南極条約を持ちかけた。名前の由来は条約が締結された地、南極に由来する。 ジオン公国軍は一年戦争の緒戦である一週間戦争からルウム戦役において、連邦軍本部であるジャブローの壊滅こそ失敗したものの、地球連邦宇宙軍随一の名将レビル将軍を捕虜にするなどの大勝利をあげた。これをふまえたジオン軍の主張は事実上の降伏勧告であり、地球連邦軍にはこれ以上の抗戦を行う戦力が残っておらず、条約を呑む以外に道はないと思われた。しかし、捕虜の身にあったレビル将軍が連邦軍の特殊部隊により救出され、条約締結のための会合が開かれていた正にその時に全地球規模での「ジオンに兵なし」演説を行い、ジオン軍の内情を暴露しあくまでジオンに対する徹底抗戦を主張した。なお、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、レビルの救出に際しては戦争継続を望むキシリアの一派やレビルの解放により早期終戦を願うデギン・ソド・ザビが裏で手を回したと取れる描写が存在する。 この演説で事態は一変し、ジオン公国は停戦協定をあきらめ、戦時条約の締結に変更された。0079年1月31日に締結された南極条約は、捕虜の取り扱いや核兵器の使用禁止などを定めた内容となった。 内容 大量破壊兵器の使用禁止NBC兵器の使用および大質量兵器(コロニー落としや小惑星落下など)使用の禁止 核ミサイルの設計図の公開 特定地域および対象への攻撃禁止サイド6等の中立宣言地域での戦闘禁止 グラナダを除く月面都市への攻撃禁止 ヘリウム3を運搬する木星船団(木星エネルギー船団)への攻撃禁止 捕虜の待遇に関する取り決め階級による区別や食事・尋問方法など捕虜の取り扱いに関する事項 しかし、条約が締結されたが核兵器についてはオデッサ作戦終盤において、ジオン側の司令官マ・クベ大佐が条約に反して連邦軍に水爆ミサイルの使用を宣言。実際に発射するも、ガンダムの活躍により弾頭を無力化されて事無きを得ている(TV版)。この戦いでは欧州方面軍師団長ユーリ・ケラーネ少将も、オデッサからの撤退にあたって気化爆弾(描写はモビルスーツが蒸発するほどの核爆発)を使用した。また、直接的な核攻撃ではないが、地球連邦軍の極東方面軍に属する独立機械化連隊の連隊長イーサン・ライヤー大佐は、ラサ基地破壊の為に坑道内に於けるトラップの存在を承知の上で陸戦型ジムを多数突入させ、友軍モビルスーツの核融合炉誘爆による核爆発を意図的に起こそうとしている。 また、生物兵器については、ジオン公国が生態系破壊を目的とした生物兵器アスタロスを開発していた。末期にはキリング中佐がルビコン計画のために独断でサイド6に向けて核ミサイルの使用を画策する等。サイド6は表向きは中立区としてジオン・連邦軍に対して入港を許可しているが、連邦軍はガンダムNT-1の開発施設、ジオン軍はNT研究施設フラナガン機関を設置している。捕虜については拷問に近い尋問や、情報流出防止の為の捕虜殺害が行われたケースがあった。 地球連邦政府とジオン公国との間で戦時条約として結ばれた本条約は一年戦争の終結と共にその効力を終了しているが、後に勃発した諸紛争においてもその基本概念は地球圏における戦闘でのタブーとして不文律的に扱われることになった。一例に、一年戦争後の宇宙世紀0083年10月31日におけるデラーズ・フリート(ジオン軍残党)司令官エギーユ・デラーズ中将の演説がある。デラーズは、核弾頭を搭載した連邦軍のガンダム試作2号機を「南極条約違反」と糾弾した。ただしデラーズは作中で「連邦と一年戦争の終結を決めたのはジオン公国と関係ないジオン共和国であり、一年戦争は継続中である」と演説しており、既に一年戦争は終結したと考える連邦とは主張が異なる。運用前提である試作2号機の核は、実際のところは南極条約に違反する行為であるが、連邦軍の優位性を確立するためにはやむなしとされた。『機動戦士ガンダムUC』においては、「袖付き」が単なるテロリスト集団として扱われ、南極条約の適用外とみなされている事が描写されている。
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