南極氷床の融解
別名:南極の氷床の融解、南極氷床融解、南極の氷床融解、南極の氷床の崩壊、南極氷床の崩壊
南極大陸を覆う巨大な氷塊(氷床)が融けて崩壊すること。
南極氷床は現在、融解し続けており、その進行度合いは急速に進みつつあるとされる。南極氷床の融解の主な要因のひとつが地球温暖化であるとする見解が一般的となっており、南極氷床の融解はしばしば温暖化問題・環境問題の象徴的な現象として扱われる。
南極大陸には、その岩盤上に最大3000メートルもの厚みをもって氷床が形成されている。仮に南極氷床が全て融解し、海に流れ出た場合、世界の海は海水面が5メートル上昇し、陸地の海岸線は大幅に変わると推測されている。また、氷床をなす水は淡水であり、南極氷床だけで全地球上の淡水の大半を占めるとされる。南極氷床が全て融解すれば海水の塩分濃度も顕著な影響を免れない。
2014年5月に米国のNASAを中心とする研究チームが、南極氷床の融解はすでに臨界点を突破し、もはや食い止めることのできない段階に至っているとする研究結果を発表した。同発表によれば南極の氷塊は大陸の岩盤と接する部分から浸食されるように融解しており、融解が加速度的に進行しているのだという。
関連サイト:
NASA-UCI Study Indicates Loss of West Antarctic Glaciers Appears Unstoppable - NASA
南極氷床の融解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 19:31 UTC 版)
南極氷床への地球温暖化の影響に関しては、融解量を降水量が上回り、氷床が減少しない可能性も指摘されていた。また寒冷化説などを論拠に地球温暖化による海面上昇を否定する主張も見られた(地球温暖化に対する懐疑論#氷河融解と海面上昇を参照)。しかし南極やグリーンランドの氷床の融解速度については不明な点が多いとして、IPCC第4次評価報告書 (AR4) では今世紀中の海面上昇量に関し、氷床等の流下速度の変化の影響を含めなかった。しかしAR4以後、南極の氷床が予想よりも急速に融解していることが複数の報告によって指摘され、2006年までの10年間で西南極氷床の広い範囲で融解速度が59%速まっていることや、海へ氷が流れ落ちる速度が2003年までの10年で12%加速していたことなどが判明している。また予測を上回る大規模な融雪現象も観測されている。このためIPCCの報告書に記載されているよりも海面上昇量が顕著に増加することが懸念されている。特に西南極氷床 (WAIS) は海水が下に入りこみやすいため、従来の予測よりも短期間で融解して最大6mの海面上昇を招く可能性が指摘されている。さらに2009年には、安定していると見られていた東南極氷床 (EAIS) でも氷量の減少が確認され、懸念が一層高まっている。2018年にはアメリカの大学の調査により、南極で最も氷の融解が進むパインアイランド氷河の下で火山が活動して氷を溶かしていることが判明した。
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