氷河融解と海面上昇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:16 UTC 版)
「地球温暖化に対する懐疑論」の記事における「氷河融解と海面上昇」の解説
南極やグリーンランドなどに大量にある氷河、氷床は降雪と融解が均衡していれば一定量を保つが、この均衡が崩れると海水準変動に繋がる。地球の平均気温が上昇すると融解(減少)が速まり、海面上昇の要因となる一方で、降水量(降雪量も含む)が増加し海面低下の要因となるとされる。 (主張)IPCCのAR4時点の全球気候モデルによる予測の一部には、南極大陸の内陸部で降雪が増えることで氷床が増加して、海面が下がると論じられている。(遠藤ら(2006)) の論文に対し、用語の定義を間違って解釈し、間違ったまま理論展開しているため誤った結論が導かれているとの指摘がある。(反論)南極大陸では内陸部で氷床が増加している部分もあるものの、大陸全体では氷量が減少している。さらに近年は氷床の融解の加速により、AR4の見積もり以上に海面上昇が速まる可能性が指摘されている。(南極氷床、南極の気候参照)。AR4時点の全球気候モデルでは取り入れられていないが、西南極やグリーンランドの氷河の流出速度の加速が海面上昇量を顕著に促進するとされている、近年の各国の衛星の観測結果からも南極氷床は明らかに減少傾向を示していると報告されている。AR4の海面上昇量の予測には、当時の知見不足を理由として、氷床等の流下速度の変化が織り込まれていない。また南極氷床の融解はAR4記載の数値よりも急速に発生する可能性があり、AR4の記述が楽観的すぎると指摘されてきた。実際にAR4以後は予測より速い融解を示唆する観測結果の報告が相次いでおり、海面上昇量がAR4に書かれた値の倍以上になる危険性が指摘されている(海面上昇#南極氷床の融解参照)。 (主張)2005年頃までの一部の観測データでわずかに気温の低下傾向が見られるので、南極やグリーンランドの氷は寒冷化して増加するはずである。(反論)地球の平均気温とは点で測るものではないため、例えいくつかの観測点で下がっていても全て下がっている訳ではない。AR4に集約された地球全体の観測結果からは、地球全体としてみれば気温は上昇しているとされる。AR4では最終的には南極の気温も上昇すると予測され、2008年には実際に気温上昇とそれに伴う異変が報告されるようになった。 (主張)AR4のヒマラヤの氷河の消滅時期に関する記述に誤りが見つかった(AR4参照)。(反論)(ヒマラヤの氷河群を含む)世界の氷河群が後退していることに変わりはない。報告書の結論は揺るがない。 (主張)海面上昇の象徴として取り上げられるモルディブやツバルでは、長期的に海水面が変動していない、あるいは低下している。(反論)世界中の地質学的に安定な観測点のデータは明らかな上昇傾向を示す(右図)。ツバルで現在発生している問題は主に(地球規模よりも)ローカルな要因によるが、それにより今後予想される海面上昇に対して脆弱になっていると見られる。
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