気候学的な役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 15:41 UTC 版)
南極周極流は、太平洋・大西洋・インド洋の3つの大洋を繋ぐことで、地球上の熱と物質の再分配を担っている。具体的には、西、東オーストラリア、ペルー、フォークランド、ブラジル、アガラス海流などによって水塊の交換が行われている。南極周極流を横切る流れとして、底層では南極沿岸の海氷生産に由来する南極底層水が低緯度側へと輸送されている。一方で、中深層ではグリーンランド沖で沈み込んだ北大西洋深層水に由来する周極深層水が渦拡散などによって高緯度側へと輸送されている。したがって、南極周極流は全球の海洋深層循環(熱塩循環)の中枢であり、地球上の熱循環と炭素循環を考える上で本質的に重要である。 南極周極流によって東向きに運ばれる周極深層水は、南極沿岸域において最も高温・高塩分な水塊であるため、南極の気候を制御している。周極深層水が南極の大陸棚に流入すると、南極の棚氷の融解を引き起こす。こうして海が供給する熱が、南極氷床の融解が進行している主な原因となっている。地球温暖化に伴って偏西風が強化されることが予測されているが、風が強くなると周極深層水の極向き渦輸送を強化する可能性があるため、氷床融解への影響が懸念されている。
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