気候変動観測体制の整備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 16:50 UTC 版)
「みらい (海洋地球研究船)」の記事における「気候変動観測体制の整備」の解説
海洋科学技術センター(JAMSTEC)は、1971年に創設されて以降、主として深海調査に重点を置いてきた。しかし1982年から1983年にかけて20世紀最大規模のエルニーニョ現象 (1982–83 El Niño event) による世界規模の農業被害が発生し、著名な芸能人を結集したUSAフォー・アフリカなどの支援活動が行われるなど、1980年代には気候変動への関心が次第に高まりつつあった。そして1987年から1988年にかけて比較的小規模なエルニーニョ現象が発生したことから、JAMSTECは急遽、深海潜水調査船支援母船「なつしま」を投入し、気象庁と合同で、日本初のエルニーニョ観測「JENEX87/88」を実施した。赤道太平洋の東側は米国等の観測により比較的データが豊富であったが、西側はあまり観測されておらず、「JENEX87/88」はそのデータ不足を埋めるものとして世界的にも評価された。 しかし、JENEX87で用いられた「なつしま」は深海潜水調査船「しんかい2000」の支援母船でもあるため、継続的に気候変動調査に投入することは困難であった(このため、JENEX88では東海大学の「望星丸二世」が用いられた)。また継続的な観測のため、太平洋に定置式の海洋観測ブイ・ネットワークを構築することが計画されていたが、このためには大型の母船が必要であった。そして上記の経緯により、「むつ」の基本設計には海洋観測船としての要素も色濃く残っていた。 これらの情勢が複合的に作用した結果、1993年の海洋開発審議会答申により、「むつ」は原子炉を撤去した後、JAMSTECに移管されて、海洋観測船として改装・再建造されることになった。これによって建造されたのが本船である。
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