気候学的な違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 07:52 UTC 版)
熱帯雨林が広がる地域では熱帯収束帯(ITCZ)に沿う活発な積雲対流による激しい降水が一年を通して見られる。一方、雨季と乾季がある熱帯サバナなどの地域では熱帯収束帯に入る雨季に同じような降水が見られる。緯度20-35度付近の中緯度の大陸東側では、夏季は亜熱帯高気圧の西縁となるため湿った南風により大気が不安定となり時折激しい降水がみられる一方、冬季は寒帯前線の南下により温帯低気圧が通過し稀に激しい降水が見られる。また緯度40-55度付近の高緯度の地域では寒帯前線に沿う温帯低気圧の活動が活発で稀に激しい降水が見られる。 また、雷雨の発生頻度からみても、熱帯雨林や熱帯サバナ地域では頻度がかなり高いほか、中緯度の大陸東側でも頻度が高い。前者は大気の不安定度が高く積雲対流が発達しやすいため、後者は特に夏季に対流圏下層で暖湿流が流れ込んで大気が不安定化しやすいため である。一方、海洋は前述と同じ緯度帯にあっても雷雨の頻度が少ないが、その原因として海洋では積乱雲中での霰の形成が活発ではないこと(雷は霰の形成に密接に関わっている)が挙げられる。 単位時間当たりの降水量の極値で見ると、地球上では日降水量は約2,000mm、1時間降水量は約400mm、10分間降水量は約150mmがそれぞれ限界と考えられている。なお、数日間から1日間の極値は熱帯の地域、1日間から1時間の極値は亜熱帯の地域であるのに対し、1時間から1分間の極値は熱帯から中緯度まで様々な地域で記録されている。 激しい雨の時の大気場についても気候による差が見られる。日本では積乱雲の内外に亘って対流圏内が広く湿潤な場合が多い一方、大陸、例えばアメリカのテキサス州などでは対流圏内が全層に亘って乾燥していて雲域だけが湿潤な場合が多く、この環境で生じる積乱雲は雲頂高度が15kmにも達することが珍しくなく、大きな雹、メソハイの発達、強い下降気流など日本とは異なる特徴を有する。よって、気候の異なる地域の豪雨を扱う際には注意が必要である。
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