労働改造制度とは? わかりやすく解説

労働改造制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 06:16 UTC 版)

労働改造所」の記事における「労働改造制度」の解説

労働改造」という言葉中華民国の法律にはなく、中華人民共和国成立後成立した概念である。中華民国34年1945年)に施行された「監獄行刑法」において、矯正処遇の意味使われていたのは「教化」という言葉である。中華人民共和国成立後1954年施行された「労働改造条例第一条明記されているように、「すべての反革命犯(政治犯)とその他の刑事犯を懲罰するため、並びに犯人労働通じて自身改造し新しい人に生まれ変わるのを強制するために、本条例を制定する。」、労働改造反革命犯及び刑事犯懲罰改造するための処遇措置であった。 「共産党宣言」で下記声明がされているように、共産党目的プロレタリアート革命であった。「これまでの社会歴史はすべて階級闘争歴史である」、「われわれの時代すなわちブルジョアジー時代特徴は、階級対立単純にしたことである。全社会は敵対する二大陣営にますます分裂しつつある。直接相対立する二大階級、すなわちブルジョアジープロレタリアートである。」、「プロレタリアート暴力用いてブルジョアジー転覆し自己の支配確立する。」それに反する者は「反革命分子」と呼ばれた労働改造主目的は、階級闘争の手段として、反革命分子ブルジョワジー政治思想条例でいう「新しい人」、即ちプロレタリアート独裁服従する人に強制的に改造することである。「労働改造は、政治思想教育と結びつかなければならない」(労働改造条例第二十五条改造目的対し手段労働である。マルクスはかつて「体力労働すべての社会病毒防止する偉大な消毒剤である」と述べている。労働改造によって発生した生産活動は、「労働改造生産国家経済建設寄与するもので、国家生産建設総合計画含まれるべき項目である。」(労働改造条例三十条)と定められた。「改造第一生産第二」が党の方針であったが、実際労働改造機関当局にとって重要な労働力供給源だった。特に建国当初経済開発において、労働改造制度は無償労働力供給する重要な政策で、毛沢東時代囚人たち道路水路ダムなどのインフラ建設駆り出された。これらのプロジェクト無償労働力なしに、政府財政では到底実現できるものではなかった。 「労働改造条例」で指定されていた労働改造機関は、看守所、監獄労働改造管教隊、少年犯管教所である。1990年3月17日に「看守条例」、1994年12月29日に「監獄法」が施行され物理的には「労働改造機関」は監獄法施行同時に廃止され監獄看守所へと名称変更された。「労働改造条例」は2001年廃止されている。 しかし政治思想改造目的とした労働改造理念依然として監獄看守所に残存する。このことは法律上、以下の論理構造から見抜くことが可能である。「中華人民共和国プロレタリアート指導する労働者農民連盟基礎とした人民民主独裁社会主義国家である。社会主義制度中華人民共和国根本制度である。いかなる組織又は個人による社会主義制度破壊禁止する。」(憲法第一条)、これにより法律上人民民主独裁共産党政権)及び社会主義制度異論持ち行動起こすことは違法行為見なされる。「労働能力のある受刑者は、労働参加し教育改造を受けなければならない」(刑法第四十六条)、刑法盛り込まれ労働改造理念である。「監獄懲罰改造結合、及び教育労働結合原則として受刑者処遇し受刑者遵法市民改造する。」(監獄法第三条)、この場合の「遵法市民」は無論憲法第一条遵守することも含まれ労働改造条例で示す「新しい人」に近似する性質を持つ。 「看守所」は主に刑事被疑者被告人有期刑一年以内あるいは残刑期間が一年以内受刑者収容する刑事施設である。法律上看守所は懲役科されていない刑事被疑者被告人対し思想改造目的とした労働割り当てることが可能である。「看守所は、刑事被疑者被告人対し法律道徳時勢及び労働教育実施する。」(看守条例第三十三条また、1991年公布された「看守条約実施方法」では、「看守所は円滑に刑事被疑者被告人対し改造業務遂行できるように、教育制度確立しなければならない。」(第四十条)、「刑事被疑者被告人思想改造促進するために、安全を保障することができ、かつ捜査起訴審判影響及ぼさない前提で、看守所は刑事被疑者被告人に対して適度な労働割り当てることができる。」(第四十三条)と明記されている。被疑者被告人対す労働強要推定無罪の原則反するものである

※この「労働改造制度」の解説は、「労働改造所」の解説の一部です。
「労働改造制度」を含む「労働改造所」の記事については、「労働改造所」の概要を参照ください。

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