労働改造製品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 06:16 UTC 版)
労改機関は収容施設形態と企業形態(「労改企業」)の二面性を持ち、労改機関の長は労改企業の経営者、被収容者は労働者の性質を兼ね、名称上当局と内部が使用する機関名称と外部に対して使用する企業名称を備えている。労改機関は被収容者を労働市場価格に比して遥かに安い人件費コスト(ほぼ無償に近い)で生産活動に従事させることで、容易に民間の競合他社より人件費コストに起因する価格優位性のアドバンテージを手に入れることができる。様々な優遇措置を享受し、安価な労働資源を抱える労改企業によって製造された商品は、調達者、消費者にとって一般の企業では到底実現できない魅力的な価格優位性を持っている。 米中双方の法律上、労働改造製品を米国へ輸出することは違法である。労働改造製品に関して、アメリカ政府と中国政府は、1992年に「労改製品の輸出入及び貿易禁止に関する了解覚書」(Memorandum of Agreement)を締結し、1994年に共同声明(Statement of Cooperation)を公布している。またアメリカの法律は受刑者、強制労働者が製造した製品の輸入を禁じている(U.S.C. Title 19 , Chapter 4 , Subtitle II , Part I , § 1307)。刑務所作業製品であると知りながら輸入することを犯罪行為と定めている(U.S.C. Title 18 , Part I , Chapter 85 , § 1761)。中国の法律でも監獄で製造された製品の輸出は禁止されている。1991年10月5日国務院が公布した「労改製品の輸出禁止に関する規定」の第四条では、「労改製品の輸出禁止を重ねて言明する。貿易会社は労改製品を購買し、または他の貿易会社を介して労改製品を調達し輸出してはならない。監獄は貿易会社に商品を供給してはならない。」と記されている。 上記の関連法律が整備されているが、現状中国の労改製品は国際市場に出回り、特定が難航している。米議会の「米中経済安全保障調査委員会」は2008年11月の報告書で、中国側の情報開示が不十分なために違法輸出の実態解明は「困難」と指摘している。労改企業で生産された製品はカモフラージュとして流通過程でペーパーカンパニー、卸売業者、貿易業者などを介して取引され、アメリカの法律上貿易業者が輸出業者として登録可能のため、実際の製造業者を特定することは難しい。また、仮に労改企業が製造に関与していると分かっていても、法廷上で中国人の証言など有力な証拠を提示できなければ、裁判所は差押え許可を下すことができないため、税関で防ぐことは大変困難である。
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