代謝機能や疾患等の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 19:59 UTC 版)
「かずさDNA研究所」の記事における「代謝機能や疾患等の研究」の解説
2016年(平成28年)12月、遺伝子変異によりどのような病変がもたらされるかを高精度に予測できる参照データベースをSTAT1遺伝子で作製(広島大学、岐阜大学と米国ロックフェラー大学の共同研究)。STAT1遺伝子に入った変異により引き起こされる原発性免疫不全症を高精度に予測し、STAT1遺伝子変異の病態理解と治療法開発に貢献。 2018年(平成30年)4月、遺伝子変異解析データの信頼性を評価するためのプロトコルを開発。多くの遺伝性の病気とゲノム情報の変化(変異)の関係が明らかとなってきたことから、ゲノム情報から病気の診断や治療、予防を行う、いわゆる「ゲノム医療」が進展。一方、次世代シーケンサーから遺伝子変異を正しく判定できない状況があったことから、99%以上の信頼度で遺伝子変異を確定する技術を開発(Percipere有限責任会社、神戸医療産業都市推進機構 先端医療研究センター、理化学研究所生化学センター、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学、千葉大学、千葉大学病院、榊原記念病院、東京工科大学との共同研究)。 2018年(平成30年)11月、ぜんそくなどのアレルギー疾患における新たなブレーキ経路を発見(千葉大学中山俊憲教授の研究グループとの共同研究)。アレルギーを引き起こす病原性2型ヘルバーT細胞の機能を抑える分子を発見。 2018年(平成30年)11月、微量サンプルを対象とした、タンパク質の網羅的解析(プロテオーム解析)を開発(無孔性逆相カラムを用いた超高感度プロテオーム解析用ナノLC-MS/MSシステムの開発)。 2019年(平成31年)1月、ヒト人工染色体ベクターを改良し、iPS細胞での新たな遺伝子発現システムを開発(かずさDNA研究所、株式会社クロモリサーチ、愛知医科大学との共同研究)。かずさDNA研究所の特許技術である、新規部位特異的組換え酵素システムVCre/VloxPとSCre/SloxPを利用。 2019年(平成31年)1月、脂肪酸代謝による免疫記憶システムについて発表(千葉大学との共同研究)。 2019年(令和元年)12月、簡便なタンパク質の高深度分析システムを確立(理化学研究所、東京大学、慶応大学との共同研究)。プロテオーム解析システムの要となる液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC/MS)のLC流速やMS取得方法を検討することにより実現。 2020年(令和2年)5月、先天性疾患のスクリーニングなどに広く利用されている乾燥ろ紙血(DBS)から疾患に関与する多くのタンパク質を直接検出する高感度な分析法を開発。プロテーム解析の感度と定量限界を拡大でき、新生児などの先天性疾患の検査への応用が可能に(複数者による共同研究)。 2020年(令和2年)7月、ヒト幹細胞分化に関係する転写因子の網羅的な同定とその解析を実施。すべての細胞に変化することができるヒト幹細胞としてiPS細胞やES細胞が知られているが、特定の細胞を作る方法は、未解明な部分が多い。。慶應義塾大学を中心とした共同研究で、ES細胞に714種類の遺伝子を組み込み、細胞がどのように変化するのか詳細なデータを収集(慶應義塾大学、国立成育医療研究センター、株式会社テンクー、株式会社DNAチップ研究所と共同研究)。 2020年(令和2年)10月、がん細胞が産生する生理活性因子IL-34が,免疫チェックポイント阻害療法に対する抵抗性獲得に関与することを発見(北海道大学、順天堂大学、DNA-Link社との共同研究)。 2021年(令和3年)1月、胆道閉鎖症の診断マーカー候補を発見(東京大学、理化学研究所、群馬大学との共同研究)。消化器系疾患の診断のため、糞便中のタンパク質を包括的に解析する方法を確立。糞便中のタンパク質2000種類以上の検出に成功し、胆道閉鎖症により変動するタンパク質100種類以上の同定に成功。 2021年(令和3年)3月、細胞から分泌されるタンパク質の簡便な解析法を開発。血清中のアルブミン除去により、血清を含む培地を対象としたプロテーム解析が可能に。 2021年(令和3年)6月、抗ウイルス応答を高める脂肪酸代謝スイッチの発見について、論文発表を実施(東京慈恵会医科大学、千葉大学、国立感染症研究所との共同研究)。脂肪酸代謝経路を適切にコントロールすることで、Ⅰ型インターフェロンが協力に誘導されることを明らかにした。 2021年(令和3年)6月、新たな免疫不全症(AIOLOS異常症)を見つけ、その発症機構を突き止めた(東京医科歯科大学、理化学研究所、米国国立衛生研究所(NIH)、広島大学、千葉大学、ロックフェラー大学と共同研究)。 2021年(令和3年)11月、ぜんそくの新たな治療法の鍵となる代謝酵素の発見し、重症アレルギー疾患が収束するメカニズムを解明。肺の組織制御性T細胞(Treg)が炎症細胞よりも遅れて増え、病原性の高い細胞集団を抑制することで肺炎を収束させることを発見。肺Treg特異的な脂質代謝酵素Acsbg1を同定したことで、ぜんそくを収束させる創薬ターゲットが広がった(東京慈恵会医科大との共同研究)。 2021年(令和3年)11月、ぜんそくとアトピー性皮膚炎の新たな治療標的を同定。脂質代謝によるヘルパーT細胞の分化制御機構に着目し、脂肪酸代謝を制御するACC1という酵素が、病原性T細胞の産生するIL-5やIL-3などのサイトカインの産生を誘導していることを発見。病原性T細胞のACC1を人為的にコントロールすることでアレルギー性炎症を抑制できることを明らかになったことで、根治治療に繋がることが期待される。アレルギー疾患治療のための有効な創薬ターゲットが広がった(千葉大学との共同研究)。
※この「代謝機能や疾患等の研究」の解説は、「かずさDNA研究所」の解説の一部です。
「代謝機能や疾患等の研究」を含む「かずさDNA研究所」の記事については、「かずさDNA研究所」の概要を参照ください。
- 代謝機能や疾患等の研究のページへのリンク