仁和寺黒塗手箱聖教とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 仁和寺黒塗手箱聖教の意味・解説 

仁和寺黒塗手箱聖教

主名称: 仁和寺黒塗手箱聖教
指定番号 2527
枝番 00
指定年月日 2003.05.29(平成15.05.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 65巻、3冊、138帖、32通、16鋪、28
時代区分 平安
年代
検索年代
解説文:  仁和寺宇多【うだ】法皇開祖とする密教寺院で、真言宗広沢流本拠である。この「仁和寺黒塗手箱聖教」は、仁和寺伝来している御経蔵みきょうぞう聖教塔中たっちゅうぞう】聖教とともにまとまった聖教である。特に、歴代門跡相承する孔雀経法はじめとする修法伝法灌頂など御流の法会などに関する次第書中心とする構成になっている
 「黒塗手箱」の名称は、顕證けんしょう】(一五九七~一六七八)による御経蔵聖教目録「御聖教目録」に「第三 黒塗手箱」と初見する。顕證寺内伝来していた聖教文書類を整理し保存のために修理施している。それらを納めるために新調された箱が「黒塗手箱」である。「黒塗手箱」の正面には、「傳法」「長者」「結縁」「五壇」「曼供」「日次」「付法」「入室出家」「後七」「仁王請雨」「如法」「北斗」「孔雀」「雑」「差図」「御修法」と白・朱漆にて箱書記され、箱ごとに分類整理されたことが知られる
 手箱に入るように、聖教多く顕證による修理時に巻子本から折本改装されている。その際巻子本外題部分截断されて、改装され折本題簽利用されているものもあり、折本小口には墨書書名記されているものもみえる。
 主要な箱の内容示してみると、「傳法」箱には、御流、広沢流小野流伝法灌頂記が収められている。御流は仁和寺御室法流であり、真言密教において最も尊貴法流として重んぜられている。御流では仁和寺歴代法親王伝法灌頂記が伝えられている。
 「結縁」箱には、守覚(一一五〇~一二〇二)が法親王として初度大阿闍梨勤めた寿永元年一一八二)十二月恒例結縁灌頂記録した観音院結縁灌頂記』が収められており、『観音院結縁灌頂交名』は守覚の自筆本である。
 「日次」箱の『仁和寺御伝』は、「寛平法皇」(宇多天皇)より「道助法親王」(光台院御室)に至る仁和寺門跡簡単な略歴記したもので、その成立鎌倉時代中期で、他に類本がない貴重なのであるまた、『北院御室日次記』は、守覚自筆日次記として残る唯一の原本である。具注暦間明五行)に書き込む当時日記形態をよく伝えている。治承四年(一一八〇)十月八日から十一月三十日までの短期間記事であるものの、その内容には十月十二日条の湛覚を殺そうとした熊野別当湛増に関する宣旨十一月二日条の関東追討使敗退十月二十日富士川の戦い)や十一月二十六日条の福原からの還都など、源平の争乱に関する興味深い記述もみえる。
 御修法関係では、真言院後七日御修法はじめとして仁和寺御室が他寺他流排して独占的に修すべき大法である孔雀経法以下、仁王経法、請雨経法の二箇の大法普賢延命如法尊勝五大虚空蔵如法愛染秘法などの次第書伝えられている。後七日御修法関係の次第先例などを編纂した『御質抄』の鎌倉時代前期写本残されている。
 「差図」箱には、仁和寺はじめとして清凉殿栂尾院などの差図が収められている。特に「常瑜伽指図」は、室町時代御室御所であった瑜伽院を描いた差図で、建物名部屋名などを多く記し当時院家建築様子知られるとともに御室御所内をうかがうことができる最古の図として貴重である。
 「雑」箱に収められている「円堂鬼図」は右側円堂点の点図左側円堂鬼を記している。円堂点は一〇世紀末出現し仁和寺などを中心に広沢流広まり鎌倉時代まで盛んに使用され第五群点に属すヲコト点である。一種類だけの点図記した鎌倉時代遡る遺品として貴重である。
 このほか、紙背文書にも注目すべき内容のものがみえる。
 黒塗手箱聖教鎌倉時代から室町時代中心にして、歴代門跡伝法灌頂および孔雀経法などの真言密教修法に関する記録法会差図が収められており、仁和寺において特別な扱いを受けるべき内容有するのであるこのように黒塗手箱聖教仁和寺御室としての歴史とその法流である御流を伝え根本聖教であるとともに真言密教代表する聖教である。
重要文化財のほかの用語一覧
書跡・典籍:  五行大義  五行大義巻第五  亭子院歌合  仁和寺黒塗手箱聖教  仁孝天皇宸翰及一座短籍  仁王経疏  仁王経良賁疏



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「仁和寺黒塗手箱聖教」の関連用語

1
8% |||||

仁和寺黒塗手箱聖教のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



仁和寺黒塗手箱聖教のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS