ンマハラシーと琉球古武道
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尚真王時代の「武器禁止令」の実態は琉球王国全土から武器を取り上げ、それを首里王府に集め管理するというものだった。 これは琉球王国にとって有事の際に、この膨大な武器を武士が中心となって琉球王国を護るために使用することを目的としていた。ただ、農家たちは不意に襲ってきた者に対して身近にある用品を使って防護具に使用した。馬の装備品から色々なものが作られるようになった。 ヌンチャク 「ムーゲー」は、木製の轡(くつわ)の一種のことである。普段は馬の顔に装着されているもので、不意の襲撃に遭った時などには、これを外して武器として活用できるように工夫されており、これがヌンチャクの起源であるという説がある。ヌンチャク は、理不尽な暴力や多人数の暴漢に対してその相手の攻撃力を弱め、沈静化するのが本来の目的であり、自ら攻撃的に使用するものではないとされる。そのため、ヌンチャクの形は常に受けから始まる。琉球古武術におけるヌンチャク術には「受け」はなく、体術の「捌き」を用いて攻撃には攻撃で対処するというのが特色である。もとよりヌンチャクの攻撃は片手のみで行えるものであり、そのこと自体に問題はない。しかし、両手で操作しつつ状況に応じて様々な形で(両手で)構えることは、攻撃パターンを千変万化させるものであり、自ずから相手を惑わす効果が大である。琉球古武術のヌンチャク術では、通常の二節のヌンチャク及び、三本ヌンチャク(三節棍)を使用する。 鉄甲 馬には、正しい歩様をさせるため、また少しでも走らせるために蹄鉄が必要となってくる。蹄鉄の目的は肢蹄の保護、蹄壁の摩耗防止、更により良い運動性を与えることにある。沖縄でも良い蹄鉄を作る鍛冶工が多くいた。鉄甲は、もともとは農耕用に使われている馬蹄だったもの。拳に付ければ空手の拳技がそのまま使えるため、習得が早く、効果的な武器として重宝された。馬蹄には角(スパイク)が付いた形をしている。徒手術たる空手の技法を最も端的かつ直接的に応用できる武器が鉄甲である。そのゆえに鉄甲術は、徒手空拳たる空手の言わば総仕上げ的な意味合いで学ぶべき武器術になる。形状としては、外側の突起を用いた突き・打ち・切りが出来るところに特色がある。鉄甲は(特殊な使い方を除き)まさに空手の技法をそのまま応用できる武器であるゆえに、これを使用して稽古することにより空手の武術性・徒手術と武器術の表裏一体性・武術的思想の相互一貫性などを一目瞭然に体感することができ、かつ空手の各技法の鍛錬用具としても有益な効果が期待できる優れものである。 鎌 馬に載せられた鎌は農具の鎌がそのまま武器として使われているもの。琉球の古武道具は、昔の農業器具と関連性があるものが多く、 そのものが改良されずに使用されている鎌は、典型的なものである。 二丁鎌は鎌という道具で、湾曲した刃で梃子(てこ)の原理を用い、少ない力で大きな裁断力が得られること、また相手の武器を引っ掛けて絡(から)め操(と)る特長があることなどから、古来高い殺傷力を有する武器として用いられてきた。合戦では、通常山野がその舞台となるため、陣場を構築するに際してはまず繁茂する雑草や潅木の類を刈り払って見通しの良い環境を整備する必要がある。そのために陣鎌は便利にして不可欠な道具であり、かつ状況によってはそのまま敵と戦うための武器に転用することができる優れものである。鎌術という闘争の技術は、まさにそのような背景から生まれたものであり、その歴史は極めて古いと言える。琉球古武術の鎌術は、分銅鎖等をつけない鎌単体を用いての二丁鎌術である点に特色がある。もとより二丁の鎌を有効に使うためには左右の鎌を同時に操作しつつ、体の運用を適切に行う必要があり、他の武器種と同じく古伝空手の術理を応用したものが琉球古武術における二丁鎌術であると言える。鎌術は空手における掛け手・繰り手系の技法であり、鎌術を修めることによって空手の掛け手・繰り手系の稽古に繋がり、同時に各技の原理的な意味合いや成り立ちを考察する事が出来る。 棒 沖縄の棒の起源は、農具のかつぎ棒からで、多くの形名が沖縄の人名や土地の名で残っている事から、技の体系は琉球の人の手によって編みだされたものと考えられる。中国の棒との大きな違いは、中国の棒が細くしなる棒(皮膚を切り裂く)であるのに対し、沖縄の棒は固く太い棒(骨を砕く)であることが挙げられる。棒術は一本の棒を両手で操作するため、外見上は、一対の武器を左右の両手にもって片手で操作するサイやトンファーの用法とは異なるように見える。しかし棒の操作は左右両手の力関係が絶えず変化するものであるため、その実はサイやトンファーと同じく片手で操作するものであると言える。この特殊な片手操作のゆえに、棒の形状にもまた絶妙なバランスが要求される。琉球古武術において、棒の太さが均一のいわゆる丸棒ではなく、中央が太くて両端の細くなるいわゆる「先細棒」が用いられる。 クルマンボウ 日ごろ食べるトウフや納豆の材料は大豆です。大豆はそのまま取れるのではなく、サヤという殻に入っている。この大豆や麦などの殻をとる道具がクルマンボウです。長い棒と短い棒を木でつないだものです。この短い方の棒をもって、長い方で大豆や麦などをたたいて、殻をとります。クルクルと車輪のように回してたたくことからクルマンボウと呼ばれるようになったといわれている。このクルマンボウを使っての技を使える人はかなり少ない。
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