ほ‐よう〔‐ヤウ〕【歩様】
歩様
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 05:37 UTC 版)
歩行の体育学的な分類としては歩様(歩容、歩法と書く場合もある)による分類がある。二足歩行の歩様にはウォーク(常足、なみあし)、トロット(速歩、はやあし)、ギャロップなどがある。単に歩行と言った場合はトロットのことと考えて差し支えない。 トロットとは交互に軸足が切り替わり、常にどちらかの足が地面に付いている、跳躍期の無い歩き方のことを言う。軸足は瞬間的に入れ替わり、両方に体重がかかっている期間は無いか無視できるほど短いものとされる。トロット歩行の場合、歩行という一見複雑な運動を、軸足の接地点を回転中心とした回転運動として捉えることができ、運動方程式を比較的簡単に立てることができる。このため二足歩行ロボットではトロットを規範とする歩行制御が適用されるのが普通である。 歩行が回転運動だとすると遠心力が発生するはずである。このときの遠心力 F {\displaystyle F} は下の式で表される。 v {\displaystyle v} は重心の移動速度(=歩行速度)、 r {\displaystyle r} は重心位置の高さ、 m {\displaystyle m} は質量である。 F = m v 2 r {\displaystyle F={\frac {mv^{2}}{r}}} Fをmgと置き換えると、次の式が導かれる。 g {\displaystyle g} は重力加速度である。 v = g r {\displaystyle v={\sqrt {gr}}} これは歩行の限界速度を表す式で、これより速い速度で歩行すると遠心力により自然に脚が床面から離れ、走行に移行することを意味している。人間の重心位置の高さを1mとすると歩行の限界速度は11.2km/hとなる(ちなみに競歩の世界記録は13.6km/h(50km)。腰の捻りや足裏のストロークなどが加わるため理論上の数値よりは大きくなる)。走行に至らないまでも、歩行速度が増すと遠心力により軸足が滑りやすくなり、歩行ロボットは転倒しやすくなる。 トロット歩行の場合、水平方向の運動量は理論的には次のステップへ100%伝達される。上下方向の運動量は床面との衝突により失われてしまうが、人間の場合、重心の位置エネルギーをアキレス腱が保存し、軸足交換時に体を蹴り上げて次のステップに伝えていると考えられている。 ウォークは、両脚に体重のかかる期間のある歩様のことである。この歩様では、両足が地面についていると重心の速度ベクトルの向きが一方向に拘束されてしまう。そのため、ステップごとに上下方向の運動量に加えて左右方向の運動量も失われる(重心の軌跡がジグザグになる)ので、エネルギーコストが著しく悪化する。それゆえ、人間や鳥ではあまり行われていない歩行と考えられている。また、2本脚のときと1本脚のときで運動モードが異なり制御が複雑になるので二足歩行ロボットでもあまり行われない。 ギャロップは跳躍期のある歩行で、いわゆる走行のことである。跳躍期とは2本とも脚が地面に付いていない時期のことである。 なお、ここでの歩行の定義は工学における定義の一例である。また、歩様の分類や名前の付け方には研究者により差がある。
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