リン酸・塩とは? わかりやすく解説

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りんさん‐えん【×燐酸塩】

読み方:りんさんえん

燐酸水素金属あるいは塩基置換してできる塩。正塩のほか、燐酸水素塩燐酸二水素塩がある。一般に無色結晶

[補説] 肥料のほか、食品添加物合成洗剤などに利用される


リン酸塩


リン酸塩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/03 08:56 UTC 版)

リン酸塩(リンさんえん、英語: phosphate)は、1個のリンと4個の酸素から構成される多原子イオンまたは基から形成される物質である。リン酸イオンは−3価の電荷を持ち、PO43−と書き表される。食品添加物としても使用される。

有機化学においては、リン酸のアルキル誘導体は有機リン酸化合物と呼称される。

リン酸塩は通常、元素のリンを含み、種々のリン酸鉱物(リン鉱)として見出される。一方、単体のリンやホスフィンなど低酸化状態のリン化合物は自然界では見ることができない(稀に隕石中に、ホスフィン類が見出される)。

化学

HPO42− イオンのスティックモデル。紫: リン原子、赤: 酸素原子、白: 水素原子

水溶液を希釈してゆくと、リン酸塩は4つの解離状態を形成する。一般的には、強塩基性条件では、リン酸イオンは PO43− の状態で存在する。弱塩基性条件ではリン酸水素イオン HPO42− として、弱酸性条件ではリン酸二水素イオン H2PO4、そして強酸性条件では遊離リン酸 H3PO4 (aq) として存在する。

リン酸塩は重合化したイオンとしても存在しうる。P2O74− は二リン酸 (diphosphate) またはピロリン酸 (pyrophosphate)、P3O105− は三リン酸 (triphosphate) というように呼称される。また種々のメタリン酸が多くの化合物として見出されるが、実験式では PO3 と表現される。

生化学

生体系においては、リン酸化合物はリン酸イオンやDNARNAを初めとしたいろいろなリン酸エステル体として見出される。一方、置換ホスフィンなど有機化学で利用されるようなリン化合物は自然界では見ることができない。

生化学の領域ではリン酸イオン溶液は無機リン酸と呼ばれ、ATPDNAあるいはRNAとして結合しているものを指す。そして無機リン酸は記号 Pi で表される。無機リン酸はATPがADP、あるいはADPがAMPになる際にイオンが形成され放出される。他のヌクレオシド三リン酸やヌクレオシド二リン酸でも同様である。

生体では、リン酸イオンはピロリン酸塩と呼ばれる大きなイオンが加水分解して形成される。ピロリン酸は P2O74− の構造を持ち、PPi という記号で表される。

天然のリン酸塩の鉱物

鉱物学地質学リン鉱 (phosphate rock) はリン酸イオンを含む岩石である。

アメリカには巨大なリン鉱が埋蔵されており、中央フロリダのボーンバレー地区、オハイオ州のソーダスプリングス、そして北カリフォルニア州の海岸で採掘されている。比較的小さな鉱床がテネシー州、ジョージア州にも存在する。小さな島国であるナウルには良質のリン鉱が大量に存在するが、採掘しつくされている。またモロッコでも大規模な工業的採掘が為されている。

過剰に追肥された農地からのリン成分の流出は、水環境のリン汚染を引き起こす。それはリン酸塩合成洗剤と同様に富栄養化(藻の大量発生)とその結果の魚や水生生物の酸素欠乏症による死を引き起こす。

過剰摂取と全身老化

ハーバード大学の研究でインスタント麺など多くの加工食品に含まれている無機リン酸塩を現代人は過剰摂取しており、その結果骨密度低下と皮膚筋肉の萎縮など全身老化が進行することがわかっている。なお、マウスを用いた実験ではリン酸値を正常にすれば進行は止まるという[3]。 現行法規上は「リン酸」ないし「リン酸塩」と明示する必要がないため、知らず知らずのうちにリン酸塩を過剰摂取している可能性は高い[4]。 新潟県燕市はリン酸塩の摂取量を減らすために、カップ麺をカップ焼きそば同様一度ゆで汁を捨てたり、袋のインスタント麺は、スープを別にしてゆで汁を捨てるなどの行動で減らすことを提唱している[5]

リン酸塩鉱物

鉱物学において、リン酸塩からなる鉱物リン酸塩鉱物(りんさんえんこうぶつ、英語: phosphate mineral)という。燐灰石(Ca5(PO4)3(F,Cl,OH))などがある。

脚注

  1. ^ 中性洗剤のリン酸塩 シカゴで禁止へ 川や湖の生物を殺す『朝日新聞』1970年(昭和45年)11月5日 12版 23面
  2. ^ 食の安心・安全への取り組み”. 株式会社セブン・イレブン・ジャパン. 2016年12月10日閲覧。
  3. ^ “[http://robust-health.jp/article/preventive01/000033.php 米国には科学情報 いっぱいあるのです。 「ロハス・メディカル」誌面より| 2012年9月号(vol84)掲載]”. 株式会社ロハスメディア. 2020年12月6日閲覧。
  4. ^ “[http://lohasmedical.jp/archives/2016/09/post_373.php 加工食品は老化を早める?~リン酸探検隊① 2016年9月号 (vol.132)掲載]”. 株式会社ロハスメディア. 2020年12月6日閲覧。
  5. ^ 食育だより12月号リン酸塩”. 燕市健康づくり課. 2021年9月25日閲覧。

関連項目


リン酸塩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:24 UTC 版)

リン酸」の記事における「リン酸塩」の解説

詳細は「リン酸塩」を参照 リン酸塩(りんさんえんphosphate)には正塩、および水素塩/酸性塩リン酸水素塩、hydrogenphosphate / リン酸二水素塩、dihydrogenphosphate)が存在しリン酸ナトリウム Na3PO4 水溶液塩基性pH12)、リン酸水素ナトリウム Na2HPO4 水溶液弱塩基性(pH~9.5)、リン酸二水素ナトリウム NaH2PO4 水溶液弱酸性pH4.5)を示す。 アルカリ金属塩、アンモニウム塩可溶であるが、アルカリ土類金属塩をはじめとしてその他のもの極めて難溶性であることが多い。

※この「リン酸塩」の解説は、「リン酸」の解説の一部です。
「リン酸塩」を含む「リン酸」の記事については、「リン酸」の概要を参照ください。

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