ドイツ料理の特徴・歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:04 UTC 版)
「ドイツ料理」の記事における「ドイツ料理の特徴・歴史」の解説
「ドイツの料理」は、フランスやイタリアなど南の暖かく食材に恵まれた国々の料理とは異なり、風土的に食材が不足しがちであるため、これを解消するための工夫が凝らされているのが特徴である。 冬季には作物があまり取れないため、マリネやザワークラウト、ピクルス、ヴルスト(ソーセージ)などの保存食品が発達してきた。ドイツは中小の諸邦がまとまって成立した連邦国家で、しかも東西南北に広がり、南部のバイエルンの山岳地方から、温暖なライン地方、北の湖沼地方まで風土も農産物もバラエティに富んでいるため、一口にドイツ料理といっても数多くのバリエーションがあり、地方によってそれぞれ名前も異なる。地続きの近隣諸国とも相互に影響し合っており、例えばフランスからはユグノーや、フランス革命後には旧貴族やそれに関係した人々が多くドイツに移ってきており、彼らの食文化をもたらしている。 新大陸発見後、南米からもたらされたジャガイモは、長い不作の時期、ドイツの民衆の飢えを満たす上で多大な貢献があった。当時の食糧不足からくる口減らしの悲劇は、グリム童話の子捨てや姥捨て話の中にその痕跡を残している。特に第一次大戦においては、イギリス軍の海上封鎖があり、食糧供給は極端に不足し、多くの餓死者を出した。ドイツ最大の危機は1916年で、ルタバガで飢えをしのいだといわれる(カブラの冬)。アデナウアーは代用品の開発に力をそそいだ。第二次世界大戦においては、ナチス政府は種々の工夫をしたが、その一つはアイントプフ(質素な鍋料理)を推奨したことである。「アイントプフの日曜日」(Eintopfsonntag)キャンペーンでは節約した金を寄付することを奨励した。 ドイツの料理では、ジャガイモを使った料理が必須のメニューに数えられる。女の子は「ジャガイモでフルコースの料理が出来るようになれないとお嫁にいけない」という言葉があるくらい、ジャガイモは大きな役割をもっている。もっとも現代のドイツ人が毎日ジャガイモばかり食べているということはなく、ジャガイモが日常の主食になることもない[要出典]。 一般的な傾向として、保存食としてのニンジンなど各種野菜の酢漬け(ピクルス)、保存された肉や魚の加工や調理が軸になる。魚料理は白身魚のフライとサバやウナギの燻製が有名で、北海沿岸部のブレーメンなどには魚料理を出す店も多い。内陸部ではコイ・マスといった淡水魚が養殖され、旬に応じて食べられている。 ドイツでは朝食と夕食を簡単なもので済ませ、そのぶん昼食は時間をかけたっぷりと食べることが多い。学校や職場に行く時間が早いので、午前10時前後にコーヒーブレイク、俗に「第2の朝食」を摂る習慣がある。夕食を簡素に済ませる場合、特にアーベントブロート(Abendbrot)すなわち「夕べのパン食」と呼ぶ。 シチューや肉料理のような「温かい食事」(warmes Essen、ヴァルメス エッセン) を摂るのは一日に一回以下が普通で、数日に一回という場合もあり、他は「冷たい食事」(kaltes Essen、カルテス エッセン) となる。後者は加熱調理をほとんど使わずに用意できる食事のことで、パン・シリアル、マーマレード・スプレッド類、ハム・ソーセージ・サラミなど塩蔵品、バター・チーズやカードなど乳製品、簡単な卵料理、コールスローやサラダから成り立つ。 一般的には「南ドイツ地方のほうが北ドイツ地方よりも食文化が栄えている」とされる。南ドイツは温暖で土地も肥沃で、小麦やワイン用ぶどうの生産が可能である。ただし、海水魚を使った郷土料理など、北部でしか食べられない料理も存在する。
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