チクングニヤ熱とは? わかりやすく解説

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チクングニヤ熱


ネッタイシマカヒトスジシマカなどのヤブカによって媒介されるチクングニヤウイルス感染症である。チクングニヤウイルストガウイルス科アルファウイルス属のウイルスである。通常は非致死性発疹性熱性疾患である。

疫 学

 チクングニヤウイルス感染症みられるのは、アフリカ南アジア、東南アジアである(図1)。アフリカでは1952年初め流行報告されその後タンザニアウガンダジンバブエ南アフリカセネガルナイジェリア中央アフリカコンゴ流行し近年アフリカ大陸ではコンゴキンシャサ1999年から2000年にかけて5万規模流行報告されている。

1. チクングニヤの報告症例分布(1952-2006年)


アジアでは1958年タイ流行報告された後、カンボジアベトナムラオスミャンマーマレーシアフィリピンインドネシア流行報告されている。いままで日本国内での感染流行はないが、2006年12月海外からの輸入症例2例が報告された。

チクングニヤ熱は、わが国では感染症法規定されていない感染症である。

最近流行
2005年初頭コモロ(Comoro)諸島流行発生したその後チクングニヤウイルスインド洋位置する他の島国モーリシャスMauritiusレユニオンReunionセーシェルSeychellesマヨットMayotte)などに拡大し流行したレユニオン島では、2005年3月から2006年2月までに15万人上の患者発生し死者237人が報告された。この大流行主要な媒介は、日本にも生息するヒトスジシマカであった2006年にはインドスリランカでも流行をみており、香港アメリカフランススイスなどでも輸入症例報告されている。

病原体

チクングニヤウイルスは、トガウイルス科アルファウイルス属に分類されるRNAウイルスで、によって媒介されるウイルスである。

 チクングニヤウイルス1952年タンザニアでの流行初め分離され以来アフリカアジアでその流行報告されている。その主たる媒介ヤブカ属で、主としてネッタイシマカヒトスジシマカである。ウイルス直径70nmのエンベロープ有する球状粒子である(図2)。ヒトヒト感染環を形成し森林ではサルサル感染環が存在するとされている。

図2. チクングニヤウイルス電子顕微鏡写真


臨床症状
症状を示す患者大多数はチクングニヤ熱と呼ばれる急性熱性疾患症状呈する発熱関節痛必発であり、発疹は8割程度認められる関節痛四肢遠位)に強く対称性で、その頻度手首足首指趾>膝>肘>肩の順であり、関節炎症腫脹を伴う場合もある。関節痛急性症状軽快した後も、数週間から数ヶ月わたって続く場合がある。その他の症状としては、全身倦怠頭痛筋肉痛リンパ節腫脹である。また出血傾向鼻出血歯肉出血)、 結膜炎悪心・嘔吐をきたすこともある。また、重症例では神経症状脳症)や劇症肝炎報告されている。


病原診断

 病原体診断では、血清中のRT-PCR法によるウイルス遺伝子検出および由来C6/36細胞やアフリカミドリザル由来Vero細 胞によりウイルス分離を行う。神経症状呈した場合は、髄液か らもウイルス分離遺伝子検出実施する血清診断ではIgM捕捉ELISAによるIgM抗体検出を行う。 急性期比べ回復期における特異中和抗体上昇によっても診 断可能である。チクングニヤウイルス感染したVero細胞は、4日 程度明瞭なプラーク形成する(図3)ので、プラーク減少法に よる中和抗体測定比較迅速に測定できる

図3. Vero細胞形成されチクングニヤウイルスプラーク

治療・予防
通常のチクングニヤ熱の場合には、輸液鎮痛解熱剤投与など対症療法実施する。ただし、出血傾向呈する場合もあるのでデング熱準じて鎮痛解熱剤として出血傾向アシドーシス助長するサリチル酸系のものは避けアセトアミノフェンが望ましい。

 予防に関しては、日中刺されない工夫が重要である。具体的には、長袖長ズボン着用昆虫忌避剤使用などである。






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