シーメンス事件
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シーメンス事件(シーメンスじけん)は、ドイツ帝国のシーメンス商会による日本海軍高官への贈賄事件である。巡洋戦艦「金剛」発注にまつわるイギリスのヴィッカースによる贈賄も絡んで、当時の政界を巻き込む一大疑獄事件に発展した。1914年(大正3年)1月に発覚し同年3月には海軍長老の山本権兵衛を首班とする第1次山本内閣が内閣総辞職にまで追い込まれた。発音によってはジーメンス事件とも呼ぶ[1]。一連の事件の裁判中に第一次世界大戦が勃発し、日本政府はドイツではなくイギリスなど連合国側での参戦を決定した[注釈 1]。
- ^ 政府は、第一次世界大戦勝利後にドイツ帝国の膠州湾租借地を併合することを予定していた。
- ^ アール・ヂック社はガタパーチャ調帯メーカーで、1897年には日本代理店の山崎商店を通して、東京電燈、東京ガス、日本鉄道、古川鉱業所など多くの有力工場に納品していた[2][3]。ガタパーチャは海底ケーブル絶縁体でもあり、イギリスのガタパーチャ社(Gutta Percha Company)が製造販売を独占する素材であった。
- ^ 大日本帝国憲法第67条は「憲法上の大権に基づける既定の歳出、及法律の結果により、又は法律上政府の義務に属する歳出は、政府の同意なくしては帝国議会はこれを排除し又は削減することを得ず」としていることから枢密院 (日本)(当時議長山縣有朋)の関与もある。大権とは統治大権、官制大権、任免大権、統帥大権、編制大権、外交大権、戒厳大権、非常大権。
- ^ 併合韓国では初代総督寺内正毅の時期から、プロテスタント派である日本組合基督教会の渡瀬常吉らが朝鮮総督府から莫大な資金援助を受けて、朝鮮伝道を繰り広げていた。
- ^ 奈倉文二・横井勝彦・小野塚知二『日英兵器産業とジーメンス事件 : 武器移転の国際経済史』 日本経済評論社、2003年、ISBN 4818815047。
- ^ 「英国グラスゴー、アール、ヂック氏専売ヂック調帯」。〈工業雑誌 7巻137号〉、工業雑誌社。1897年
- ^ 「山崎商店」〈機械雑誌 2巻4号〉機械雑誌社、1900年。
- ^ a b c d e f g h 『歴史群像太平洋戦史シリーズ21 金剛型戦艦』p.84-86『シーメンス事件』
- ^ a b c d e f g 『骨董金側懐中時計』p.25-40。『続シーメンス事件秘話』
- ^ 阪谷芳郎日記国立国会図書館
- ^ 伊藤之雄 2009, p. 395-396.
- ^ a b 伊藤之雄 2009, p. 397.
- ^ 伊藤 2016, p. 135-136.
- ^ 伊藤 2016, p. 140-141.
- ^ 『骨董金側懐中時計』p.15-24。『シーメンス事件秘話』
- ^ 大正2年勅令第173号改正。
- 1 シーメンス事件とは
- 2 シーメンス事件の概要
- 3 その他の情勢
- 4 外部リンク
ジーメンス事件と同じ種類の言葉
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