ガチャの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 03:06 UTC 版)
有料(ガチャ課金)と無料のガチャが存在する。 2013年12月に中国政府がガチャ課金が「賭博」であると勧告したため、コンテンツの変更を余儀なくされる など、ガチャ課金は中国に限らず突然「違法」とされるリスクがあるため、同じゲームでも日本と韓国以外ではガチャ課金以外のマネタイズ方式が採用されている場合も多い。一方で「ガチャ」というシステム自体は実装し、「無料ガチャ」でドロップしたアイテムボックスを開いてアイテムをゲットするための「鍵」を有料で販売する、「BOXガチャ」や「確定ガチャ」など、「ランダムではないガチャ」による課金を実装して「賭博ではない」と主張する、など何らかの形でガチャを通じたマネタイズが行われている場合もある。 中国などの一見厳しい規制も実際には無数の抜け穴が存在し、上記のような手法がまかり通っている。韓国で騒動を起こしたネクソンのメイプルストーリーの「キューブ」(装備にランダム効果を付ける上書き式のガチャ)はその典型的な例であり、日本・韓国・米国はもちろんの事、ガチャが表向き禁止された中国や、自国民のガチャ購入を禁じたスロバキア国内からも合法的に購入可能だ。この類のガチャは確率表示義務、確率規制、期待値規制なども受けない為、往々にしてレア排出率が非常に低い。「キューブ」と同じシステムを用いたマビノギの「細工」は、2017年に起きた中国でのデータ流出事件により確率が公になっている が、最も低確率のレアは0.00001%以下(1000万分の1以下)であった。この確率は2021年に正式公開された韓国版データと一致している。これは氷山の一角に過ぎず、上記のゲームに限った話ではない。 日本のゲームユーザーはガチャ課金を好み、いかに少ない金額で強くしたかを競い合う傾向があるが、中国のゲームユーザーは直接対価が見えているものに対して課金するのを好む傾向があり、有料ガチャは元々好まれていなかった。2017年に中華人民共和国文化部(日本の文化庁に相当)の通知によって、法定通貨またはゲーム内通貨を用いてのガチャ(有料ガチャ)が法的に禁止された(文化部通知の第6条)が、2021年3月時点でも日本と同様のガチャが普通に販売されている。中国国内産のゲームに限らず海外のゲームの中国版も同様であり、例えばFate/Grand Orderは天井がない他国版と同じガチャを中国でも売っている。 日本のゲームユーザーがコレクション性も重視する傾向が強いのに比べ、韓国と中国ではキャラクターや装備の性能がより重視される。ガチャもそれに合わせた物が主流で、コレクション性のない上書きタイプのランダム型ガチャを採用しているゲームが多い。この「ユーザーの手元に最小限の景品しか残らないシステム」は、景品の飽和を防いで運営・開発コストを抑えられるメリットがある。元祖は『アラド戦記』にて2007年から販売が始まった「業師の箱」とされる。 中国では、ガチャに類するシステム(クエスト終了後に何らかのアイテムがドロップするなど)を実装する場合でも、ガチャで排出されるアイテムに類する同性能なものを同時に販売して「一定の仮想通貨を支払えば確実に特定のアイテムが貰える状態にしなければならない」ことが法律で定められている(文化部通知の第8条)。 中国では、いくら課金しても欲しいアイテムが得られるかどうかわからないシステムが「賭博」として法律で禁止されているのに対し、「課金すれば確実に欲しいアイテムが得られ、アイテムなどに課金すればするほど「特典」が得られる」システムを「VIPシステム」と呼び、これが収益の基本になっている。 実際のところ、これらの中国の規制はほとんど遵守されておらず、当局の摘発も行われていない状況にある。日本でもお馴染みの「1回xxx円、Sランクキャラ排出率1%」のようなガチャを普通に販売しているゲームが多数あり、ガチャに関連する訴訟も後を絶たない。近年は「原神」のように売上の大半をランダム型ガチャが占めるゲームも珍しくなくなった。 日本においては、射幸性の強い一部の種類のガチャが規制されているが、基本無料ゲームではレアアイテムの出現する「ランダム型アイテム提供方式」による「ガチャ課金」が収益の基本になっている。2020年代の今も世界的に見てガチャ規制は緩い方だが、韓国などに比べると期待値規制などは厳しい部類に入る。これは法規制の結果ではなく、あくまで各社・団体の自主規制。とは言え現在はほとんどのゲームがGoogle等のプラットフォームなくして運営を継続できない立場にあり、またプラットフォーム運営企業は消費者庁の要請にすぐ応じる暗黙の了解が形成されているため、事実上の法規制を受けたような状況になっている。だがGoogleやAppleを通さないゲームは依然として無法地帯の様相。 「ガチャ」の呼称 JOGAのガイドラインでは「ランダム型アイテム提供方式」のことを「一般的には「ガチャ」と呼ばれる」としており、日本で「ガチャ」と言った場合、主に有料の「ランダム型アイテム提供方式」のことを特に指す。オフィシャルな場では「ランダム型アイテム提供方式」と呼称されるべきだが、俗称の「ガチャ」もJOGAガイドラインの用語として公認されている。 ビデオゲームにおける「ガチャ」はNHNの登録商標であるため、他メーカーが「ガチャ」の呼称を使うこと不適当だが、ほとんどのメーカーは「ガチャ」と呼称している(商標の普通名称化)。「GACHA」(グリー)や「もばガチャ」(ゴンゾロッソ)など、似たような呼称で商標を取っているメーカーもある。「ガシャポン」の商標を持つバンダイナムコは「ガシャ」と呼称しているが、ゲームの特許などのオフィシャルな文章では普通に「ガチャ」の呼称を使用しており、「ガシャ」に関する特許を「ガチャ」で取っている。 ガチャというシステムを史上初めて生み出した『メイプルストーリー』は、バンダイナムコの商標である「ガシャポン」の呼称を使用していたため、後に「メイポン」に変更された。任天堂は『ファイアーエムブレム ヒーローズ』で挙げるとプレスリリースや運営からのお知らせといった際には「ランダム型アイテム提供方式」表記であり、ゲーム内でも「召喚」と命名していて、一貫してガチャは用いていない。 そもそも玩具における「ガチャ」は、タカラトミーアーツの登録商標だが、タカラトミーとNHNは協力関係にあり、タカラトミーの「ガチャ」(カプセルトイ販売機)でLineのキャラクターなどが販売されていたり、Lineでタカラトミーのキャラクターなどが販売されていたりする。タカラトミーは、「ランダム型アイテム提供方式」に関しては「デジガチャ」で商標を取っている。
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