ウデヘとは? わかりやすく解説

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ウデヘ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/01 03:26 UTC 版)

ウデヘロシア語: Удэгейцы英語: Udege)またはウデゲは、ツングース系民族の一つで[1][2]、主にロシア国内の沿海州シホテアリン山脈周辺に居住する[3]。ウデもしくはウデヘは自称である[3][4]。かつてはTaz(ターズ)、Namunka(ナムンカ)、Kyakala(キャカラ)とも呼ばれていた[4]。「大きな部族」にちなむキャカラは、間宮林蔵が「キヤツカラ」という名で記した集団を指していると考えられ、ウデヘに比定されている[注釈 1]。南部に住むターズの民族名は中国語の「韃子」に由来し、「タッツィー」はアムール川下流域のすべての先住民を意味している[4]


注釈

  1. ^ この民族を、キャカラ(カカラ)と称したのは、アムール川流域地方に住むツングース系民族(ナナイ族やウリチ族)であった[4]
  2. ^ ロシア人たちはウデヘとオロチを区別しなかったが、探検家ウラジーミル・アルセーエニフが区別すべきことを主張。さらに、ターズをウデヘから独立した一民族とすべきことを主張した。
  3. ^ ツングース系諸族はシベリア・グループとアムール・グループに分けられるが、南方ツングース諸語は後者に相当し、ウデヘ語のほか、オロチ語、ナナイ語ウリチ語ウィルタ語が含まれる[7][8]
  4. ^ 「ウェジ」の語源はツングース語の「森林」と考えられる[9]
  5. ^ 一般には、デルスウ・ウザーラはナナイ人とされている。
  6. ^ 徒歩を移動手段とする狩猟・漁撈民には、ウデヘ人のほか、ケット人ユカギール人エヴェンキ人のそれぞれ一部がおり、ロシアの人類学者レービンは、こうした徒歩の狩猟・漁撈民は新石器時代のシベリアの狩猟・漁撈民の生業的特徴を良好に保持しているであろうと指摘した[16]
  7. ^ クマ、トラと人間の婚姻のモチーフはツングース系諸族の神話にみられる[19]朝鮮民族における、熊女と桓雄とが結婚して生まれた檀君が朝鮮を建国したという「檀君神話」もまた、そのモチーフに共通点がみられ、大林太良は両者に「極めて深い親縁関係」があると指摘している[19]
  8. ^ 2014年には『増補改訳 ビキン川のほとりで 沿海州ウデヘ人の少年時代』(北海道大学出版会)が発行されている[23]。増補版では、旧版の章立てが再構成され、訳文が改訂されている[23]

出典

  1. ^ 荻原(1989)p.55
  2. ^ a b c d e f g h ウデヘ族』 - コトバンク
  3. ^ a b c d 荻原(1989)pp.76-77
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad Ants Viires (1993年8月). “The red book of the Russian Empire. "THE UDEGHES"”. The Peoples of the Red Book. The Redbook. 2022年8月15日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 津曲敏郎「はじめに」 『環太平洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究 ツングース言語文化論集17 ウデヘ語自伝テキスト(アレクサンドル・カンチュガ著・津曲敏郎編訳)「はじめに」』大阪学院大学情報学部、2002年8月9日。doi:10.15026/77974https://hdl.handle.net/10108/779742022年8月15日閲覧 
  6. ^ a b 森の民 ウデヘ”. シベリアタイガプロジェクト. 国際環境NGO FoE Japan. 2022年8月15日閲覧。
  7. ^ 加藤(1977)p.283
  8. ^ 加藤(1994)p.161
  9. ^ 和田(1959)p.141
  10. ^ 和田(1959)p.142
  11. ^ 長田(1958)
  12. ^ 『満語口語音典』(2014)p.106
  13. ^ 松浦(2006)
  14. ^ 煎本孝・山田孝子編著『北の民の人類学』(2007)第三章「ターズの言語と文化」
  15. ^ 煎本孝・山田孝子編著『北の民の人類学』(2007)第九章
  16. ^ a b c d 加藤(1994)pp.169-170
  17. ^ 『アジア遊学No.17 北方諸民族の中のアイヌ文化』(2000)
  18. ^ a b c d 荻原(1989)p.119
  19. ^ a b c d 荻原(1989)pp.117-118
  20. ^ a b 荻原(1989)p.121
  21. ^ Удэгейские ниманку, тэлунгу, ехэ (Примечания) // Фольклор удэгейцев. Ниманку. Тэлунгу. Ехэ. — Новосибирск: Наука, 1998. — С. 409.
  22. ^ 津曲敏郎 (2020年3月22日). “ウデヘの自分史との出会い 1.ビキン川にウデヘ語を訪ねて”. 館長の部屋. 北海道立北方民族博物館. 2022年8月15日閲覧。
  23. ^ a b c 津曲敏郎 (2020年3月24日). “ウデヘの自分史との出会い 2.自分史への情熱”. 館長の部屋. 北海道立北方民族博物館. 2022年8月15日閲覧。


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