イーダイアーとは? わかりやすく解説

イーダイアー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/12 09:29 UTC 版)

トローアス地方のイーデー山(カズ山)の自然。

イーダイアー古希: Ἰδαία, Īdaiā)は、ギリシア神話の女性である。「イーデーの」という意味の形容詞の女性形で[1]、「イーデー出身の女」または「イーデーに住む女」の意[2]長音を省略してイダイアとも表記される。主に、

が知られている。以下に説明する。

クーレースの母

このイーダイアーは、ゼウスの妻である。シケリアのディオドーロスによると、ゼウスはウーラノスの兄弟でクレーテー島の王となったゼウスと、クロノスの息子で神々の王ゼウスの2人がいて、イーダイアーは前者の妻となり、10人のクーレース(Κούρης)を生んだ[3]

スカマンドロスの妻

このイーダイアーは、ニュムペーである。河神ポタモススカマンドロスとの間にテウクロス[4]カリロエー[5]ストリューモー[6]、グラウキアを生んだ[7][8]。シケリアのディオドーロスはスカマンドロスの妻の名前について言及していないが、イーデー山のニュムペーであるとしている[9]

子供たちのうち、テウクロスは後にトロイアと呼ばれることになる地域を最初に統治した[4]。娘はいずれも歴代のトロイア王と結婚し、カリロエーはトロース王と[5]、ストリューモーはラーオメドーン王と結婚した[6]

ダルダノスの娘

このイーダイアーは、ダルダノスの娘で、サルミュデーッソスの王ピーネウスと結婚した[10]。シケリアのディオドーロスによると、彼女の父ダルダノスはトロイアの王ではなくスキュティアの王である[11]

ピーネウスは前妻クレオパトラーとの間に2子プレークシッポスとパンディーオーンがいたが、イーダイアーが彼らに犯されたと讒言したため、ピーネウスは彼らを盲目にして投獄した。このためピーネウスはアルゴナウタイと子供たちの祖父である北風の神ボレアースによって懲らしめられた[10][12]

あるいはイーダイアーの讒言でクレオパトラーの2人の子供たちは鞭打ちの刑に処されていたが、アルゴナウタイが訪れた際にカライスとゼーテースが甥にあたる子供たちを救出し、ヘーラクレースがピーネウスの軍勢と戦った。そしてクレオパトラーが保護されると、プレークシッポスとパンディーオーンはイーダイアーを罰しようとしたが、ヘーラクレースが止めたため、イーダイアーは故郷のスキュティアに送り返された。しかし父ダルダノスは彼女を死刑にした[13]

その他の女性

  • クレーテー島の王ミーノースの娘。ゼウスとの間にアステリオーンを生んだ[14]
  • ニュムペー。ゼウスとの間にクレース(Κρής)を生んだ[15]

脚注

  1. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.51a。
  2. ^ Pierre Grimal 1986, p.227.
  3. ^ シケリアのディオドロス、3巻61・1。
  4. ^ a b アポロドーロス、3巻12.1。
  5. ^ a b アポロドーロス、3巻12.2。
  6. ^ a b アポロドーロス、3巻12.3。
  7. ^ プルタルコス『ギリシアの諸問題』41。”. Barbaroi!. 2021年11月19日閲覧。
  8. ^ Plutarch, Quaestiones Graecae 41.”. Perseus Digital Library. 2021年12月3日閲覧。
  9. ^ シケリアのディオドロス、4巻75・1。
  10. ^ a b アポロドーロス、3巻15・3。
  11. ^ シケリアのディオドロス、4巻43・4。
  12. ^ アポロドーロス、1巻9・21。
  13. ^ シケリアのディオドロス、4巻43・3‐44・4。
  14. ^ 『偽クレメンス文書』10巻21。”. Canadian College of English Language. 2021年11月19日閲覧。
  15. ^ ビューザンティオンのステパノス英語版、Krētē。

参考文献


イーダイアー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:01 UTC 版)

カズ山」の記事における「イーダイアー」の解説

イーダイアーはニュンペーニンフ)で、河神スカマンドロスの妻トロイアテウクロスの母。スカマドロス川(現Karamenderes川)はイーデー山からトロイアの下の平野横切って、北のヘレスポント流れ込む

※この「イーダイアー」の解説は、「カズ山」の解説の一部です。
「イーダイアー」を含む「カズ山」の記事については、「カズ山」の概要を参照ください。

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